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パンクが教えてくれた、「物」で持つことの大事さ

こんにちは、私、初登場です。今回のテーマが<私たちスタッフのレコード愛・音楽愛を見てください>ということなので、何故自分はレコードに愛情があるのかと、自分が狂信的に好きなバンドのレコードを紹介。

文:牛頭理沙(Ecostore Records)



まず、レコード愛に至るまでの一番最初のきっかけは間違いなくハイスタ。初めてハイスタのライブを見た日からもう13年以上ずっとパンクが好きだ。随分と人生の選択を狂わされたと思う。レコード収集もそうだが、一度魅力に取り憑かれた時の情熱など止められない。みんながAKBやRADWIMPSで盛り上がる中 (世代察される?)、当時10代の女子高生はどんどんズレた方向に走っていく。

自分はいわゆるハイスタ世代みたいに身近にパンクが流行ってた訳ではないので、一人だと情報収集に限度がある。しかし好きな音楽を見つけると、同じように好きな奴と自然と仲良くなる。数少ない同じ趣味を分かち合える人間と某有名CDショップに足を運んでは、これは良い、これはダサい、なんて日々を続けるうちにある日友人が言う。「えっレコード持ってないの?パンク好きならレコードっしょ!てかレコ屋に行ったことないのマジ?行こうよ」

※ハイスタ・・Hi-STANDARD、通称”ハイスタ”
90年代日本にパンクブームを巻き起こした日本の3ピースパンクバンド
そのムーブメント真っ盛りをリアルに体験しているのがハイスタ世代


その日 レコード屋に足を踏み入れた日から自然とレコードを持つようになる。

レコードの何が良いのか、一言で言うとレコードを持った時の高揚感と愛着が止まらないのだ。CDだって同じことが言えるはずなのだが、何か感覚が違うのだ。

CDなら帯を見れば目視で何の作品か分かるが、レコードは詰め込まれてる箱の中から一つ一つ手に取ってジャケットを見るまでわからない。CDで持ってたお気に入りのアルバムをレコードで見つけた時の「これレコードであんの?マジか。ほ、欲しい、、」に陥る衝撃。同じアルバムなのにレコード版はジャケット違うのかよ!とか、そんな面白さをレコード屋で発見していくうちに、気付いたら手元には「買うぞ」と厳選されたレコード。レジを通して自分の物になったら、宝物の一言に尽きる。

更に魅力に取り憑かれたのは、パンクが教えてくれた物で持つことの魅力。

「パンク」と聞くと世間一般的には派手な髪型に革ジャン、中指を突き立てるなど、過激なイメージがあるだろう。しかし系譜を辿るとパンクにはDIY精神の文化がある。今となってはよく使われる言葉だが、その名の通り「Do It Yourself = 何かに頼ったりするんじゃなくて、自分がやりたいように自分自身の力でやれ」

元々パンクは世間に相手にされる音楽でもないので、全て自分達でやるっきゃなかったのだが、80年代に入りハードコアバンド MINOR THREATのフロントマン、イアン・マッカイ (The Teen Idles/FUGAZI/Dischord Records)がDIY精神を提唱したことで、以降のパンクには更にこの精神が浸透する。レーベル設立、音源流通、ZINE作成、ライブのブッキングなど、全てを自分達でやるスタイル。特に自分が影響を受けている80年代ハードコアパンクシーンは沢山のバンドがレコードをリリースしている。大量生産されたわけではない、手作りのジャケットに、一枚一枚手折りされたインサート。そのアーティスト、レーベルの想いが詰まってるわけだ。そんなレコードを手に入れて、愛着が湧かない訳がない。

以上が自分がレコードを愛する理由。一言でいえば「情熱」なのかもしれない。

最後に大切なレコードをご紹介。せっかくの場なので、狂信的に好きなこの2バンドを。


DESCENDENTS

DESCENDENTS / ​​「EVERYTHING SUCKS」


78年結成、今も現役で活動を続けているUS西海岸メロディック・パンクのレジェンド「DESCENDENTS (ディセンデンツ)」。80〜90年代のパンクシーンから現行のバンドまで、本当に沢山のバンドに多大なる影響を与えている。メンバー全員Tシャツに短パン、ボーカルはヒョロヒョロした体格にメガネのオタクルックス。パンクバンドだと言われても信じ難い。80年代、USパンクシーンがこぞって「ファック・レーガン!」と政権に対して猛反発している中、彼等はそんなポリティカルソングや社会に対しての批判に興味がなかった。もっと自分達に正直なことを歌う、「女の子と釣りとコーヒーが大好きだ!」って。タフガイが美学とされていたパンクシーンの中、ナードなオタクが歌うパンクなんてそりゃ面食らう訳だ。ボーカルのマイロはアイコン的な存在になり、人気に拍車がかかっていく。しかしマイロには2つの夢があって、一つはパンクロックをやること、もう一つは科学者になること。化学の道に専念する為に、人気絶頂の中87年に脱退。残されたメンバーは・・この続きは次に紹介する作品でお話を。後に博士号を取得し、95年にマイロがボーカルに復帰。この作品は復帰作となる5thアルバム。私としてもディセンデンツで初めて手にしたのがこちらの作品。「​​EVERYTHING SUCKS」なんて、もうタイトルから最高でしょ。日常の鬱憤を歌う歌詞に乗せたストレートなメロディックハードコアは、ナードな自分なんかにゃ心に寄り添ってくれる訳です。パンクが好きだからって尖ったりとか、パンクらしい格好をしなきゃいけないわけじゃない、普通で良いんだよって教えてくれた大切なバンドです。


ALL

ALL / 「PROBLEMATIC」


先程ディセンデンツはボーカルが脱退したとお伝えしましたが、じゃあ残されたメンバーはどうしたのか?ボーカルだけを新たに迎え入れ、ALLというバンドを結成。ディセンデンツよりもキャッチーなメロディー、演奏も硬派でテクニカルに。メンバーは全員ディセンデンツであり、ボーカルが違うだけなんですが、、このバンドは中々苦労する。ボーカルは3人変わっていて、まず初代ボーカルはDAG NASTYのDave Smalley、 2代目はScott Reynolds、3代目はChad Price。当時ボーカルのマイロがアイコン的存在になり過ぎてしまった為、ALLは「マイロじゃない!ディセンデンツをだせ!」とファンから批判を食らってしまう。バンドの意志とは真逆にファンはDECSENDENTS派、ALL派と分断されていくんですね。。今こそどちらも愛されているバンドだけど、メンバーの苦労は計り知れない。まあここでウダウダ書くよりドキュメンタリー映画「FILMAGE」がありますので気になった方は観て欲しい。DECSENDENTS/ALLの歴史が詰まった素晴らしい作品となっています。ここで紹介する作品はALLの2000年作8thアルバム「PROBLEMATIC」。このバンドのアイコンAllroyと音符のクリーチャーが宇宙へ進出している印象的なジャケット。一曲目の「Carry You」は極上のメロディックナンバーだし、ショートチューン名曲万歳。ALLの作品の中でも聴きやすいアルバムとなっています。


どちらも私の人生の一部となっている、世界で一番大好きなバンドです。

ということでレコードとパンクに対しての愛情を語らせて頂きました。長々とすみません、ありがとうございました。

筆者紹介:
牛頭理沙(ごず・りさ)
狂信的にDESCENDENTS/ALLが好きな酒好き神奈川県民。川崎によくいるせいで川崎の人間と間違えられるが横浜鶴見出身。鶴見は川崎だろとか言わないで。横浜川崎エリアの飲み屋のことなら聞いてください。


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