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マリリン・モンローの件



煌くものに憧れていた

木漏れ日

窓際の太陽

ガラスの反射

青空に見える光の粒

砂に映る波の模様

ダイヤモンド

スポットライト

キラキラ光るものを見ていると

ふと自分がいなくなる


露出の多い服だって

綺麗と思えば素直に着るわ

快楽が好き、それの何がいけないの


それが人には羨望に映っているって

知っていてそれをするわ

上品とか下品とかいう観念なんてよくわからない


お金はあればあるだけ使う

育ちに劣等感があるの

理不尽な思い出が残っていて嫌なの


アインシュタインに憧れる

自分が賢くないことくらい知っているわ

賢い人がすき、強い男がすき、どうせならトップがすき


政治や経済に興味があるわ

それより知識に興味があるの

知りたいけど理解できない


自分で理解できないけど

陰謀や不正や理不尽なことは嫌い

それを感じたときに不安と苛立ちがある

なんとかしたいけど何もできない


秘密を抱えるのが苦手

なのに秘密を知ってしまう

感情を自分でもセーブできなくなるの

なぜ


自分が何故ここにいるのかわからなくなる

スポットライトを当てられるのは好き

その瞬間は何かでいられる


綺麗なものがすき

自然のある場所がすき

着心地の良い服がすき

ベッドがすき

演じるのは得意ではない

カメラで撮られるのがすき

自分でも撮ってみたい


ハリウッドにくれば

幸せになれると思っていた

トップスターになれば

幸せになれると信じていた

でも

何かが違った


不安だった

おそろしかった

未来が怖かった


子どもが欲しかった

でも

あとで子どものことで後悔したの

自分が産んではいけない

強い罪悪感に襲われた


目の前にある

一時的な快楽で毎日気を紛らわした

本当は子犬や小鳥とかが好きなのに


話し相手はセラピスト

彼らが真の友達ではないとわかってた

でも

壁を相手にひとりごと言うよりはマシだった


ときどき

とても良い助言をくれる

だけどすぐに忘れてしまうの


毎日が曇りだった

たまに、本当にたまに、キラキラして見える日もあった

でも

その先に何もないことを知っている


写真を見ると

とても晴れやかに笑顔を作っている自分がいる

しばらく眺めていると、他人のように思えてくる


これは誰だったかしら

知らない人


誰でもよかった

トップの人が自分を認めてくれれば

その能力が自分のものとなって

同等となって

やっと満足できるのだろうと思っていた


人の目は気にならないけど

私を馬鹿にして蔑む女たちの

あの視線には耐えられなかった



私の何がいけないの

悔しいと思うなら

同じようにしてみればいいのに


手に入れられないものが

他の女の手にあると

奪い取りたくなる

あんたにはもったいないわよと


蔑む女が嫌いなのに

同じように誰かを蔑む自分に気づく


苦しくなる

もしかして自分は誰よりも醜い女なのでは


そんなはずはない

誰か認めて


神には許されない

許されないことばかりしてきた

神の教えを改めて読む気になれない

読むのが怖い


たくさんの秘密を知ってしまった

人にとっては大きな秘密かも知れない


最初に聞いた時は驚いた

そんなことがあるはずないと思った

でも何度か聞くうちに

慣れてきてしまった

もうどっちでもよくなった


グラビアには

セクシーで美しい女の写真

私には知性もあるのよ

それもちゃんと写してほしい


ときどき思う

他にやりたいことがない

温かいベッドでただ眠りたい



明日のことを考えるのが嫌

今どうすればいいのか

それしか考えられない



見られている

いつも誰かに


わかっているから

いつ見られていてもいいように

身のこなしや表情に気をつける

自分なんていない


とにかく愛されたい

愛されていると確信したい

でも愛が何かわからない

みんな口では愛してると言うけれど

それが本当の愛なのか証明できない


疲れてる

何を求めて

何をしたくて

いつまでここにいればいいんだろう

眠りたい


私が誰なのか証明してほしい

仮面ではなく

本当に心から微笑みたい


自暴自棄
暴れてる
荒れている


自分でも抑えられない

あとで自己嫌悪になる

また罪悪感が襲ってくる

消えてしまいたい

自分のことを誰も知らない国にいきたい

ここはもういい


でもどこにも居場所なんてない

どこにも行けない

逃げだしたいのに



あの時

田舎をでるとき

やっと逃げ出せると思った

新しい人生を手にいれるって

それ以外何も考えなかった

ただ楽しいと思った

どんなことでも

今より楽に乗り越えられた



若さだろうか

自分の若さはこれまでだろうか

未来が見えない

怖かった


苦しみからぬけ出したかった

難しいことは嫌い

考えたくない


大人になって

難しい事も考えられるようになりたかったのに

難しい事を考えようとすると

誰かが代わりにやってくれる


面倒くさいことは嫌いだから

ありがたいのはわかってる

でも

そのくらい私にもできるのよ


私がしていいことは

スターらしく振る舞うこと

キラキラとした光をあびて

賞賛されていること

言われたとおりに


自分で考えなくてもいい


自分で考えると何故かうまくいかない

人と違うらしいの

どうしてもみんなと同じ答えがでないの


同じでも嫌
違っても嫌

もうわからない


あの日

感情が抑えられなくなった


誰のことも

自分のことも

わからなすぎて

どうなってもいいと思った

終わってもいいと思った

直感的に


そうすれば答えがわかるような気がした




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◆マリリン・モンローの古い映画を見た後、彼女のことを考えていたら、こんな詩のような言葉がつらつらと下りて?きました。イラストに添える長文キャプション。

華やいだ生活の中で晩年はかなり精神的にも苦しんでいたようですね。大スターの突然の死に世界中が驚き悲しみました。亡くなって60年経った今もその真相はなぞのままです。それでも彼女の圧倒的な魅力はいまだに健在です。


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