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株式投資型クラウドファンディングで株主が増えるとIPOできない? 誰かホントのところ教えて!

株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームを運営している「イークラウド」代表の波多江です。

弊社はスタートアップ企業が、個人投資家の方々からインターネットを通じて資金調達を行う仕組み「株式投資型クラウドファンディング」を提供しています。株式投資型クラウドファンディングにおいて、平均的なケースでは約200名の個人投資家がその企業の株主となります。

上場企業において、多くの個人投資家が株主として存在していることは一般的ですが、非上場企業においては創業者や少数のベンチャーキャピタル、事業会社が株主となっていることが一般的です。

株式投資型クラウドファンディングを活用したスタートアップは、非上場であっても多くの個人投資家を抱える企業となります。

株式投資型クラウドファンディングは2015年の法改正によって実施できるようになったもので、まだまだ資金調達方法としての歴史が浅い手法です。これまで 株式投資型クラウドファンディングを活用した企業のIPOプロセスに関わったことがある関係者が業界にほとんどいないために、IPOプロセスにおいて関係者から「課題がある」と表現されることがあります。

専門性の高い関係者の方々に「課題がある」と表現されると、何かとんでもない致命傷があるような表現に聞こえるのですが、この「課題」はよくよく聞くと、「事例があまりない」「やったことがないので分からない」という意味合いが強く、逆に言うと道筋を立てて事例創出することができれば認識は一気に変わる(後続企業が事例を参考に同じプロセスを踏むことができる)という性質のものともいえます。

本noteは「課題があるのであれば、その課題を解決したい」という思いで活動してきた私たちイークラウドが、これまでの活動の中で立てた道筋について公開するものです。関係各所との調整にかなりの時間やコストがかかったこともあり、社内で秘匿化することも考えましたが、業界発展の一助となるのではと考え直し、今回その一部を公開することにしました。

株主が多いと「課題」があってIPOできない?誰かホントのところ教えて!

「IPOプロセスにおける課題」は、3つの要素に分解して整理してみました。3つの要素とは、①株主属性の課題、②ロックアップの課題、③口座開設の課題です。

①株主属性の課題

企業がIPOするうえではさまざまな審査を経る必要があります。事業の成長可能性やガバナンスの体制なども重要ですが、大前提として、経営者や取引先に反社会的勢力が関わっている企業などは、排除の徹底が求められています。また、反社会的勢力以外にも、過去の証券取引等違反行為や、違反行為が疑われる関係者との関係を持たないことを社内的に求めている場合が多く、株主の数が増えることによる株主属性に関連するリスクや確認の工数を関係者が忌避することがあります。これが「株主属性の課題」です。

この課題に対し、イークラウドでは創業時から大和証券グループと資本業務提携を通じて投資家属性を厳正にスクリーニングすることで解決を目指してきました。また、株主間契約の仕組みを業界で最初に導入するなど、属性において問題が生じた場合の対応についても考案し、対策をしています。

▼参考記事

②ロックアップの課題

次にロックアップの課題です。ロックアップは2つに分けて性質を整理する必要があります。2つのロックアップとは、「任意ロックアップ」と「制度ロックアップ」です。

任意ロックアップには「任意」という名がついていますが、場合によっては、関係者の間で必須とされる場合もあります。しかしながら、株式投資型クラウドファンディングを実施する時期においては、主幹事証券会社が決まっていない場合がほとんどです。任意ロックアップに関して具体的な取り決めがされていないことも多いことから、株式投資型クラウドファンディングで投資した個人投資家に任意ロックアップについて要請することが難しい場合があります。

制度ロックアップは証券取引所の規則により、上場直前期(N-1期)以降に株式を取得した方に関しては、必須とされている制度です。制度ロックアップに応じる旨の確約書は株式の割当を受けた日付以前にすることが原則として求められています(原則と書かれていますが、例外などは不明です)。そのため、株式投資型クラウドファンディングを実施する際には、割当の日付以前までに契約締結する必要があるのですが、一方で、制度ロックアップについて個人投資家に伝えることは、IPOすることがあたかも確定しているような印象を与えることもあるため、事実上、現在の制度では不可能ではないかというのが当初の大半の関係者の見解でした。

これらが「ロックアップの課題」です。

この課題に関し、イークラウドは任意ロックアップに関してはいくつかの証券会社と、制度ロックアップについては金融庁(関東財務局)・東京証券取引所・日本証券業協会等も含めて慎重に協議し、ロックアップの対象となる時期の企業においても、独自に取り決めた手続きを踏むことで、いずれのロックアップに対しても道筋を立てることができるものと考えています。

③証券口座開設の課題

最後が「証券口座開設の課題」です。IPOをする際、証券会社を通じて上場する株式を管理し、市場で売買できるようにするために、証券会社の口座を開設し、その口座に当該株式を預託するなどの手続きが行われます。株主が少ないケースでは証券会社の営業マンが証券口座開設を手伝うことも可能ですが、株式投資型クラウドファンディングを実施した場合には、株主が全国に散らばることで証券口座開設数も相応に増え、営業店の負荷等を気にする証券会社もあります。これが、「証券口座開設の課題」です。

本件に関しては、信託銀行およびネット証券等と連携し、証券口座開設をオンライン手続きで行うことで、口座開設の負荷軽減の可能性を高める提案をしていきます。

以上が、①株主属性の課題、②ロックアップの課題、③証券口座開設の課題、それらの解決に向けたアプローチについての現在地点です。

主要な関係者と理論上の整理などができておりますので、次は事例作りのフェーズだと考えています。

国内で株式投資型クラウドファンディングを活用した企業において、東証のグロース市場、スタンダード市場、プライム市場における上場事例はありませんが、事例が創出されるのは時間の問題であると考えています。その時間軸を早めるべく、精力的に活動してまいります。

我こそは、株式投資型クラウドファンディングを活用して多くの個人投資家を巻き込み、IPOも実現したい、というファーストペンギンになることにご興味がある方、一緒に新しいスキームの実現に挑戦しませんか?

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