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COVID19 テレワーク下でエコノミー症候群になった話

どんな人?
IT外資系の管理職で、コロナ始まってからずっとテレワーク、自宅に快適な仕事スペースがある。テレワーク中は、朝から晩まで会議まみれ、そして定時後には資料作り。釣りをこよなく愛するアラフィフのおっさん。

おかしいと思った出来事
ある日のこと。遡ること半年以上前。地下鉄を利用後、地下から地上に出るときの階段を登っている時に息がハァハァすることに気づく。マスクを取らないと息がまともにできないような感じで、自宅の階段でも 1 階から 2 階に上がると息を切らすこともあった。ただ、それはただの運動不足だと決めつけていた。

何かがおかしい
どうやら、ちょっとしたことでも、ちょっと早歩きするとハァハァする。運動不足にしては、かなり運動不足すぎだと認識せざるを得ないレベルになってきていた。極めつけは釣りに行った時だ。遡ること1か月前。魚のサイズが大きいとはいえ、本来ハァハァするサイズではない(10Kgないくらい)魚と格闘したあと、船長にそんなサイズでハァハァして~と笑われたのも運動不足でごまかしたが、それは違っていた。

近くの病院にて
実は、今回緊急搬送される3か月ほど前に家の近所の内科で診断をしてもらった。 心臓に痛みが走ったからだ。でも、その時の診断は、どこも悪くない。心電図も脈拍も問題ない診断をされた。おそらく、このとき血栓が心臓を通過していたのだ、そしてこの病院はそれに気づくこともできなかった。なぜならエコーがなかったから・・・。病院を選ぶときは、家の近くではなく信用ができる病院にすること、設備が整っていて専門医がいる病院が大事。このときに他の病院で診察受けていればと今は後悔。

歩けなくなる
妻とお酒を飲んで、〆のワンタンを食べたあとのこと。帰り道、たいした距離でもないのに息切れがして貧血を起して歩けなくなった。息苦しくて貧血でとにかく歩けない。5 分 10 分休憩して歩き始めて、その日は、なんとかして家に帰った。なんとなく、そのときは貧血とお酒から来てるものだと思った。 そしてもう一度同じことが起きた。いつも行く、四川料理屋で食事を終えて、店から一歩でると、まともに立っていられない。なんとなく歩けるんだけども、休憩が必要で息苦しい。家まで歩いて帰れる距離なので、何とか帰った。その日もお酒のせいにしてみた。妻からは病院に行くように諭されたが、明日もまた会議がずっと詰まっている。やらなきゃいけないことが溜まっている。病院に行くことはまだできない。

Xデイ
その日は、息苦しさを感じていた。四川料理での一件から、歩くのが怖くなっていた。マスクをしての小走りはとてもできないと感じていた。いつもの地下鉄の地上に出る階段。でも、その日は少し違った。ハァハァしながら地上に出て、歩けるには歩けるのだが、また休憩が必要な感じ。座らないと・・と思い、コンビニの前で座ろうと思ったら意識を失っていた。気づくと、顔の横に地面があった。街の中ではあったのだが、誰も助けてくれなかったのは、恐らく酔っ払いだと思われたためだろう。自分でどれくらい失神していたかわからないか、 5 分なのか 10 分なのか。それほど長い間は失神していなかったように思う。指のところどころを擦りむき、頬を少し打ったのか痛い。あとから考えると、死ぬのはこんな感じなんだと思った。死ぬ直前まで普通に意識があり、少しふらふらした瞬間、すべてがシャットダウン・・・、死への入り口を初めて感じた。失神後、家は近いので、とにかくその日は家に帰った。病院嫌いの僕もさすがにこれは看過できないと思い、次の日の午前の打ち合わせをキャンセルして、病院に行くことに決めた。幸いにも専門医がいて、午前の枠が予約できた。

