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窓に“その日の日付”を入れて検索すると、先生が出してくれる一覧のトップの方にwikiが出てくる。クリックするとその日にあった歴史上の出来事が年代順になって並べられる。

眺めていると飽きない。最近、日課になっている。

9月15日には、1440年にジル・ド・レエが逮捕され、ナント宗教裁判所へ出頭したり、2008年にアメリカ投資銀行大手のリーマンブラザースが連邦倒産法第11章の適用を申請し倒産したりしていたが、それらの中でふと以下の出来事が気になった。

1931年、イギリス海軍大西洋艦隊の水兵が、給与削減に抗議してストライキを起こす。インヴァーゴードン反乱とも呼ばれている。

Wikiより

なんぼ世界恐慌の頃だとしても、給与低くくて軍隊がストライキを起こすとか、そんな事あるんかいな?とちょっと驚いたのである。
経緯を追ってみると、さすがイギリスだ!と感じた。

政府による支出削減の計画が因となったらしく、削減対象に含まれていた海軍の上級兵士や士官の削減率が10%に対して、下級兵士の削減率が25%だったという。(おいおい・・・)

最低限の給与しか支払われていなかった最底辺の水兵達にとって到底受け入れられるものではなく、政府削減案を海軍省が認めた事で反乱を起こすに至ったようだ。

”給料低くて最悪死ぬとか関係ねぇから!削減っつったら削減だから!よろしく!”という感じがしないでもない。

結局、投獄者や他国へ亡命した者が出たり、400名ほどが除隊処分になったりしつつ、交渉の末、削減率は一律10%という事で決着を見ている。

恣意的な見方ととられるかも知れないが、イギリスって時々、部分的に突出して杜撰というか、何かの目標を達成する為には多少の問題は、それが例え多少でなく大きな問題であろうとも、何の躊躇もなく平気でブッチぎる傾向があるのではないか?と感じる。

そう感じられる事例が多々見受けられると思うのは、私の見方が偏っているからだろうか?

最低限の給与で生活している者がいきなり25%も削減されたらどうなるか、少し考えれば無理なのはわかると思うが、身内である海軍省が認めてしまうというのをみると、せっぱつまっている時、こうした一部分に対し、”知らねぇし!”と思考停止したまま全く顧みようともしていない、と思える。

例えば現在の高速道路。

イギリスのそれは道路のあちこちが陥没しており、運転する際、その陥没を避けて走るドライビング・テクニックが必要なのだという。
修繕しなければと政府も思ってはいるようだが、”で、金は?どこにあんの?誰が払うの?”という暗黙の問いに、今のところ国民は沈黙で答えている状況のようだ。

イギリスの交通事故データをあちこち漁ってみたが、とりたてて事故が多い国と印象づけるデータは無い。

但し、貧困層の交通事故数は他の層の2倍で、こうした層には移民が多く(て事はイギリスの道を運転する事に慣れていない人が多いと推測される)、その多くは高速道路に面した所に住んでいるという。

この事をもって、”高速道路での事故が多い”と断じる事はできず、また裏付けるデータも確認できなかったが。

でも高速道路があちこち陥没してて、それをそのままってさぁ・・・。

”そこ走ったら死ぬ確率高いって?で金は?どこ?誰が払う?”と言ったっきり放置していると思わざるを得ない。

また最近、バーミンガム市が財政破綻した。
もちろん原因は複数あるのだが、その中の主要な原因の一つとして男女同一賃金によって生じた巨額の未払い分の支払い義務というのがある。

裁判を起こしたのは5,000人ほどの女性職員達(この人達が悪いという事ではない)で、2010年に訴えを起こしており、その内実はこうだ。

男性職員と女性職員で割り当てられる仕事が異なっており、男性はゴミの収集、公園や道路の清掃、女性は事務系一般、教員やケータリングなど。
で、男性職員に対し、重労働への対価という事で特別ボーナスが支給されたが女性職員には一切支払われなかった。(そりゃ訴えられるわな・・・)

