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メディアが伝えない温暖化のリアル -1-

こんにちは、ノアクロです!

毎日本当に暑いですね。今年はコロナと猛暑のダブルパンチで生きた心地がしません。私の恋人も熱中症で倒れてしまい病院で診療を受けました。ちゃんと日傘を差していた(!)のにです。無事に復活しましたが、怖いですね😨

このイカれた暑さの原因はダブル高気圧だとテレビで報道されていますが、私はこれにとても違和感を感じます。気象的には正しいのでしょうが、気候的には何度もお伝えてしている通り、地球温暖化が原因であることは間違いないでしょう。

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海外の仕事が多い総合商社で働いている身としてよく感じるのは、日本では他の国に比べてもまだまだ環境意識が低いことです。古くから環境大国であったニッポンが、そのポテンシャルを活かしきれていないのは非常に残念に思います。

だからこそ私は、Climate Reality Leaderとして、世界を飛び回る商社マンとして、世の中の新常識である温暖化のリアルをお伝えしたいと思います。恋人のように、熱中症で倒れるような人がこれ以上増えるのは見たくないのです。

今回は、温暖化について全くわからないという人でも、読めば絶対に理解できるような解説を用意しました!温暖化はどうしても真面目でお堅い話になりがちですが、気軽に読んでもらえるように頑張ってポップに仕上げました。誰か褒めてください。

1.気温について

突然ですが、クイズです!A〜Dの中で一番暑い惑星はどれでしょう??

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A. 水星    B. 金星    C. 地球    D. 火星
ヒント: 太陽からの距離は水星→金星→地球→火星の順で近いです。
水金地火木どってんかいめい…ですね。

3...

2...

1...

Time up!答えは出ましたか?ファイナルアンサーですか??
正解は、、、なんとB. 金星でした!

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A. 水星(+167℃)B. 金星(+464℃)C. 地球(+15℃)D. 火星(-65℃)

A. 水星を選んだ人、引っかけのヒントを出してごめんなさい。素直ですね。
クイズだから何かヒネりがあると読んでA以外を選んだ人、さすがです。
色の雰囲気でなんとなくB. 金星を選んだ人、野生の勘が鋭過ぎます。
それにしても金星の+464℃は暑すぎでは?普通に考えたら太陽に近い水星の方が暑くなりそうですが、、これはどうしてなんでしょうか??🤔

実はこれには大気の存在が大きく影響しています。

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金星は他の星に比べて大気の層がとても厚いんです。大気は布団のようなもので、これがないと太陽からのエネルギーを上手くキャッチできません。
コタツにコタツ布団がついてないとイマイチ暖まらないのと同じ感じです。
水星は確かに太陽から一番近いのですが、この大気の布団が薄いためにそこまで暑くならないのです。逆に金星はこの大気のせいで異常に温度が高くなっているので、「気温には大気がめちゃくちゃ重要」ということが、このクイズでお伝えしたいことでした。

ちなみに大気の成分にも色々な種類があり、太陽からのエネルギーを上手くキャッチできるものとそうでないものがあります。上手くキャッチできるものを温室効果ガスと呼び、代表的なものに二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)があります。
そして金星の大気の成分のなんと97%が二酸化炭素です。だから暑いんですね。勘の良い人はここで何かを察しましたね。伏線が太すぎですね。

話を地球に戻して、私たちの生活している地球でもこの大気の布団があるおかげでいつもポカポカと暖かいですし、何より呼吸ができます。ありがたいですね。しかし地球の大気(空気)の中身は金星のそれと違っていて、二酸化炭素はほんの少し(0.04%)しか含まれていません。

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地球の大気の主な成分は、温室効果ガス”ではない”
窒素(N2)と酸素(O2)が殆ど。

地球の場合、二酸化炭素のような温室効果ガスが絶妙な隠し味として空気にブレンドされていることで、丁度いい温度が保たれているという訳です。逆に言うと、この0.04%の配合を間違えると、温度が金星みたいにとんでもないことになってしまうということは想像できますか??


