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2月に読んだ本

母影 尾崎世界観 (新潮文庫)
子供の視点から母親の仕事や学校での出来事を描いた作品。尾崎世界観の小説を読むのは2回目だが表現力の高さ、言葉選びの美しさに感動した。また、子供が知らない感じは文章に使われてなくひらがなばかりで書かれているのも良かった。多少の読みづらさはあるが子供の純粋さ・善悪の区別がつかない感じがうまく表れていた。

効率よく「内定」獲得 就活の教科書 これさえあれば。 竹内健登 (TAC出版)
就活が不安で手に取った一冊。SPIやらESやらについてよく知らなかったし、就活をどう始めていけばいいのか分からなかったのでこの本のお陰で就活の基本知識は得られた。サークル・部活に所属しておらず、友人も居ない社交性も低い私が就活で成功することはないだろうと悟った。

「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である 名越康文 (夜間飛行)
大学生になってから友人も出来ず、ずっと一人でいて辛いので何か救いになるかもと思って借りた。内容としては『家族や友人などの群れ・グループから離れて、たまに「ソロタイム」を設けて自分自身を見つめ直そう』『感情をコントロールできるようになろう』といった感じだった。私はアンガーマネジメントできないので怒りの抑え方を知れたのは良かったが、孤独の解消となる手がかりはあまり得られなかった。西洋心理学から仏教の考え方まで色々な知識が書かれていて面白かった。

自己肯定感のスイッチが入る!自分を受け入れる力 午堂登紀雄 (青春出版社)
やたら自分のことを蔑んだり苦しくなったりするので、この本を読んで少し心が軽くなった。人と比べてしまうことや沈黙が続いて気まずくなってしまうことは考え方を変えれば、かなり楽に乗り越えられるという。自分にグサグサ刺さる言葉がたくさん書いてあったので、「相手は自分の意思ではどうにもできない」「悩みの9割は意味がない」などを意識しこれからしっかりしたい。自己肯定感を下げる習慣と上げる習慣が交互に書いてあったのでそれも良かった。

銀河鉄道の父 門井慶喜 (講談社)
かの偉大な宮沢賢治の父・政次郎の視点から宮沢賢治および宮沢家を描いた作品。宮沢賢治の作品はもちろん小学生の頃から知っていたが、生い立ちや当時の状況までは知らなかったのでこの作品を通して宮沢賢治への理解が深まった。政次郎の、父・家長としての葛藤や子に対する優しさが繊細に書かれていて、政次郎の思いがありありと伝わってきた。

公務員の仕事入門ブック (実務教育出版)
去年の授業で経済産業省の方の話を聞いてから国家公務員を選択肢に入れていたので、この本を読んで公務員の仕事や給与、試験について詳しく知れた。かなり細かく書いてあったので「こんな仕事もあるのか」と新たな発見があった。

破局 遠野遥 (河出書房新社)
外面上は真面目で優秀だが、内側に狂気を潜ませている大学生が淡々と身の回りの出来事を述べていくストーリーだった。最後の十数ページまではずっと単調であまり面白くなかったがラスト数ページの急展開が面白かった。セックスの描写が多くてエッチだった。

文芸ピープル 辛島デイヴィッド (講談社)
日本文学を海外向けに翻訳する人々の話。村上春樹が世界でも有名なのは知っていたが、村田沙耶香や吉本ばなななども最近は人気だということを知り驚いた。普段知ることのできない翻訳家と出版社の努力や苦悩が書かれていて面白かった。

公務員という仕事 村木厚子 (ちくまプリマー新書)
公務員の仕事内容ややりがいを、長年厚生労働省で働いていた著者の視点で書いた本。法の条文作成や災害対応、企業や他の省庁への出向など大変そうだが異動が多いのは飽き性の私にとっては魅力的だ。

落花生 折田洋次郎 (小学館)
生徒からの信頼が厚かった先生が不祥事を起こし、失業や妻の死がありながらも生きる意味を見つける漫画。前半は重い内容で胸が痛んだが、数年越しの教え子との再会により気持ちを切り替えていく先生の姿に心打たれた。

空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集 寮美千子編 (新潮文庫)
複雑な家庭環境で育ったり、DVを受けていたが故に問題を起こしてしまった少年たちの詩に感動した。詩の書き方などわからない彼らだからこそ表現できる純粋さがあった。親に対する感謝や謝罪の詩が多く、自分も親孝行していかなければと思った。

ねじ式 つげ義春 (小学館文庫)
永野さんがヴィレッジヴァンガードで10000円分買い物をするという動画でおすすめしていたので読んだ。正直なところよく分からなかった。説明もオチもない作品が多くて理解に苦しんだ。いつか面白さがわかる日が来るといい。

