見出し画像

4-6月期の経済成長率に注目

1.日本経済の1-3月期は小幅マイナス

本日、日本の今年1~3月期GDPが発表された。実質で前期比0.9%減、年率換算で3.4%減となった。1~3月期は新型コロナの影響が多少あったとは言え緊急事態宣言は4月に入ってからであり、4~6月期はさらに大幅な落ち込みが確実視される。

外出自粛中の日本や、ロックダウンの米欧など、新型コロナ感染防止対応の本格的な影響が反映される4~6月期の実質成長率に注目していく必要がある。GDPは付加価値額ベースなので、外食の落ち込みなどはあまり大きく反映されないのではないか。

2.米欧経済の4-6月期は悲惨な状況

米議会予算局(CBO)は、新型コロナウイルス危機を受け、米国の今年4~6月期の実質GDP(国内総生産)が年率換算で前期比39.6%減と、記録的な落ち込みになるとの予測を示した。少し前の見通しだが正しいと思う。

欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルスの感染拡大を反映したユーロ圏の経済予測として、最も厳しいシナリオで、4~6月期の実質GDPは前期比15%減に落ち込むとした。残念ながらこのシナリオ以上の厳しい結果になってしまうだろう。ユーロ圏経済は今年7.7%縮小、来年6.3%拡大(EU春季経済見通し)と将来への期待を抱いているが来年のリバウンドは可能だろうか。英国経済もBOEがマイナス14%との見通しを示した。

欧米経済にとって雇用の崩壊が痛い。これにはサービス産業への依存もある。米国は4月の就業者数が前月比2050万人減である。5月も悪化が続くのが確実で、6月になっても戻らないだろう。欧州も米国ほどではないが、一時帰休やレイオフがひどい。一般的には、所得が減った若しくは今後の所得減の不安で、外出禁止の暇つぶしにネットで消費しているどころの場合ではない。(それでも任天堂スイッチはバカ売れしているらしいが。)

かように米欧経済はかなり悲惨な見通しが確定である。気の毒なことに連鎖的にいろいろな悪いことが起きてしまった。しかも、ロックダウンに不満を募らせた人が反動であれだけ外にでてしまっては、第二波として比較的大きな波が来そうな気配だ。

3.日本の4-6月期はマイナス予想だが特需に期待

日本経済はどうか。もちろん楽観はできない。前期比年率でマイナス幅が2割を超える可能性がある。しかし、肌感覚ではもしかして、国内消費自体は巣ごもり消費の堅調などから、ふたを開けてみると意外に踏みとどまるのではないかとも考えている。そう、コロナ特需がバカにならない。

外出禁止ではなく、外出自粛で、近所へのお買い物はOK!としたのも良かったと思う。消費関連で私がふざけてカテゴライズしたコロナ特需の内訳をみてみよう。実は、需要の完全消失は外国人観光客分ぐらいで、それ以外は、必ず何かに置き換わっていたりする。それら特需や振り替え需要は無視できないサイズである。

 外食いかない需要⇒家食の伸び

外食行かなくなっても必ずどこかで食べている。コメ、パスタ、レトルト、カップ麺、ふりかけなどが好調。調味料も、生鮮食品も絶好調。コンビニ弁当も好調。但し、飲みの絶対量は減っている。ズーム飲み会で暴飲してしまうという話も聞くが。

 おでかけ止めた需要⇒おうち遊びとお取り寄せ

家でゲームや映画などエンタメ三昧。家でヒマつぶしにポチっとお取り寄せ。ジムの替わりにトレーニング器具かリングフィット。自転車乗りはローラー台。珍しく本も売れている(通販)。

 コロナ怖い需要⇒感染症対策商品

マスク、消毒薬(アルコール)、除菌製品は需要爆発中だ。フツーの国なら全部輸入になって成長に貢献しないのだが、日本は全部作れるので成長に貢献する。皆さん、マスクもアルコールも除菌ウェットティッシュも日本メーカーさんがどんどこ増産されているので、ちゃんとした国産品を買えるまでもうちょっとの辛抱です。

 在宅勤務需要⇒ホームオフィス用品

リモートワークの為のホームオフィス用品がバカ売れ。パソコン、ルーターも飛ぶような売れ行き。大学もリモート授業化を一斉に開始、これまでパソコン買わずにスマホだけで済ませていた学生も皆パソコンとWi-Fiルータが必需品となり、あわてて買っているらしい。ビックカメラドットコムやヨドバシドットコムでも売り切れ品続出。テレビ会議で家の中が映ってしまうので、映りが良いように高級家具や見栄えの良い家電といったリモートワークに直接関係ない「不要不急」需要も絶好調らしい。(ニトリが絶好調と聞く。)

 在宅息抜き需要⇒おうちカフェ

紅茶・コーヒー・日本茶需要が急増。いつもだと会社の近くとか外出ついでについついスタバかもしれないが、家で紅茶・コーヒー・日本茶を大量消費中で、なくなるのが超早い。コンビニスイーツも売れまくり。この間、白金の有名スイーツ店に行ったら結構繁盛していた。これもおうちカフェ需要?

こうした代替需要や特需(新規需要)が大量に発生して、時間とカネが流れ込んでいるのは事実。マクロでみて、さすがに失われた需要を補うほどではなかろうが、ある程度、マイナス分を埋めてくれるのではないか。話を聞いている限り、外食や観光にかかわる以外のところで、外出自粛中でも日本人のマジョリティーは現時点では所得が目に見えて減っているわけではないので、意外とアクティブに消費しているのではないかなと思ったりする。確かに家にいるとネットショッピングぐらいしか楽しみがないでしょう。せっかくの自粛期間中もお金は貯まりませんでした ということにもなるが。

という訳で、外出自粛期間中の家食関係の情報やオンラインショッピング実績やクレジットカード利用実績(品目別動向)を注視している。また、5月いっぱいで緊急事態宣言が解除されて6月に消費が一気に出てくることにも大いに期待できる(もちろん第二波を防ぐために店も客も創意工夫で最大限の注意をしつつのものだが)。うまくいけば、4~6月期の日本のGDPはもしかしたら欧米各国のように二けたマイナスとまでひどくならない可能性もあるのではないか。関連指標の推移を祈るように見ているところだ。

関連記事:


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?