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下の名は。

この記事は749文字です。


とある利用者さん訪問時のお話です。

自傷行為以外のストレス発散法を見つけられず、

傾聴するしかできないような訪問をしていました。

自傷行為を心配する家族の様子も堅いものでしたし、

一人で訪問するには気が重くなることが何度もありました。


いじめられたり不登校だったこともあり、

コミュニケーションが苦手な利用者さんなので

人に慣れてもらう、というところからゆっくり関わっているところです。


何でも質問してしていいですよ、言い忘れたことないですか?

という時間を取っています。

「特にないです」で終わることが多いのですが、

このような返答の場合は、

本当に質問したいことがないとはいえないこともあり、

こちらの質問タイミングが

利用者さんのペースに合っていないだけのことも多々あります。

タイムラグがあったのちに

「さっきの話なんですけど…」と、少し前に話していた話題を出して

話してくれることもあります。


先日、訪問看護提供時間の終わり際に

「あの、質問です。

こだまさんの下の名前教えてください」

と聞かれました。


最初の自己紹介時に名刺も渡してはあったのですが、

覚えていないようでした。

友達だったら、「えー今さらぁ~?」な質問ですが、

そこは全く問題ではありません。

利用者さん本人が、相手に興味を持って

質問できたということが重要です。

すごいなと思いました。


「訪問看護が入ってから本人の口数が増えた」

「一進一退というんですかね」

とご家族が表現されていました。

将来的なことを見据えれば

本人に、就労や独立に向けて生活できる力をつけてほしいと

考えるのは当然かと思います。



短期間で劇的に良くなる、ということは稀でしょう。

週1回だけの訪問だからこそ、

こういう一見小さな、でも実は重要な変化を大事にしたいなと思います。


お読みくださりありがとうございました。

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