まさかの診断
すぐに終わるだろうと、ランチはどこで何をたべよう・・などと考えながらクリニックの待合室で自分の名前が呼ばれるのを待った。診察で自分の名前が呼ばれると、先生の診断で色々な検査をしてみましょうとなり、血液検査、心電図、レントゲンのみならずエコーの検査もした。若干心電図に問題があるように見えますが問題なさそうです、ただ血液検査も問題があるような感じがします。もしかすると偽陰性の可能性もあるので念のため、エコーをしましょう。となりました。この先生の判断が僕の命を救ってくれたと言っても過言ではないかもしれない。エコーを取っている途中、臨床検査技師の方がエコーでチェックしてくれている間にも先生が覗きに来てくれた。どう?大丈夫?出てるみたいですと、臨床検査技師の方が言われて、先生は「やっぱりね」と言って奥に引っ込んでいった。待合室で待って診断結果を先生に聞く。先生曰く、いつ死んでもおかしくない状態ですので、このまま大きい病院を紹介しますので、救急車で病院に行ってもらいます、と。まさかの診察だった。ちょうどスマホのバッテリーが切れそうで、誰にも連絡が取れない状態になりそうだったので、妻への連絡と午後のどうしても外せない打ち合わせだけはキャンセルをした。車いすで救急車へ。

搬送後
総合病院に救急車で搬送され、簡単には帰れなくて、自分が重症患者であることをようやく意識することができるようになっていた。救急車に乗るのは初めてだったし、救急隊員の方のどんな方がされているのかというのも興味があったが、このコロナ下がですごい大変な業務をこなされていると思うと、尊敬の念しか浮かんでこなかったんだけど、そんなことをぼんやり考えているとあっという間に病院へ。残念ながら第一候補はコロナの影響で受け入れてもらえず、第二候補の病院へ。病院に着くなり、まず PCR 検査の結果をチェック、ほとんど家の中にしかいないのだから陰性のはずで、やはり陰性だった。陰性が分かってから、早速いろいろな検査が始まる。まずは心電図、血液検査、エコー。すでに行っているのだが、再度、検査をするということで、結果やはりクリニックの先生の診断どおりでした。ということになり、すぐにCT の検査をすることになった。とはいえ、 CT 検査の順番もあり、私の番はもう少し後に。そのため、先にレントゲンを撮ることになりました。もちろんこの時からベッドの上から動くことはできません。ベッドの上でレントゲンを撮りました。皆さん気になるトイレですが、小も大もベッドのでしてくださいといわれました・・うぅ。実はトイレを我慢していた私、尿瓶をもらって用を足す。この時思ったのが、もっと美味しいもの食べておけばよかったなぁ。とんかつ食いたかったな。でもそんな油っぽいもの食べてたら、倒れてたいかもしれないな、なんて思いながらCT 検査を待った

検査
CT というのは、体の中を輪切りにして、体の内臓がどうなってるかを映像化するもので、CTの機械自体はかなり大きい。CT を撮るとき、造影剤を飲んでCT を取った。体がポカポカしたのを覚えてる。 15 分後ぐらいに先生からの説明がありました。CT の映像を見ながら血栓が肺に飛んでたり、色々なところに飛んでいて、体中の毛細血管に血栓が詰まってて血の流れを悪くしてるということが、そこで分かりました。そして即入院へ・・

病名はエコノミー症候群
クリニックの先生からもなんとなく、それとなくは聞いていたのだが、正確にここで病名を伝えられた。病名はエコノミー症候群、正式名称:肺塞栓症。先生は、普段の仕事スタイルを聞いて納得。あー、仕事のしすぎなんだということをここで反省。朝から晩まで会議が詰まって詰まって詰まりまくって、ランチの時間まで会議が入っていたからそれは長い間椅子に座り続けるよね・・・。これ外資系あるあるなんだけれども、スケジュール見て、時間が空いていると何でもかんでも、そこにどんどん打ち合わせを突っ込んでくる。気づくと 1 日のスケジュールが全部埋まっている、それが外資系スタイル。ちなみに私の仕事は新規事業を立ち上げるために入社して、事業を立ち上げなければいけないし、売上ターゲットも日本企業とは比較にならないほど高いので、それを達成しないといけないということで頑張ってしまう、そう...仕事しすぎですね

