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緊急事態宣言解除。でもこれから本番。

5月25日、緊急事態宣言、全国で解除となった。

とりあえず感染拡大が止まってよかったと思う。ニュースで見ていても、これまで休業や営業時間短縮を強いられていた外食やサービス業の方々の喜びや張り切り方がハンパない。見ていて、こちらがうれしくなる。

感心するのは、やる気のある皆さんがいつにもましてクリエイティブすぎること。例えば、某居酒屋チェーンの対応は斬新だった。入口では液晶ディスプレーに映った女性がリモート受付、そして自分たちで個室へ勝手に進む。するとテーブルが人数分、透明樹脂のパーティションで仕切られている。注文はリモート、配膳もロボット。居酒屋というより、もはや別業種、ITリモートのショーケース、IT活用のフードエンタメ産業である。

人類は弱みを強みに変えて進化してきた。

山極壽一京都大学総長(人類学の大家で京都大学霊長類研究所にもながいこといらっしゃった)の含蓄あることばも頷ける。へこたれない。

さて、ここからはいつもの私のつまらない話。

1.経済は全治5年

本日のせっかくの明るい気持ちに水を差して申し訳ないが、新型コロナウイルスの脅威の次にわれわれが直面するのは、悪化に歯止めがかからない経済だ。こちらのほうが、ウイルスよりも質(たち)が悪いことを忘れてはならない。

最初の2か月は、感染防止策の影響を受けた移動及び接触産業のダメージだった。特に日本はロックダウンも何もしなかったので、外食やサービスなど限定された部門の苦境が目立った。しかし、経済的なインパクトはこれから本格化する。今後数年間にわたって全産業に広がっていくだろう。もはや勤労者全て(公務員を除く)にとって対岸の火事では済まされない。

まず、輸出に関連した製造業がやられ始める。谷の深さはリーマンショックとは比較にならない。米国も欧州も中国もアジアも悪いのだから、どうしようもない。次に、素材、エネルギー、運輸等の幅広い分野へと波及していく。そして、雇用者の所得減や失業の波が、内需産業まで覆いつくす。景気回復はおそらく世界全体が立ち直ってくるまで待つかもしれない。

安倍総理が言及した通り「世界経済の復活なくして日本経済の力強い再生もない。」のです。

2.感染防止のコスト増

外食業やサービス業は久々の本格的な営業再開に備えてアドレナリン全開の模様だが、感染防止にかかるコストと労力が大変である。売り上げが持ち直さない中でいつまで継続できるのか。

社会全体のコストや労力も膨大である。もちろん需要創出効果もあるのだが、コストは最終的には価格に転嫁されるし、転嫁できない部分は労働強化として労働者の負担増大とならざるを得ない。

安倍総理の説明にも「仮に国民全員が毎日使い捨てマスクを利用するとなると、その需要は月30億枚を超えてしまう」とあった。もちろん、再利用可のアベノマスクもあるので、そんなことにはならないが、輸入でディスポーザブル8億枚を賄うとしてもそのコストたるや膨大だ。また、あらゆる店舗や企業や公共の場所に置かれているアルコール消毒薬もそうだ。第二波、第三波に備えた医療体制や防疫体制の拡充も結局は国民の負担として跳ね返ってくる。

感染防止策がビジネスとして新しい成長の芽になることもあれば、単なる社会の負担増になっている部分もあることに留意する必要がある。金目のところはケチる必要はまったくないが、経済効果にならず単に追加的作業が積み重なって疲弊していく人も出てくることには要注意だ。できれば、新薬開発だけでなく、感染防止の手間をさまざまな技術や新しいサービスで代替する工夫を通じて、成長につなげていくとりくみが必要であるし、政府はバラマキはそろそろ止めて、そのような成長の芽に転化できそうなところをうまく支援していくべきである。

そうでなければ、新しい生活様式が、感染の心配と感染防止の手間ですり減る一方の困った時代になってしまう。

3.企業部門で痛みを伴う経営改革が始まる

大企業を中心にダウンサイジングが本格化する。ポストコロナで収益を悪化させた企業は経費削減を急ぐだろう。

リモートワークは感染症対策で止むに已まれず開始したもので、今や勤労者の多くはこのほうが良いと感じている。しかし、リモートワークが心地良いと感じられるのは雇用が継続している間だけだ。リモートワークは勤労者の企業忠誠心を希薄にするが、会社側も勤労者一人ひとりに対する関心を希薄化する。

会社側はオフィスに勤労者全員のスペースを用意することを徐々に止めるだろう。利便性の高い場所にあるオフィスは当然ながら賃料も高い。コスト削減には大いに貢献するだろう。

