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鬼怒無月インタビュー#3

Bondage Fruitの19年ぶりとなる7thアルバム『Bondage Fruit VII』が2024年1月25日に発売されました。リリースを受けてBondage Fruitのリーダーである鬼怒無月さんに行ったインタビューの後編です。

第1回となる前編ではBondage Fruitの結成から『Bondage Fruit VII』をレコーディングしようとなるまでのお話を駆け足でうかがいました。

第2回となる中編では『Bondage Fruit VII』のレコーディングや各収録曲についてのお話をうかがいました。

今回の後編では第1回と第2回に入りきらなかった話をまとめました。


『Bondage Fruit VII』で録音されなかった曲について

――前作『Bondage Fruit VI』(2005年)以降の19年間にいろいろな曲を作ってきて、今回レコーディングされなかった曲もあります。

鬼怒:ありますね。

――それらの曲はこれからどうなっていくのでしょうか?

鬼怒:例えば「Little Tusk」は最初Bondage Fruitでやってたんですよ。

――「Little Tusk」はBondage FruitにYaeさんが入った編成が初演で、今はEraのレパートリーになっています。

鬼怒:あれはどっかでやりたいなと思っていて。Eraでやってみたらいい感じかなと。

――今のBondage Fruitには合わないと思ったのですか?

鬼怒:Eraでやるときにリライトしたんですよ。書き直したんです。それでよくなった感じ。もしかしたらもうちょっと詰めていればBondage Fruitでもいい感じにできたのかもしれない。

――他にタイトルがついていた曲だと「Travellers」「Ylla」「燃える人」などがありました。

鬼怒:「Ylla」はたまに伊藤志宏くんとのデュオとか(ライブで)やっていますね。あれはあれで僕気に入ってるんで。

――ピアノと合いそうな曲ですね。

鬼怒:そうですね。伊藤志宏くんがああいう音楽の理解度っていうのが深くて。

鬼怒:「燃える人」はテーマはそれなりにいいと思ったんで、そのうちリライトして何かでやりたいなと思っています。「Travellers」はちょっとわからない。譜面はあるけれど。

音楽配信について

――以前ライブのMCで音楽配信についてお話されていたことがありました。

鬼怒:それはやろうと思っています。

――SpotifyとかApple Musicとかのサブスクリプション型音楽配信サービスで配信する予定なのですか?

鬼怒:Bandcampやろうかなと。

――Bondage Fruitは海外のファンもたくさんいます。Discogsを見たら海外向けに『Bondage Fruit VII』がMintで約14,000円で売っていました(※インタビュー当時)。

鬼怒:うぉ~なんじゃそりゃ。うお~マジ?

――転売しているのがありましたよ。

鬼怒:転売ヤーいるんだ。

――海外のBondage Fruitファンが新しいアルバムを聞きたくてもなかなかCDを手に入れられない。そういうときにBandcampは海外のファンにも届けやすいと思います。

鬼怒:なるほどね。それはやろうと思っています。

――(Musea Recordsのサブレーベルである)Gazul Recordsからリリースされた『Bondage Fruit IV』(1999年)だけSpotifyやApple Musicで聞くことができます。

鬼怒:おっ、マジすか? ぜんぜんチェックしてなかった。

――誰かが勝手にYouTubeにあげた『Bondage Fruit』(1994年)は5年間で1万回以上再生されています。

鬼怒:マジすか?

――海外にも新しいアルバムを聞きたいBondage Fruitのファンはたくさんいると思います。

鬼怒:海外からのオーダーはあるんで、それこそ今週(※インタビュー当時)発送しようと思っています。

ツアーについて

――この19年間Bondage Fruitは東京都と神奈川県でしかライブを行っていませんでした。違う場所でライブをやろうという話はありますか?

鬼怒:今度初めて所沢 音楽喫茶MOJOでライブをやるんですよ(※3月20日に行われました)。

――Bondage Fruitは埼玉県ではライブをやってなかったですね。ニューアルバムがリリースされたから所沢でライブをやってみようということになったのですか?

