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アストリッドとラファエル      文書係の事件録


#おすすめ名作ドラマ
NHK総合、日曜日、午後11時
フランス

自閉症のアストリッドは、ずば抜けた知識と、記憶力を持っている。
しかし、学校ではいじめられていた。
自閉症独特の、理屈っぽさ、抑揚のない話し方、融通の利かなさなどが原因で、クラスメイトは、床を鳴らし、「レインウーマン、レインウーマン」と大声ではやし立てるのだった。
感覚過敏のアストリッドは、騒音には耐えられず、つらい思いをしていた。
教師から学校に呼び出された父親は、
「アストリッドはこの学校に向いていない」と、退学を宣告される。
いじめられているのは、アストリッドなのに。
なぜ、いじめられているほうが学校をやめなければならないのか。
父親は理不尽さを教師に伝えるが、聞き入れてもらえない。

アストリッドの生活を心配した父親は、友人である警視庁資料局の局長に頼んで、文書係に配属させてもらう。

文書係の整理された倉庫、静かな環境は、アストリッドにとって、居心地の良いものだった。
たくさんの資料を読んでいくうちに、犯罪学の知識を得ることができた。
知識に基づくアストリッドの鋭い推理が、警視のラファエルの目に留まった。
ラファエルはおおざっぱで、細かいことは気にしない性格。
そんな正反対の二人が組んで、犯罪捜査を担当していくことになる。
アストリッドがこだわりだして、どうにもならなくなると、ラファエルは、
「先に帰っていいよ。」とあっさり対応する。
微妙な距離感が気持ちいい。
警察内では、刑事たちが
「あの子変わってるね。」
「自閉症なんだよ。」なんて、普通に会話している。

推理ドラマなのだが、特筆すべきは、アストリッドの生活がしっかり描かれているところである。
アストリッドは静かな自閉症だ。

自閉症の特性として
毎日同じ服を着ている。
毎日同じ席に座る。
階段を一段ずつ、足をそろえて登る。
何かを考えている時、体を前後にロッキングしている。
趣味のパズルの話をすると、止まらなくなる。
指を小刻みに動かす。
調べ物は徹底的に行う。
目を合わせないで話す。
抑揚のない話し方をする。
仕事が早い。
頭の中に、犯罪資料のデータベースがある。
頭の中が、コンピューターみたい。

アストリッドは「社会力向上クラブ」に参加している。
成人の自閉症の自助グループであり、世話人も自閉症である。

そういえば、「モーツァルトとクジラ」という映画でも、成人の自閉症の自助グループが描かれていた。

今後、アストリッドが、どのように、仕事をし、人間関係を築いて、生きていくのか。楽しみである。
フランスでは、第2シーズンまで放送されているというから、アストリッドも、変化していくかもしれない。

自閉症の成人女性が、専門的な知識を生かして、仕事をしていく姿は、見ていて、とてもうれしい。




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