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Quadratic Funding(クアドラティックファンディング)とは?革新的な資金調達の仕組みをわかりやすく解説!

こんにちは、Daishoです。

今回は、有名なWeb3プロジェクトのGitcoinでも使われている革新的な資金調達の仕組み、Quadratic Funding(クアドラティックファンディング)を解説していきます。

この記事で解決できること

  • Quadratic Funding(クアドラティックファンディング)とは何か?がわかる

  • DAOの資金調達の仕組みを作るヒントを得られる

  • クラウドファンディングとの違いがわかる

  • 大口投資家よりも小口投資家の影響力を強くできる仕組みがわかる

以下のストーリーを読むことで、Quadratic Funding(クアドラティックファンディング)を理解することができるようになります。

とある文化祭のストーリー

ある日、アヤカは学校の文化祭で新しいゲームコーナーを作りたいと考えました。しかし、そのためにはお金が必要です。どうやってお金を集めるか悩んでいると、友達のタクマが助けてくれることになりました。

タクマ: 「アヤカ、クラウドファンディングって知ってる?これは、たくさんの人から少しずつお金を集める方法だよ。」

アヤカ: 「どうやってやるの?」

タクマ: 「まず、ネットでプロジェクトのページを作るんだ。そして、どれだけお金が必要か、何に使うかを書いて、みんなにお金を出してもらうんだ。例えば、友達や家族に『ゲームコーナーを作るから、100円でもいいから出してくれない?』って頼むんだよ。」

アヤカ: 「なるほど。たくさんの人が少しずつ出してくれると、合計で大きなお金になるんだね!」

その夜、タクマの兄、ユウタが話に加わりました。

ユウタ: 「アヤカ、クアドラティックファンディングってのもあるんだよ。これはもっと面白いんだ。」

アヤカ: 「どう違うの?」

ユウタ: 「この方法では、お金を出す人が多いほど、さらに多くのお金が追加で提供されるんだ。例えば、10人がそれぞれ100円を出すと、単に1000円が集まるだけじゃなく、追加で学校からもっと多くのお金がもらえるんだ。他のクラスの企画よりも、たくさんの人数の応援があるほど、もらえるお金も増えるんだよ。」

アヤカ: 「それってどういう仕組みなの?」

ユウタ: 「具体的にはちょっと複雑なんだけど、簡単に言うと、たくさんの人が少しずつ出すことで、1人が同じお金を出した時よりも、その価値がもっと大きくなると考えるんだ。だから、みんなが応援してくれると、さらにお金がもらえる仕組みなんだよ。」

アヤカ: 「ありがとう!つまり、クラウドファンディングはたくさんの人から直接お金を集める方法で、クアドラティックファンディングはたくさんの人から応援があると、さらに多くのお金がもらえる方法なんだね。」

ユウタ: 「そうそう!文化祭のプロジェクトにぴったりかもね。」

Quadratic Funding(クアドラティックファンディング、QF)とは?

中学生でもわかるように一言で言うと「みんなの寄付が集まるほど、もっとお金がもらえるようになる仕組み」です。

具体的には、プロジェクトが受け取る資金は「寄付された金額の平方根の総和の二乗」で表します。

これだけでは難しいので、以下の例を考えてみましょう。
A, B, C, Dの4つのプロジェクトで寄付があったとします。

A:1人が10ドル寄付(合計10ドル)
B:2人が5ドルずつ寄付(合計10ドル)
C:10人が1ドルずつ寄付(合計10ドル)
D:5人が1ドルずつ寄付(合計5ドル)

このとき投資家から別で集めた資金(プールされた資金)が1000ドルあるとします。

クアドラティックファンディングではこの1000ドルを、寄付する人の数が多かったプロジェクトに多くの割合で配ります。

そして、この配分の割合を「平方根の総和の二乗」で求めます。

A:1人が10ドル寄付(合計10ドル)

B:2人が5ドルずつ寄付(合計10ドル)

C:10人が1ドルずつ寄付(合計10ドル)

D:5人が1ドルずつ寄付(合計5ドル)

この割合で1000ドルを配分すると以下のように配られます。

A,B,Cは10ドルの寄付、Dは5ドルの寄付があったため、最終的に各プロジェクトが手に入るお金は以下のようになります。

A:74.52ドル
B:139.03ドル
C:655.16ドル
D:171.29ドル

つまりクアドラティックファンディングは「みんなの寄付が集まるプロジェクトほど、もっとお金がもらえるようになる仕組み」になっているわけです。

ここから上記の計算のシミュレーションを何も考えずにできます↓

クアドラティックファンディングは何がすごいのか?