2.二酸化炭素について

これまでの話から、大気中の二酸化炭素が増えると気温が上がって温暖化してしまう、ということは分かったと思います。
「待て、人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐いているから呼吸をすると温暖化が進む。もしかして息を止めた方がいい?」と心配された方。
大丈夫です。落ち着いてください。はい、深呼吸して。
小学校の理科で習いましたが、植物が光合成の力によって二酸化炭素を吸って酸素を吐いてくれるので、私たちの呼吸で生じる二酸化炭素とのバランスは取れています。生物って不思議ですね。

それでは一体何が最近の温暖化の原因になっているかというと、
これまで地中深くに封印されていた二酸化炭素の”素”である化石燃料(炭素)を人間が掘り起こして燃やしまくっていることが一番の原因です。

その大昔、人間がまだ誕生する前、地球は今よりもずっと暑い灼熱だったと言われています。その頃は大気中の二酸化炭素のブレンドも今と違って、もっと濃かったため、とても人間が住めるような気温ではなかったのです。そこに植物が先に誕生し、数十億年(!)かけて光合成によって二酸化炭素を酸素に変えることで現在のような住みよい温度まで下げてくれました。人間を含めた生き物が快適に過ごせる気温になったのは、このような植物の偉大な力があったからです。感謝しかないです。

ここでまたクイズです!以下の[?]には何が入るでしょう??
化学の問題ですが、考え方は足し算・引き算と同じで大丈夫です。植物が光合成をした後に残るのは、酸素と何?という問題です。

CO2(二酸化炭素)= O2(酸素)+[?]

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答えはC(炭素)が入ります!正解できましたか?

植物は光合成によって二酸化炭素を酸素に変えますが、その過程で炭素を体内に取り込みます。大気中に含まれていた二酸化炭素は炭素に形を変え、植物の成長サイクルの中で地中に堆積されて長い年月をかけて封印されてきたのです。こうして数十億年をかけて封印されてできたのが石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料ということになります。

燃料というのは人間目線での勝手な表現ですが、要するに人間が誕生する前の昔、大気中にあった二酸化炭素が化石となって封印されたものと考えて問題ありません。同じ炭素原子なのに、地下に封印されているのと空気中にあるのとで全然意味合いが違うということです。化学って不思議ですね。

今、現代の私たちがやっていること、ガソリンを燃やして車を動かしたり石炭を燃やして電気を作ったり、化石燃料を燃やす全ての活動は、数十億年かけて完成させた封印を解放し、大昔の灼熱の大気に戻すことを意味しています。

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確かに化石燃料を消費したおかげで人間の生活はとても豊かになりました。ですが、これがまさにパンドラの箱だったのです。厄介なことは、この二酸化炭素は目に見えないし臭いもないので、普通に暮らしていてもヤバいことに全く気づけないことです。数十億年かけて封印されてきた炭素がこの数百年で一気に二酸化炭素になって大気中に放出されていることを考えると、如何に危険なことをしているかがわかるでしょう。

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「もっと木を生やせばいいじゃん!」と考える人もいますが、数十億年の歴史の結晶としてできたのが化石燃料ですから、今この瞬間に地上にある植物だけでは到底吸収し切れないのです。文字通り、全く桁が違うのです。

最近、よく耳にする「低炭素社会・脱炭素・卒炭素カーボンフリー」といった炭素に関する言葉は要するに「もうこれ以上、化石燃料を燃やして大気中の二酸化炭素を増やすのをやめよう。そうしないとみんなが温暖化で死んでしまう!」ということなんです。
自分で自分の首を絞めている訳ですから、当たり前のことです。


3.温室効果について

ちょっと専門的になりますが、二酸化炭素がどうやってエネルギーをキャッチしているかについて、興味のある人のために解説します。
(厳密な正確さよりも感覚的な分かりやすさを優先しています。)

まず一つ目の大前提として、我々が目に見えている光というのは電磁波の一種です。名前に波とついているように、電磁波は波の性質を持っていて、この波の長さによって電磁波の性質が変わります。また波なので周期的に同じ形を繰り返しますが、この繰り返しの速さのことを周波数といいます。

