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Vol. 1 「EASTEAST_Tokyo」新しいアートフェアの動き

コロナ禍の影響は、日本のアート事情にも多少の影響を与えている。まず一番の検討点は、リアルな会場に人を招きづらいという点である。アートフェアというシステムも、ギャラリーを一同に会し人をより多く招くことを目的としている以上、今の状況で、どのような形で開催するか、チャレンジと変革を求められている。

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(画像提供:Calm&Punk Gallery / 撮影 : 田川優太郎)


ART BASELをはじめ(香港とBASEL、MIAMIでの開催中止)、FRIEZE(NY、ロンドンでの開催中止)、Venice Biennaleの来年への開催延期など、次から次へと延期や中止の知らせが流れる中、日本で「EASTEAST_Tokyo」というフェアがオンライン・リアルにて行われたことをここに記しておきたい。

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(画像提供:Calm&Punk Gallery / 撮影 : 田川優太郎)


美術手帖のオンラインプラットフォーム「OIL by 美術手帖」との連動や、3D archive「ARCHI HATCH」でのオンラインビューイングを取り込みながら、オンラインと現実空間で同時進行する新時代のアートフェアとして、6/25〜7/5東東京にておこなわれた。
http://www.easteast.org/web/
リアルでは6/26〜28、横山町ログズビルにて事前予約制にて開催されたが、peatixによる事前予約はすぐに売り切れ、オンラインビューは8000人を超えるアクセス数があった。

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(画像提供:Calm&Punk Gallery / 撮影 : 田川優太郎)


ストリートアートを含め、カルチャーとアートを横断する作品を扱う7ギャラリー(BAF STUDIOTOKYO、CALM & PUNK GALLERY、FL田SH、island JAPAN、PARCEL、SNOW Contemporary、gallerytrax)が集まり、B BOY(ブレイクダンサー)をモチーフとした木彫作品で知られる小畑多丘による平面
作品や(写真2正面)、ボアダムスのフロントマンとしてソニック・ユースらとともにオルタナティブ・シーンを牽引し、世界中の表現者に影響を与えるEYƎの楽器・スピーカーとしても使用できる立体作品「スコーン・サコーン・ポップコーン」(写真1右手前)日常や身の回りのありふれたものをモチーフに作品を制作し続ける東恩納裕一による、真っ白でフラットな光を放つ丸型の蛍光灯が絡み合う「シャンデリア」シリーズ(写真4右奥)など、注目の作品が約150点並び、国内外有数の著名コレクター達も会場に訪れて作品を購入した他、新しい世代のコレクターやギャラリーと交流する機会となった。

「アート作品を所有することを通してアーティストとそのルーツを『知』、そしてそのカルチャーにも『関わる』、物事や思想を『動かす』ことにコミットできるということを提示」するアートフェアとなった。
また、コムアイ(水曜日のカンパネラ/YAKUSHIMA TREASURE)とフェアディレクターによるギャラリーツアーや、「ミレニアル世代のインターネットとアートマーケット」を考えるトークイベント、参加ギャラリーディレクター陣による対談など、多彩な参加型プログラムも企画され、実験的な試みを意欲的に行っていた。

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(画像提供:Calm& Punk Gallery / 撮影 : ⽥川優太郎)


「EASTEAST_」のおもしろいところは、Tokyoだけではなく、Kyoto、Taipei、Shanghaiなどなど、「_」の続きの都市を転々と、一つの運動体(EXHIBITION PLATFORM)として移動していくことも視野に入れているところである。
これからの「EASTEAST_」の発展を期待したい。

会場の様子3Dアーカイブ こちら

(©︎ARCHI HATCH / 撮影:徳永雄太)


「ヨコハマトリエンナーレ2020『AFTERGLOW―光の破片をつかまえる』」

コロナ禍で各地の芸術祭が中止や延期を余儀なくされている中、開催された世界で最初の国際展とも言えるヨコハマトリエンナーレ。
不穏な雰囲気の中、リアリティをえぐり出していくパク・チャンキョンやアントン・ヴィドクルの映像は必見。佐藤雅晴の遺作のシリーズも悲しさの中にユーモアを漂わせる。
飯川雄大の「リアル脱出ゲーム」とも言える体験型作品など、事前予約制の作品もあるので確認してから赴きたい。
https://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2020/08/yokotri_2020.html

図1


左:エヴァ・ファブレガス《からみあい》2020
中:ニック・ケイヴ《回転する森》(2016/2020)
右:新井卓《千の女のための多焦点モニュメンツ No.1〜10》(2020)
(画像提供: TOKYO ART BEAT)

開場日時
2020年7月17日(金)-10月11日(日)
木曜日休場(7/23、8/13、10/8を除く)10時~18時
※10/2(金)、3(土)、8(木)、9(金)、10(土)は21:00まで開場
※会期最終日10/11(日)は20:00まで開場

                 

ECF_TOKYO
East Culture Foundation(東⽅⽂化⽀援財団)の東京⽀部より、東京でのアートの動きを発信します。
(担当:伊藤悠 / ⽥原新司郎)

                                                               【著者:東方文化支援財団 伊藤悠】

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