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知ってるようで知らない?レコードプレーヤーの針圧調整の仕方教えます

レコードプレーヤーの針圧を調整する方法を知っていますか?そもそも針圧(しんあつと読みます)が何なのか分からない人もいるでしょう。

「新品のレコードを買ったのに、再生してみたら何故か針飛びしちゃう・・・」「お店で視聴したときはちゃんと聴けたのに・・・」

なんて経験はありませんか?新品のレコードだから盤面をよく見てもキズなんてもちろんありません。しかし、諦めるのはまだ早いですよ。正しい針圧を設定すれば、そのレコードも正常に再生できるようになる可能性も十分にあります。レコードそのものが極端に反っていたり、プレスされた時点からの不良品(プレスミス)でなければほとんどの場合、適正な針圧を設定することで解決すると考えられます。

いまレコードを好んで聴く人が増えている中で、なかなか教えてくれる人も少ないであろう針圧調整の仕方をここで皆さんにご紹介できたらと思います。

文:福田俊一(Ecostore Records)

針圧ってそもそも何?


針圧とは、針がレコード盤を下方向に押さえつける”針の重さ”のことです。針圧調整が上手くできるようになると2つのメリットがあります。

①使用するカートリッジや針の種類などにもよるが、針圧を重めにすることである程度針飛びを回避できる

②針圧を重くすると音楽の重低音が増すので、耳で聞こえるチリチリ・パチパチというノイズを軽減できる

一方、針圧を重くすることのデメリットとしては針が盤を強くこすってしまう為 レコード自体をやや早く摩耗させてしまうことです。ただ許容範囲であれば、気にし過ぎる必要は全くありません。


モノラル盤はモノ針で再生すると迫力が増す


レコードの針にはステレオ針とモノ針があるのですが、実はそれぞれに違いがあります。近年のレコードはもちろんステレオ針で聞きますね。しかし、古いレコード(1960年代くらいまでのもの)はモノラル盤も多く、そのモノラル盤の再生専用にモノ針というものがあります。モノ針とステレオ針では針先の形状が異なります。これはモノ盤とステレオ盤の溝の形状が違うためです。モノ針がモノラル音源が記録された盤面の溝に対してきれいにフィットすることにより、ステレオ針で再生するよりも迫力ある音が再生できるのです。これにより余計なノイズも圧倒的に軽減します。

また、基本的にモノ針はステレオ針よりも重めの針圧で使用することが多いようです。モノ針であれステレオ針であれ、軽すぎず重すぎず、使用しているカートリッジで推奨されている正しい針圧でレコードをかけることが何よりも大切だといえます。

さあ、針圧調整をしてみよう


針圧調整はやり方さえ覚えればどなたでも簡単にできます。今回はSTANTON社製「500 AL II」というカートリッジを使用して調整してみます。適正針圧は使用するカートリッジによって違ううえに非常に重要なので、あらかじめ確認しておきましょう。ちなみに、このカートリッジ「500 AL II」の適正針圧は2.0~5.0グラムでした。

それでは、試しに針圧を3グラムに設定してみましょう。

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1. ゼロバランス調整をする

レコードプレーヤーの右側にトーンアームというパイプのようなものがあります。この端(手前)にレコード針が付いていますが、その反対側(奥)に太い円柱のようなものあるのが分かりますか?このパーツのことをバランスウェイトといいます。つまりオモリです。バランスウェイトをくるくると回して調整し、まるで平均台のように針の部分とバランスウェイトがちょうど横方向に平行に釣り合うようにします。左に回すと針が重くなり、右に回すと軽くなります。

まず、手前の目盛りの数値は気にせず、バランスが取れてトーンアームと針がうまく釣り合うように調整してみましょう。横から見てみるのがポイントです。

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公園の遊具のシーソーのように、トーンアームと呼ばれるパイプが平行になりました。これをゼロバランス調整といいます。

現時点で針先にかかっている重さは0グラムとなります。

2. 目盛りを0(ゼロ)にする


次に、ウェイト部分の少し手前にある針圧目盛りを0(ゼロ)に合わせましょう。さきほどゼロバランス調整が出来たので、「今の針圧は0グラムですよ」という表示にしたいのです。

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ここで注意です。
バランスウェイト全体を回さないようにして下さい。そうしてしまうと、せっかくゼロバランスにしたのにまた重さが狂ってしまいます。

目盛りを0に合わせるには、一番手前の黒い目盛りの部分だけを触って数字を合わせてください。黒い目盛りとは上の写真で丸く囲った所です。バランスウェイト全体は少し力を入れないと回らないのですが、目盛り部分は軽く回るようになっています。

3. 再びバランスウェイトごと回して、目盛りを見ながら正しい針圧に設定する


今度は逆に、いま0に合わせた手前の目盛りを触らないようにして、その目盛りが3を指すまでバランスウェイト全体をくるくると回してください。

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ちなみに目盛りの単位はグラムです。

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針圧を3グラムにしたいので、目盛りがこのように3と示すまでバランスウェイト全体をゆっくりと回しましょう。目盛りを3に合わせれば針圧はちゃんと3グラムになり、これで針圧調整は完了です。

後はレコードに針を落とせば素敵な曲が流れます。

針圧調整でひとつ上のレコードユーザーに



針圧調整はいかがでしたか?作業は案外簡単だったのではないでしょうか。ゼロバランスにする作業に慣れてさえしまえば、どなたでも楽に針圧を適切な重さに調整できると思います。適正針圧の範囲での針圧調整であればレコードに余計な負担をかけたり傷めたりすることもありません。針圧調整をマスターすればより良い音質でレコードを楽しめたり、不要な針飛びを防いだりすることもできます。一種のスキルとしてあなたのレコードライフももっと華やかで幸なものになるかもしれません。

あなたもひとつ上のレコードの愛し方を身に付けてみませんか?


筆者紹介:
福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 IT事業部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。


Ecostore Recordsのコラムでは針飛びの直し方も紹介しております。合わせてご覧ください。


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