4月に読んだ本

・運動脳 アンデシュ・ハンセン (サンマーク出版)
運動がいかに身体に良い影響を及ぼすかを世界各国の実験・論文から明らかにした本。メッセージは一言、「とにかく運動しろ!」だけ。最近は読書勉強映画鑑賞など座ってばかりいるので、「ちょっくら体動かしにでも行くか!」と思った。

・箱男 安倍公房 (新潮文庫)
段ボール箱に入り街で生活する箱男についての、箱男自身による記録の小説。設定が面白すぎた。「見ること」と「見られること」の話はとても面白かった。後半から話が複雑になってきて要領を得なかったが、解説を読んで多少理解した。安倍公房すごすぎる。

・正解のない教室 矢萩邦彦 (朝日新聞出版社)
リベラルアーツをテーマに様々な思考実験やAIとの共存などをざっくり説明した一冊。これからの時代に必要な知識の入門書という感じで興味深いことが多かった。注釈が多かったので参考になるかと思ったが、取るに足らない言葉ばかり取り上げていたのが残念だった。

・意味がわかる経済学 南英世 (べレ出版)
ミクロ・マクロ、金融、財政などを日本や世界の現状と照らし合わせながら解説した経済学の入門書。とても分かりやすい。読んでみて、知っていることが多かったのでもうそろそろこういう系の本からは卒業し、より専門的な本を読もうと思った。

・ある行旅死亡人の物語 武田淳志 伊藤亜衣 (毎日新聞出版)
現金3400万を残し、身元がよくわからないまま亡くなった田中千津子さんの謎に迫るノンフィクション。現実は小説より奇なりとよく言うが、まさに不思議なことばかりの事件の真相に迫る様子がとても面白かった、しかし結果的に何もわからずじまいで終わっているのが残念だった。蛇足の文も少しあった。

・家族解散まで千キロメートル(サイン本) 浅倉秋成 (角川書店)
様々な事情があり家族を解体することになった喜佐家が、倉庫で仏像を見つけるのだが、それはニュースで盗難騒動が出ている仏像そのものだった。その仏像を返しに行くとともに様々な謎や家族とは何かについてが書かれた本。中盤までは伏線回収が心地よいミステリーだったが、後半は家族の在り方を問う哲学的な内容で感動した。初めは「解体」だったが。最後は「解散」を選ぶというストーリーも面白い。さすが浅倉秋成!

・森見登美彦対談集ぐるぐる問答 森見登美彦 (小学館文庫)
偉大なる森見登美彦氏と様々な方との対談集。森見氏の頭の中を垣間見ることができた気がした。小説の書き方や交友関係も詳しく知ることができて色々な発見があった。

・夜行 森見登美彦 (小学館文庫)
十年前の祭りの最中、突如消えた長谷川さんの行方と「夜行」という作品を巡る話。美しい情景描写と、怪談チックなストーリーが素晴らしかった。闇と光、表裏一体。

・コンビニ人間  村田沙耶香  (文春文庫)
18歳から36歳まで、18年間コンビニバイトをし続けていた主人公の話。異物として排除されないために、人の真似をして「普通」の振りをして生きる主人公と、言い訳ばかりしてる白羽の異様な生活がとても印象的だった。

・何者 朝井リョウ (新潮文庫)
就活をする5人の大学生の話。内定が出た仲間の会社の評判を調べたり、SNSの裏垢で愚痴ったり、リアルな就活と上っ面の仲間意識が丹念に描かれていた。自分のことを言われているようで辛かった。映画は一度見たが、原作を読むのは初めてだ。就活中あるいは就活が終わった後にもう一度読みたいと思った。

・地球星人 村田沙耶香 (新潮文庫)
自分はポハピピンポボピア星人だと信じ、恋愛や生殖を強制する地球星人にうんざりしている女性の話。前半は子供の頃の話が描かれており、ポハピピンポボピア星の導入や性加害の話など盛りだくさん。後半は30代になった主人公の話でいかに「工場」から逃げるかが書かれていた。ラスト50ページは衝撃的で気持ち悪かった。

・男尊女卑依存症社会 斉藤章佳 (亜紀書房)
男尊女卑と依存症の関係を明らかにしながら、様々な事例を紹介し、依存症の怖さ・解決策を提示している本。自分もジェンダーバイアスが多少なりともあることに気付かされたし、「らしさ」が人を苦しめるなど依存症の理解を深めることが出来た。

・現代語訳論語と算盤 渋沢栄一 守屋敦訳 (ちくま新書)
日本経済の父・渋沢栄一による商売における道徳の必要性を説いた本。論語はもちろん、徳川家康などの偉人の話もちょくちょく出てきた。参考になる点が多く面白かった。おまけの渋沢栄一伝もよかった。

・牛乳配達DIARY INA (リイド社)
牛乳配達をしていた作者による自伝的コミック。絵は雑で味がある感じ、ストーリーはほっこりするものとシリアスなものがメインで面白かった。登場人物も個性豊かで良かった。

・インターネットポルノ中毒 ゲーリー・ウィルソン 山形浩生訳 (DU BOOKS)
様々な研究・ポルノ断ちをした人々の経験談から、インターネットポルノがいかに我々に悪影響を及ぼすかを示している本。ポルノ断ちするだけで外交的になるとか集中力が上がるとか、半ば信じられないことが書いてあったが実践してみたいと思う。放送禁止用語がバンバン書かれていて面白かった。さようなら、FANZA。

・立志の作法 渋沢栄一 (国書刊行会)
近代日本資本主義の父・渋沢栄一の仕事や人付き合いに関する考えをまとめた本。参考になるところが多い。これまでの自分がいかに無駄な時間を過ごしていたか、いかにダメな人間だったかを思い知らされた。

・阿Q正伝・狂人日記 魯迅 (岩波文庫)
何がなんやらわからなかった。

・三体Ⅱ上 劉慈欣 (早川書房)
Ⅰとは全然登場人物が違っていたし、面壁人と破壁人といった新しい存在が出てきてとても面白かった。内容はやはり難しいのだが、不思議とスラスラ読める。

・男子劣化社会 フィリップ・ジンバルドー ニキータ・クーロン 高月園子訳 (晶文社)
男子の悲惨な状況を分析し、なぜそういったことが起こっているのかを様々な観点から分析した本。興味深い話が多くて面白かった。

・本屋という仕事 三砂慶明編 (世界思想社)
本に携わる様々な人たちの本と本屋にかける思いをまとめた本。ざっくりであるが、本屋の大変さを理解できたし、これからもっとたくさんの本を読もうという気になった。こんなにも本に熱い想いを持っている人たちが大勢いるなんて驚きだ。

・三体Ⅱ下 劉慈欣 (早川書房)
「うおおお!これ一体どうなるんだ!」とワクワクドキドキするような展開ばかりで面白かった。理系の難しい話も多かったが、とても良かった。どういう結末になるのかとても楽しみ。

・聞く力 阿川佐和子 (文藝春秋)
インタビュー・対談をこれまで幾度となくされてきた阿川さんの、人の話を聞くときのコツをまとめた本。もともとインタビューが苦手だった阿川さんだからこそ見つけたポイントがとてもわかりやすく、かつ面白く書いてあって良かった。

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