初日
初日はICU のようなところに入れられた。大学病院ではないので、厳密には ICU ではないのだが、緊急で入ってきた患者さんが緊急の場合、つまり死んでしまう可能性がある状態の患者さんが泊まる部屋で過ごした。トイレは、ベッドの上、足を曲げることもできない、完全に寝たきりの絶対安静状態。幸いスマホは与えられていたので、会社関係の人に連絡をとったりメールチェックしたり、YoutubeやNetflix を見て 1 日が過ぎていきました。
初日に行われた治療は血栓を溶かす薬を点滴をうつ。薬剤師さんを曰く、 1 日で体中に回るそう。先生からは 2 週間から 3 ヶ月かかると言われてたような気がしていたんだけど、それはトータルの治療期間のことで、実際の薬自体はあっという間に回って血栓は溶けているという話を薬剤師さんに後から聞いた。なので、この血栓を溶かす薬が入った時点でちょっと安心の状態になった。救急車で運ばれたということもあり、私の主治医の先生も医者らしく、期待を持たせず、リスクのところから会話をしているので、妻は病状について非常に心配していて、面会の時は泣き顔で登場した。でも本人はピンピンしているので、何でそんなにって感じだったのだが、母にもスマホーアレクサ経由で連絡を取ったのだが、あなたは何をしてるの?と泣き顔で言われて・・・別に不摂生をしていたわけでもなく、遊んでいたわけでもなく、真面目にどっぷり仕事をしていたからなってしまった。病気なのに何で責められなきゃいけないんだろう。
 

入院費用とか
幸いにも入院の保険は入っていたので、何があっても毎日の入院費用は保証される。住宅ローンにも保険がついていて入院すると一律で10万円もらえることがわかった。最悪、就業不能になった時は、その間の住宅ローンの支払いが最大3か月免除されるというローンなので、ちょっとありがたいなと思った。

普段の食生活
普段の食生活と今回の病気とを関連性があるのかと思ったのだが、先生からは全く関係ありません。座りっぱなしが原因です、とはっきり言われた。僕は、自分の血液のサラサラ状態にすごく自信があった、なぜなら血液のサラサラにいいと言われる。梅干し/納豆/青魚。これらはほぼ毎日食べてるし、好きな飲み物は赤ワイン。欠けていたのは食生活でなく、運動だった。

2 日目
2 日目も絶対安静。記憶を失って倒れた時に左のすねを打ったみたいで、すねが痛い。いや、これはもしかしたら打って痛いのではなくて血栓が詰まっていて痛いのかもしれない。どちらか分からないので、看護師さんが先生に相談して、腫れを2時間ごとに測ることになった。結果的にその後 CT を撮って問題がないということで一安心。2日目は結局やることもなく、ベッドの上から出られず、ひたすら仕事のメールチェックやネットサーフィンをするような1 日だった。夜は嫌な雰囲気で、緊急手術をした人の会話やおじいちゃん達の鳴き声が響いてて、なかなか寝つけない夜を過ごした。

3 日目
ようやく、一般病棟に移ることができた。こんな状態でも、全然元気なので仕事をしなきゃいけないなぁ。なんて思いながら個室を選択した。結果的に個室が正解だった。心臓系の病棟なので、高齢の方で完全寝たきりの患者さんが多いのでちょっと雰囲気が重すぎる。匂いも。過去に足の骨を折った時は、患者さんたちは骨折とかだったので、非常に元気でわきあいあいとしてして病室が楽しかったのだが。脈拍や呼吸を監視する機械はまだつけたままだが、2日目のものよりも軽層なものになったので非常に楽になった。トイレも歩いて行けるようになったし、顔も洗うことができる。歯磨きも今まではベッドの上でしかできなかったが、ようやく洗面台で顔を洗ったり、歯を磨いたりすることができるようになった。ここまで来ると普段の日常の生活が戻ってきたような気がする。血圧も正常値に戻ってきた。もともと低いほうで120くらいだったので、入院時の血圧が 150 というのはかなり異常だったと今になって思う。