裁判は当然というか女性職員達の勝利、なのだが・・・同額のボーナスを女性職員に支払う事となり、その額は市の予算を超えていたという。
気になったのは、”では、労働負荷の差異についてはどう論じられたのか”という事なのだが、これについての情報は見当たらず、chatGPTに聞いても”情報は見つけられませんでした”という回答だった。

ん?誰も重労働をやらなくなるかも知れないけど、そこはいいの?
下世話な話だが、もらえる金が同じなら少しでも楽な仕事の方がいいと誰しもが思うと思うのだが。

”男女同権だよ同権!今の時代は!労働負荷の差異って何が?同一賃金なのよ!時代は!じゃなきゃ駄目なのよ!わかる?”と言われたような気がした。

とりあえず目標があってそれを形にする事が大事なのであって、その為に市が財政破綻しようが、その件は目標達成後にしてくれ、という事だろうか?
達成後に本当に解決に向けて取り組まれるならまだいいが。

まあ、財政破綻の要因は、他にもシステム入れ替えの費用が予算オーバーだったとかあるから、一概にこれだけが原因というわけではないにせよ、人が住む以上今後も共同体として共生・存続していくわけだから、労働の負担という事に対して一切ブッチぎって一律同額のボーナス支給のままというわけにはいくまい。

ならばそうした先を見据えた判決なり、判決の付帯次項なりを知りたかったのだが。

ちなみにイギリスでは、この男女同一賃金による予算を超えた支払い義務を負っている自治体は、バーミンガム市の他にまだ6つだか7つあるらしく、順次、財政破綻じゃなくて支払いを、行う事になっているという。

とにかく”細けぇ事ぁいいんだよ!”精神に満ちているというか、目標設定からそれを形にするまでが、早く、決断もまた早い。

問題の先送り、又は問題に対する思考停止、あるいは問題解決の放棄、
もしくは問題の削除(問題は無い、あるいは無かった事にする)、
それらと”こみ”で早い。

2030年にはガソリン車の全面販売禁止を掲げている。
車は全てEV車にするという。

”EV車作るのにCO2がガソリン車の倍以上出る?各ステーションからの電力供給に火力発電を使わないとならない?10年おきにメンテが必要?EV車やステーションの廃棄時に出るCO2がガソリン車よりも多い?電力不足で電気代が高騰してる?燃料費高くてEV車買っても乗れない?ガソリン車メーカーの撤退で景気悪化?そんなこんなで各地でデモ・ストライキが頻発してるって?だから何なの?2030年にガソリン車は全面禁止するから!その他諸々はとりあえずそれ済んでから!”

さすがにスナク首相は、最近になってガソリン車禁止に対する緩和措置を示唆し始めたが、そのとたん、支持率が落ち出した。
他にも支持率が落ちる原因はあるのかも知れないが。

目標はいち早く設定されなければならないし、設定された目標はいち早く形にして結果を出さなければならず、それによって犠牲となる部分に対しては、“あとにしてくれたまえ”と?

必ずしも悪手とは思わないが、EU離脱後、イギリスはどこへ向かおうとしているのだろう?と、私にとって最近もっとも気になる国だ。

フィッシュ&チップスは好きだが、陥没しまくってる高速道路なんてものには1ミリだって関わりたくない。

一度決めた目標は内容を一切変えてはならず、それによって生ずる問題はひたすらブッチぎって目標達成する事が、最も価値ある事なのだろうか?
今、時代の燃料は世界的にShow must go on!なのだろうか?

何と戦っているのだろう?
どこへ向かおうとしてるのだろう?

イギリスの明日は、どっちだろう?

ところでお酒にまでなってるとは知らなかった。
連載55周年記念だそうだ。
クランドというクラフト酒を売っているオンライン酒屋で、
¥3,500で売っている。


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