もちろん、それで終わるわけではない。リモートワークで得られたデータをもとに、各従業員の生産性(アウトプット)を調べ上げる。給与に反映させるのは当然だが、一歩進めて、選別を進め始めるだろう。そのとき、経営学的にどのようなモデルが流行っているかにもよるが、端的にいえば、会社に残す人材、削減する人材、残す仕事、アウトソースする仕事を選別し、ニューノーマルに適応した企業形態を模索しつつ、ダウンサイジングを進めていくだろう。

実力のある勤労者は会社が選別プロセスに入るより前に、個人事業主化していくだろう。会社と年俸契約をする方々も出てくるだろう。一方、「居るだけ社員」は給与が減少、若しくは、雇用契約を解除されるであろう。今は国も企業も「雇用を守る」と殊勝なことを言って居るが、ポストコロナ時代には最早そのようなことを言って居る余裕は無くなるだろう。

4.国際協調体制の揺らぎが本格化

安倍総理が言及した通り「世界経済の復活なくして日本経済の力強い再生もない。」のだが、その世界が共に繁栄するというビジョンが今のところなかなか見えてこない。

またまた米中間で言い争いがあった。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は(5月)25日の記者会見で、香港の国家安全法成立後の対中制裁を示唆したオブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の発言を受け、「米国の一部政治家が全国人民代表大会の香港関連議事について発する雑音に断固反対する」と非難した。外交ルートを通じて既に抗議したという。(時事)

米中対立はどこまで深まるかはわからないが、少なくとも緊張緩和にもっていくまでには相当な時間を要しそうだ。経済制裁のレベルにとどまってくれればよいのだが、万が一、台湾や韓国レベルの国が巻き込まれる紛争になれば、世界は大きなダメージを受ける。全治5年では済まなくなる。

 安倍晋三首相は(5月)25日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大について「中国から世界に広がったのは事実だ」と述べた。一方、新型コロナの感染源をめぐる米国と中国の対立を念頭に「こういう時は世界中が協力しなければいけない」と強調した。
 首相は、世界保健機関(WHO)が新型コロナへの国際社会の対応の検証を求める決議を採択したことを評価。「感染症に対しては、自由、透明、迅速な形で情報や知見が共有されることが重要だ」と語った。(時事)

日本のように持たざる国は、祈るしかない。

5.新しい生活様式

ここからは余談。冒頭の山際先生のことばにもあるが、『人類は弱みを強みに変えて進化してきた』。いろいろ大変なことも起きるだろうが、変化をチャンス、ピンチをチャンスに変えて、世界は続いていくのである。

前述した、居酒屋というより『リモート・フードエンターテインメント』に変身してしまった店には驚愕したが、クリエイティブな方々は次々と新しいトレンドやビジネスを繰り出してくるのだろう。リモートワーク、非接触、デジタル化、健康(免疫力)などキーワードはなんとなく揃ってきたが、その延長線上に、思いもよらない面白いトレンドやビジネスが出てくるだろう。不謹慎かもしれないが、今後、具体的にどのような『新しい生活様式』が出てくるのか楽しみにしている。

発症率が低い新型コロナウイルスなので、恐れすぎる必要はあまりないのだが、ワクチンや特効薬が無い中、フツーの人々が注目するのはとりあえず健康と免疫力なのかなと思う。外出自粛中に太ってしまった方々、ストレスを感じていた方々は気にしておられるだろう。

こんな記事があった。皆さん、コロナ太りの解消はどうされますか。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、在宅勤務や外出自粛が広がる中、民間企業のインターネットによるアンケート調査で「体重が増加した」と答えた人が36.5%に上ることが分かった。担当者は「『コロナ太り』が起こっている」と指摘している。
 調査はネットを使ったトレーニング指導を手掛ける「サーティフィット」(東京都)が12~13日に実施。全国の20~49歳の男女計600人から回答を得た。
 その結果、在宅の時間が増えたことで女性の42.7%、男性の30.4%が「体重が増加した」と回答し、全体の36.5%が体重増加を認めた。増加幅は「1~3キロ」が最も多く、平均で女性が2.6キロ、男性が3.3キロ増えたという。「体重が変わらない」との回答は女性で51.7%、男性で63.3%に上った。
 また、女性の55.7%が「長時間自宅にいることにストレスを感じている」と回答。同社の担当者は「体重増加の原因は、運動不足やストレスによる食べ過ぎなどが挙げられる」と話している。 (時事)

私は、外出自粛明けには趣味の自転車にまい進しようと、巣ごもり中に愛車(4台ある)の整備を済ませたが、皆さんは何をしようと考えていますか。

コロナとの共生、暫く続きます。

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