最高の誉め言葉をほかろんから
「おかあさんと、おかいものにいくと、たのしいんだもん。」
まんまるな顔のほかろんが、ニコニコしながら言いました。
昨日の夜です。
その時は、
「ふうん、そうなの。」と軽く受け流していたのですが、一晩眠って起きた今日の朝、
「もしかして、これは最高の誉め言葉なのではないだろうか。」と思いました。
長女ほかろんは、知的障害で、躁病もあり、毎日生活介護の通所に通っています。てんかんの方は、今は薬でコントロールしているので、発作はありません。
躁転すると、暴言、攻撃性、眠らない、多弁などの症状が出て、生活は大混乱します。
けれども、今年に入ってからは、一度も躁転することなく、穏やかな日々が続いています。
穏やかな時は、言葉も行動もゆっくりして、夜もよく寝ています。
そうなのです。
今年のほかろんは、いまだかってないくらいの、いい状態が続いているのです。
ほかろんの調子が良いと、私の生活も穏やかになります。
そんな平和な日々が続いている昨日の夜に、ほかろんが言ったのです。
「おかあさんと、おかいものにいくと、たのしんだもん。」
ほかろんは、母と一緒にお買い物に行くのが楽しいんだそうです。
つまりは、母親と一緒に過ごすことが楽しいということなんでしょうか。
ほかろんは、嘘は言えません。
忖度はできません。
お世辞は言えません。
そう思ったら、とてもうれしくなりました。
今時、普通の家庭の健常なお子さんでも、「毒母」だの「母親の呪縛」などと、自分の母親を罵ったり、悪く言ったり、また、言うだけでなくて実際に手をかけてしまったりする時代です。
そんな時代に、試行錯誤で、迷い道くねくねしながら、障害のある子を育て、挙句の果て、神を呪い、世の中を恨み、最悪の心を持つ自分に気が付き、どん底まで落ちたこの51年間。
決して良い母親でもないし、障害者の母として憐みの目でみられながら、世間からは母親失格と言われ続け、なんとかかんとか、這いつくばって生きてきた51年。
やっと、51年かかってここまで来た私なのに、なんと、ほかろんは、
「たのしい」と言ってくれたのです。
地位もなく、お金もなく、仕事の成果だとか、何も持つことができなかった、くたくたでぼろぼろの母親に。
「おかあさんと、おかいものにいくと、たのしいだもん。」
最高の誉め言葉です。
私も、こんな言葉を言ってみたかったなあ。
もちろん、今日も行きました。
おかいもの。
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