転売行為のミクロ経済的アプローチあれこれ
*本記事は無料で全文章を読むことができます.金額は投げ銭として設定しています.
先日このようなtwitterの投稿を目にしました.
詳しくは上のリンクを読んでほしいのですが,ざっくり説明するとANAはスイートラウンジを効用を最大化する顧客に利用券を配りたいわけではなく,長期的に”よい顧客”となる顧客に配りたいということが意図としてある.
ロイヤリティの増加が目的なので転売は望ましくなく,また,チケット料金を上げることによる利潤増加はチケット転売問題の解とはなりえないわけです.
いままでチケット転売を経済学的アプローチで説明しようとすると,
"社会的余剰の観点から転売を認めた方がよいのではないか?"
というような結論に落ち着くものが多い印象だったので,興味深かったです.
今回の事例では,ANAが(金銭のやり取りの発生しない)譲渡を前提として権利を扱っているというのがかなり特殊だと感じるので,通常のチケット転売問題とは異なるかも知れませんが,そもそも利潤最大化としてではなくチケットのやり取りが行われているのはかなり興味深いと言えます.
…しかし,チケット転売問題ってどうやって論じたらいいんでしょうね?
「バンドはチケット代だけではやっていけない!本当に売り上げがでるのは物販だ」という話も聞きますし,物販をブランドロイヤリティという観点の二部制料金的に扱ってもいいのでしょうか?
実際に宝塚などは席がステージに近いと料金が高いなどという形で変動分が存在するので(こういうアプローチが許されるなら)そこまで筋は悪くないと思います.
こういうアプローチで行けば,物販まで含めれば余剰が最大化されることになれば,転売の正当性はないことになります.
また,消費者と主催者側の(特に大きなバンドグループ等なら動学)ゲームの観点からも扱えるような気もしますが…
この点については専門家の新しい意見が出てくることを待ちたいと思います…笑
*以上で記事は終了です.
もしこの記事が気に入っていただけたら投げ銭として支援いただけると嬉しいです.
ここから先は
¥ 300
サポートいただいたお金は教科書や研究に関する本に使いたいと思います.読みたい本がいっぱいあるので…