鬼怒:そうですね。今までやっていなかった近郊でのライブをやっていって、そのうちツアーもしたいなと思っております。

――具体的に予定が決まっているわけではないものの、将来的にはツアーをやりたいと思ってらっしゃるんですね。

鬼怒:そうですね。

――メンバーもそれぞれお忙しくスケジュールを合わせるのがむずかしいのではないでしょうか。

鬼怒:スケジューリング……難しいっていうか僕のやる気次第ですけどね。

――ツアーの場合は、高良久美子さんのヴィブラフォンは現地調達ではなく運ぶことになるんですか?

鬼怒:日本でツアーする場合にはもちろん持って行きますよ。

――機材もかなり多いわけじゃないですか。

鬼怒:そうですね。当然車で。

――東京近郊以外のファンにもぜひBondage Fruitのすばらしいライブを生で体験してもらいたいと思っています。ツアーを待っているファンもいると思います。

Mahavishnu Orchestraを語る

――Bondage Fruitに対する海外のレビューを読むと、Mahavishnu Orchestraが引き合いに出されていることが多いです。鬼怒さんの中にMahavishnu Orchestraの影響はあるのですか?

鬼怒:Mahavishnu Orchestraみたいな音楽を作ろうとしているわけじゃないんですけど。Mahavishnu Orchestraってある種のエネルギー・ミュージックとジャズ・ロックの最初にして最終到達系みたいな感じなんですよ。

Mahavishnu Orchestraみたいな曲を作りたいって感じはないんですけども影響は受けてますよね。

――先ほどエネルギー・ミュージックって仰りましたけど、Mahavishnu Orchestraの演奏もハイテンションで駆け抜けていくところがあります。そういうところはBondage Fruitと共通している気がします。

鬼怒:そう思います。

――勝井祐二さんはROVOのメンバーでもあり、ROVOとSystem 7のコラボレーションでMahavishnu Orchestraの「Meeting Of The Spirits」をカバーしています。勝井さんにもMahavishnu Orchestraの影響があるのでしょうか?

鬼怒:あれは(System 7の)Steve Hillageさんの提案だそうです。

鬼怒:結構忘れているけれども、やっぱりMahavishnu Orchestraの影響ってものすごいんですよ。何よりもあれだけ個性的な音楽で尖った音楽でありながら売れたじゃないですか。だからReturn To Foreverもエレクトリックなロック的な音楽になったし。あとJohn McLaughlinの曲。だからもう本当に最初にして最強なんですよね。あらゆる意味で。

面白いなと思ったのが、最近スティーヴ・ハウの自伝を読んでいて「Close To The Edge」のイントロはMahavishnu Orchestraのイメージなんですって。YesのメンバーはみんなMahavishnu Orchestraが好きだったんです。スティーヴ・ハウとかはわかるけど、きっとジョン・アンダーソンも好きだったんでしょうね。

――ジョン・アンダーソンはMahavishnu Orchestraを聞いてなさそうなイメージですよね。

鬼怒:聞いてなさそうな感じなんですけどね。「メンバーみんなが好きだった」って書いてあったから、みんなが好きだったんだと思います。さすがにジョン・アンダーソンがこれ勘弁してくださいよって言ったらやらなかったと思いますよ。

あのエネルギーの塊みたいな音には感じるところがあったんじゃないですかね。Mahavishnu OrchestraのどういうところをYesのメンバーが買ってたのかは僕は知らないけれども。あの当時のハイテンションで弾くようなタイプのプログレッシブ・ロックで(Mahavishnu Orchestraから)影響を受けてない人はいないような気がしますね。

――King Crimsonもヴァイオリン入りの編成になったのはMahavishnu Orchestraより後です。

鬼怒:Mahavishnu Orchestraより後だし、当然ロバート・フリップは影響を受けていると思いますね。

Bondage Fruitのライブ情報

2024年5月4日(土・祝)
神田POLARIS
開場 19:30 / 開演 20:00
予約 4,500円 / 当日 5,000円(別途DRINK 700円)

2024年7月21日(日)
新宿PIT-INN
開場 19:00 / 開演 19:30
前売 4,400円 / 当日 4,950円(1DRINK付)

ライブ情報は変更される可能性があります。必ずアーティストのウェブサイト、および会場のウェブサイトでご確認ください。

関連リンク

鬼怒無月 公式ウェブサイト

勝井祐二 公式ウェブサイト

岡部洋一 公式ウェブサイト