活字で溺死する休日

 定期的に、致死量の活字を接種して溺死したい時期がくる。今である。

 毎日本を読む習慣はあるが、そんなもんじゃ足りない。1日1冊か2冊くらい読んでも足りない。寝ても覚めても活字を欲している時期。そう、今。

 土日は何もしないと午後起床になる私だが、この土日は朝7時に起きて、ジャスティーン・ラーバレスティアの「あたしと魔女の扉」「あたしをとらえた光」「あたしのなかの魔法」の三部作を読んだ。ハヤカワはSFのイメージだったが、本作は魔法を題材としたモダンファンタジーである。文体が児童文学みたいに柔らかく、読みやすい。

 以下、本作のネタバレが多少含まれるので注意してほしい。

 魔法といってもハリー・ポッターのようなハイファンタジーではなく、日常を少しだけ外れた場所にあるファンタジーで設定は私好みだった。

 第一部のタイトルを見た時、魔法と児童文学の好きな妹を思い出した。「これは妹にあげよう」と古本屋をめぐって妹用に三冊をそろえた。本当は新品を渡したかったが、重版されていないのだ。

 第一部読了した時は「やっぱり妹にぴったりだ」と思っていたが、第二部で15歳の主人公が妊娠し、第三部で永遠に湿度高めでいちゃついてる15歳カップルが出てくるあたりで「あんまりかも……」となってしまった。思春期の抱える憧れや恋愛観や情欲の描写はリアルだったが、そのリアルさを妹は好まないだろう。第二部ではもちろん、妊娠に至るまでの過程も描かれるので(朝チュン的な、直接的な表現はないけど)「これを妹に渡していいのか……?」と少し悩んだ。

 少し悩んで、「でもまあ、妹ももうお酒飲める年齢なわけだし」と思い気にせず渡すことにした。

 今は「燃えよ剣」を読んでいる。皆が大好きなのと同じように、私も新選組が大好きなのだ。友人(藤堂平助推し)に勧めてもらった秋山香乃さんの「進撰組藤堂平助」がかなり良かったので、古本屋で別作品の「歳三往きてまた」を探したところなかった。燃えよ剣はあったので、「読んだことないし読んでみるか」と思ったわけだ。

 ところで、本が好きな人間のことを「本の虫」という。この表現は可愛くない。なんかもっと、「本の妖精さん」とか、可愛い表現にしてほしい。


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