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公務員試験、財政学受験のすゝめ

1.はじめに

  閲覧ありがとうございます。経済学習スタジオです。

 本回は、公務員試験の財政学はラッキー科目の1つであることをお伝えしたいと思います。
 ラッキーな点を3つ挙げてご紹介しますので、捨てずに取り組んでみてください。

 皆さんの受験成功をお祈りしています。

2.財政学がラッキーなところ①~教養試験の知識で解ける問題がある!~

 ラッキーな点の第一は、「教養試験」レベルの知識で解ける問題が出題されることにあります。例えば、下記は、特別区2023年出題の問題です。

特別区2023年度問題

 この問題は、財政の機能という高校公民知識があれば解けます。したがって、教養試験レベルということです。

 実際、高校公民の資料集片手に解いておきます。まず、Aはミルという人がこの3機能を挙げたかが分かりません。3機能自体は正しいですが。そのため、一旦、正誤判定を飛ばして、次の選択肢であるBにいきましょう。

 Bは、公共財の定義が、非排除性非競合性ですので、正しいですね。ちなみに、非排除性とは、費用負担をしていない人の財・サービス消費を排除できない(あるいは排除に著しい困難が伴う)ことです。国防などは国土全てを守るので脱税者の家だけミサイル迎撃を外すといったことは難しいでしょう。そして、非競合性は、争って消費をしなくても皆が消費できるということです。

 Cにいきましょう。一定の税率では、所得格差は是正されませんから誤りです。累進課税制度であることが求められます。

 そして、Dです。フィスカル・ポリシーとは裁量的財政政策のことです。増税や緊縮財政をすればインフレーション抑制を図ることになりますし、逆に公共事業を盛んにするなどの積極的な財政政策をすれば失業者を減少させる効果が期待できます。こうした政策全てが、裁量的財政政策=フィシカル・ポリシーですので、Dは正しい選択肢となります。

 BとDが〇、Cは✖ならば、Aを✖にしないと正しい選択肢がないことになります。したがって、正答は5です。なお、財政の三機能(資源配分機能・所得再分配機能・経済安定化機能)は、ミルではなく、マスグレイブです。著書で有名なのは『財政理論』です。

3.財政学がラッキーなところ②~どうせ勉強する時事知識が活かせる!~

 昨今の教養公務員試験は、時事が重視されています。したがって、SPI式など、公務員試験用の筆記試験をしなくてもよい試験種を除いて、時事対策を行わなければなりません。

 そして、財政学は、経済時事の内容が出やすいです。例えば、政府がどのような予算を組んだか、税制をどのように変化させたか、どういった政策を掲げて実行にうつしたかなどの理解が問われるのです。

 どうせ教養試験用に対策するであろう知識をそのまま活かせるのは、「ラッキー」ですよね。単独でその科目のためだけに勉強するより、負担は明らかに軽くなります。

4.財政学がラッキーなところ③~マクロ・ミクロ経済学の知識がそのまま活かせる~

 時事だけでなく、専門科目として学習するミクロ経済学、マクロ経済学の知識をそのまま使って解ける問題も数多く出ます。

 一つ、例を出しましょう。1で触れたマスグレイブに関係することとして、マクロ経済学の公務員試験対策本では大抵、マスグレイブ=ミラーの安定化指標という算出式を覚えます。

 具体的には、cを限界消費性向、tが限界税率としたときに、「ビルト・イン・スタビライザーの働きにより、乗数効果が緩和される割合」は、「1-(1-c)÷{1-c(1-t)}」だというものです。

 では、以下の問題で解いてみましょう。

2014年度特別区問題

 計算式に代入すると、
1-(1-0.8)÷{1-0.8(1-0.2)}
=1-0.2÷0.36
=0.16÷0.36
=4/9
ということで、答えは4です。

 このように、財政学はマクロ経済学やミクロ経済学で学習する内容の知識でそのまま解けます。なんなら、マクロ経済学かミクロ経済学の問題集に収録されている問題が、財政学で出題されていたものである場合もあります。

5.おわりに

 ということで、今回は、公務員試験の財政学が、教養試験の勉強レベルだったり、時事だったり、専門科目のミクロ・マクロの経済学だったりで解ける問題が多いというラッキー科目だとお伝えしました。

 ミクロ・マクロの学習は苦労することでしょう。しかし、きちんと学習すれば、財政学に活かしやすい意味で、多くの得点が見込める武器になります。これを胸に、前向きにトライしましょう。

 皆さんの受験学習がスムーズにいくことをお祈りします。

〜執筆者紹介〜

経済学習STUDIO
 公務員試験・経済学検定・各種資格試験・大学編入の経済学系科目の情報発信をします。中の人は、大学や資格予備校で経済学を教えてきたミヤンです。2024年1月に出版した電子書籍はこちら。今後も、様々な学習ツールを整備していこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


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