成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈 (新潮社)
何から何まで完璧だが変わり者の成瀬を色々な人の視点から描いた作品。高校入学と同時に丸坊主にしたり、M-1に出てみたり奇想天外な成瀬の行動がとても面白かった。私も変な人に恋することが多いので西浦の気持ちはすごい分かる。また、膳所高校と言えば阪大が誇るはなおの出身高校なので親近感が湧いた。

成瀬は信じた道をいく 宮島未奈 (新潮社)
今作も成瀬の変な行動がたくさんあって面白かった。小学生を弟子にするとかバイト先のクレーマーと協力するだとか奇想天外だが、その一つ一つに意味があり成瀬の信じた道を突き進んでいた。でかい数字を見た時に素因数分解したくなるのすごい分かる。

変な家 雨穴 (飛鳥新社)
かなり話題になっていたし映画化されるので今更ながら読んだ。正直なところあまり面白くなかった。違和感がある間取りから、殺人や左手供養と展開していく設定は良かったが、あまりにも突飛だった。トリックも文学性も中途半端に感じた。

納得就活 橋本之克 (マスナビブックス)
行動経済学を用いて就活の様々な問題への解決策を提案している本。これから直面するであろう問題の対処を学べたので活用していきたい。初めて聞いた行動経済学用語もいくつかあったので勉強になった。

オードリーのオールナイトニッポン トーク傑作選2019-2022 (新潮社)
めちゃくちゃ覚えてるエピソードも、知らない・忘れているエピソードもあって、新鮮であり懐かしい内容だった。読んでると実際にお二人の声で再生される感じがして楽しい。青チャート解きながら聞いてたな~としみじみ思った。今月に迫った東京ドームライブ(ライブビューイング勢)が楽しみ。

書を捨てよ、町へ出よう 寺山修司 (角川文庫)
タイトルだけは知っていたので興味本位で読んでみた。いくつか面白い考え方や参考になる意見があったが、競馬や風俗の話が多いし読みづらいところが多かった。自分にはまだ必要ないと思って読むのをやめた。

知的生活習慣 外山滋比古 (ちくま新書)
タイトルがかっけーので読んだ。知識礼賛主義の現代への意見やどうやって人生を豊かにするかが書かれていた。ただ「思考の整理学」と内容が被っているところが多々あったり、根拠もなしにゴリ押しの理屈で書かれているところが多くて参考にはあまりならなかった。

言葉の風景、哲学のレンズ 三木那由他 (講談社)
トランスジェンダーである著者が、LGBTQに関する問題や自身の好きな曲の歌詞や漫画を哲学的に分析している本。概念的には難しい話題を例をいくつか挙げて解説していて分かりやすかった。哲学の面白さを知ることができた。それと同時に自分はLGBTQについて何もわかっていなかったと痛感させられた。

図解 心理学用語大全 田中正人 齊藤勇監修 (誠文堂新光社)
心理学の抽象的な概念や興味深い実験や、日常生活に使える効果が図を多用して分かりやすく書かれていた。認知心理学や社会心理学はとても面白そうなのでもう少し調べてみたい。

ファーストラヴ 島本理生 (文藝春秋)
臨床心理士の由紀が女子大学生が父親を殺した事件に関わって、性虐待や親の愛などについて考えていく話。加害者の女子大学生が抱えている闇は一体なんなのかを、友人や元恋人、親の話から紐解いていくストーリーがとても良かった。フィクションだが、実際にこういった問題があるのではないかと怖くなった。

ブラックボックス 砂川文次 (講談社)
非正規雇用として職を転々としていたが自転車便で働いていたサクマが、些細なことをきっかけに感情が抑えられなくなり様々ないざこざを起こしてしまう話。職場の人間関係や恋人との同棲生活などを送る中での変化しない日常への不満や諦めを描いていた。なかなか暴力的な主人公だったので人生観に共感はできなかった。「変化」というテーマは面白かった。

ソラニン新装版 浅野いにお (小学館)
映画も2回観ているし曲も好きだが、肝心の原作を読んでいなかったので読んだ。何回見ても泣けるストーリーだし、やりたいことをやるのかやりたくない仕事をするのかという葛藤や恋人との関係を鮮明に描いていて素晴らしかった。おまけの「はるよこい」も良かった。

ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 (角川文庫)
読むのは2回目。大変賢い小学生たちが街に突然現れたペンギン、<海>、そしてお姉さんについての謎を解いていくSF作品。疑問に感じたことに対して仮説を立て実験して結論を出していく小学生たちの聡明さは見習わないといけないと感じた。アオヤマ君はよくおっぱいについて考えているが、そこは森見氏も常におっぱいのことを考えていることの裏返しだと思った。


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