食事について
病院の食事は美味しくないと言われているが、この病院はおいしい食事をだしてくれる。初日は唐揚げが出たりして、脂っこくて大丈夫なのかな?と思うぐらい。それ以降はとてもあっさりした煮物系が多く、好き嫌いのない私は全部食べてました。ある日のランチで驚いたのはマンゴーがついてることだった。マンゴーが病院で出る時代になったなんてすごいなと思いながら、おいしく頂きました。スペインオムレツとかを見ると、病院食を美味しくする工夫をしてくれる若い女性の栄養士さんを想像してしまった。

4 日目
個室に移り、何の障害もなくぐっすり眠ることができても、朝は 6 時半に起こされる。血圧自体がものすごく良くなっている。118-76これはほぼ普通の人の数値だ。今考えると去年の健康診断の時で、さえも130 を超えてた。やはり血圧です。ってすごく大事なんだなということを再認意識した。
そして右手に刺さりっぱなしだった点滴用の針。これは簡易的に点滴をつけたり、外したりできるようにする針だったのだが、それも抜いてもらった。ちょっとテープでかぶれてきていて痒かったので、抜いてもらってすっきりした。

5 日目
朝、まだ寝ているのに採血で起こされた。先生が回診のときに、数値がすごく良くなってることを報告してもらった。そして CT を明後日取ることにしましょうということになり、検査の結果次第では退院が見えてくるということだ。検査の結果が楽しみだ。今まで尿の回数も計られていたのだが、尿の回数も計らなくて良くなった。その代わり体重を報告するようにということになったが、普段体重に乗らない。私はちょっと愕然とした。なんと体重が 2kgほど増えている。これは退院したらすぐにダイエットしなきゃいけないなと思った。

6 日目
 CTの予定は午後からだったが、予定が早まり午前中にCTを撮った。今は、ほぼ普段通りの生活ができていて、シャワーを浴びることはできないが、体を拭いたり、髪の毛を洗面台のシャワーで洗ったりすることができる。ただし、検温/血圧/血中酸素濃度のチェックは毎日行われる。小型心電図装置と呼吸器はまだつけている。ちなみに、小型心電図装置は無線で飛んでるみたいで、この小型の心電図はナースセンターの方で全部管理されているらしい。何かあったら、すぐに対応できるというものだ。CTの結果は、薬が効いてほぼ血栓が消えいる感じです。とのことなので、明日のエコーの検査の結果をみて大丈夫であれば明後日そのまま退院という流れになった。

7 日目
レントゲンとエコーの検査を行った。今日は1 日特に何があるわけでもなく、そろそろ退院できそうということを、周りの友人や知人会社の人たちに伝え始めた。午後に先生が来るとエコーを見る限り心臓の腫れもひいているし、とりあえず退院できるという報告を受けた。先生からは薬が効いて良かった。これで死んじゃう人もいるんで本当に良かったです。と言っていただいた。この後は経過観察で、通院をすることになる。通院でもう一度 CT を取って、血栓が再度、全部とれているかをチェックするという流れになる。次の検査は 1 ヶ月後。明日退院になるのだが、禁止事項は特にないらしい。食事制限もなければ、アルコール制限もない。唯一あるとすれば、さらさらになる薬を飲んでいるので、怪我をしないようにしてくださいとのことだった。怪我をすると血がなかなか止まらなくなるそうなので、そこだけは注意しないといけない。

最後に
人はすぐに死ぬんだな・・というのを実感した。今回は、どこかが痛いわけでもなくて、普通に生活できていたのに、いきなり集中治療室に連れて行かれ、まさかまさかの入院だった。テレワークエコノミー症候群は誰にでも起こり得ると思う。恐らく普段少しずつは血栓ができてると思うので、長期間が会議をする場合は、気をつけるようにしたほうがいい。水を飲んで足を動かして、できるだけ運動をすること。それがテレワークエコノミー症候群をなくす唯一の手段。
健康っていいよね。おしまい



























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