自分がほんのちょっとしかお金を出すことができないとしても、全体を見たときに大きな影響力を持つ源になることができます。

1コイン1票の投票権を持つDAOとクアドラティックファンディングで比較してみるとわかります。

1コイン1票の投票権を持つDAOでは、投票権は保有するコインの数に比例します。

つまり、たくさんのコインを持つ人がより多くの票を持ち、決定権も大きくなります。

例えば、以下のような状況を考えてみましょう。

  • Aさん:100コインを保有

  • Bさん:50コインを保有

  • Cさん:1コインを保有

投票結果はコインの数によって決まるため、Aさんが圧倒的な影響力を持つことになります。この場合、少額のコインしか持たないCさんの影響力はほとんどありません。

対して、クアドラティックファンディングは、資金配分をより公平に行うための仕組みです。

寄付の影響力は寄付額の平方根に基づいて計算され、全体の資金はマッチングファンドによって増幅されます。

具体的な例を見てみましょう。

  • Aさん:100ドルを寄付

  • Bさん:50ドルを寄付

  • Cさん:1ドルを寄付

クアドラティックファンディングでは、それぞれの寄付の影響力は以下のように計算されます。

  • Aさんの影響力:√100 = 10

  • Bさんの影響力:√50 = 7.07

  • Cさんの影響力:√1 = 1

寄付の影響力が平方根で計算されるため、大口寄付者と小口寄付者の影響力の差は小さくなります。

さらに、これらの影響力を基にマッチングファンドが配分されるため、小口寄付者でも全体に大きな影響を与えることができます。

さらに噛み砕いた例で見てみましょう。

コミュニティで新しい公園を作るための資金を集めるとします。

以下のような寄付が集まった場合を考えます。

  • Aさんが100ドルを寄付

  • Bさんが50ドルを寄付

  • 100人のCさんがそれぞれ1ドルずつ寄付

1コイン1票のDAO方式では、Aさんの寄付が圧倒的に優位になります。

しかし、クアドラティックファンディングでは影響力が以下のようになります。

  • Aさんの影響力:10

  • Bさんの影響力:7.07

  • 100人のCさんの影響力:100 × 1 = 100

この場合、100人のCさんの合計影響力が非常に大きくなり、全体の決定に大きな影響を与えます。

つまり、小口寄付者の集合が大口寄付者に匹敵する、あるいはそれ以上の影響力を持つことができるのです。

クアドラティックファンディングを利用することで、少額の寄付でも大きなインパクトを生み出すことができるため、個人の寄付額が少なくてもコミュニティ全体の意思決定に貢献できるのです。

そのため、自分がほんのちょっとしかお金を出すことができないとしても全体を見たときに大きな影響力を持つ源になることができます。

クアドラティックファンディングの課題点

シビル攻撃

シビル攻撃とは、悪意のあるユーザーが多くの偽アカウントを作成し、それぞれのアカウントから少額の寄付を行うことで、寄付を分散させる行為です。

この方法で、補助金のマッチング額を不正に増やすことができます。

対策として、ユーザーの認証や検証を行うシステムが必要ですが、このようなシステムはプライバシーの問題を引き起こしたり、実行コストが高くなったりする可能性があります。

マッチングファンドの資源確保

クアドラティックファンディングの効果を最大限に発揮するには、十分な規模のマッチングファンドが必要です。

このマッチングファンドを確保するためには、信頼性のある大口の寄付者やスポンサーを見つける必要があります。

また、これらの寄付者やスポンサーから継続的に支援を受けることが課題となります。

クアドラティックファンディングを使っている有名なプロジェクト「Gitcoin」では「Gitcoin Passport」でアカウントを認証することでシビル攻撃を防いだり、企業、財団、個人などのスポンサーと提携してマッチングファンドの資源確保しています。

参考文献

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