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我々が目に見える電磁波がたまたま赤・緑・青という光なだけで、他の赤外線や紫外線といったものも波の長さが違うだけで基本的には同じ電磁波の仲間なのです。

実は、電磁波は温度を持っているあらゆるものからエネルギーとして放出されているので、驚くべきことにあなたの体からも電磁波が出ています。今もこの瞬間に、すべての人は電磁波を垂れ流しているんです。ヤバくないですか?物理って不思議ですね。

太陽はとても温度が高いので、エネルギーの強い電磁波を放出しています。エネルギーが強い電磁波は波長が短く、持っているエネルギーが弱まると波長が長くなります。そういうものだと思ってください。

さて地球に降り注ぐ太陽からの光は、地面に当たってエネルギーを失って可視光から赤外線に変わります。(上の図で右側にシフトします)
「焼肉を遠赤外線で加熱すると美味しい!」というように、赤外線は熱に密接に関係しています。なんだか繋がってがってきましたね。

そして二つ目の大前提として、二酸化炭素は炭素原子1つ、酸素原子2つの3つの原子が繋がり合ってできている分子です。
以下の図解(クリックすると動きます)のように、この分子は振動したり伸びだり縮んだりしています。この二酸化炭素分子の動きと赤外線の持つ波の周波数のタイミングが重なるとき、不思議なことに分子は赤外線のエネルギーを吸収します。

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本来であれば宇宙空間に帰っていたはずの赤外線が、二酸化炭素があることによって吸収されて熱となって地球に留まり続けてしまっているのです。これが「温室効果の正体」です。イメージは湧きましたでしょうか?

因みに、二酸化炭素(CO2)は腕(炭素と酸素の結合部分)が2本あるのに対して、同じ温室効果ガスの仲間であるメタン(CH4)は腕(炭素と水素の結合部分)が4本もあります。
温室効果は腕の本数が多い方がその効果が強くなる傾向があるため、なんとはメタンは、二酸化炭素の25倍の温室効果があるとされています。
この恐ろしいメタンが地球上のどこかに時限爆弾として大量に眠っていて、爆発間近だという話はまた別の記事でお話しします。。。


おわりに

​最後まで読んでいただきありがとうございます!

普段なんとなく耳にしている温暖化がどういうものか、わかってもらえたと思います。

スケールが大きく、目にも見えない話なのでなかなか実感が湧きづらい部分もあると思いますが、最近の異常気象の数々は紛れもなく温暖化が差し迫った状況であることを示しています。地球儀に立つ自分を体感してみることが必要です。そう、まさにこの記事を読んでくださっているあなた!

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聞こえますか!

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あなたですよ!

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少しは体感できました??

解説の途中に、生物・化学・物理の基礎的な知識を使って説明しました。この気候の分野はまさに理系科目の総合格闘技と言えるでしょう。数十年前から世界中の科学者や研究者たちの目には、温暖化がこのように映っていて、サイレンを鳴らし続けているのです。だからといって文系の方にとって温暖化が無関係という訳では当然ありません。この問題に無知でいることはもはや罪なのです。
パソコンの中身がどう動いているか分からなくてもパソコンは使えるのと同じように、細かい理論までは分からなくても現状を認識して、正しい行動をすることは誰もができるのです。

温暖化は明らかに自分たちの首を絞めることがわかっているのに、どうして十分に対策が進んでいないのでしょうか?これは一言でいうと化石燃料はカネになるからです。世界はお金を中心に回り過ぎてしまったのです。そして、いつも声が大きいのは貧者ではなく富者なのです。残念ながら、自分が儲かれば他がどうなろうと知ったこっちゃないという考えが存在します。この辺りはまた別の記事にてお話しします。

最後に一つ、夏が過ぎて気温が落ち着いてくるとこれを読んだ99%の人がこの恐怖を忘れます。まさに喉元過ぎれば熱さを忘れてしまうのです。そうしているうちにもどんどん状況は悪化していくにもの関わらず、です。
来年は今年の比じゃない可能性が高いです。是非、日常生活の中に少しでも環境意識を持ち続けてください。ノアクロからのお願いです。

改めて、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また会いましょう。

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