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医学生が児童精神科医になるためには-資格編-


取るべき資格

初期臨床研修医を終えた後にとっていくべき資格は、2ルートあります。

一つは精神科系であり、もう一つは小児科系となります。私は初期研修医の時代から精神科の医局に入っていましたので、精神科寄りの視点であることをご容赦いただければと思います。

いずれにしても、精神科と小児科の専門医を3年かけて取得する必要があるでしょう。その上で、精神科医ならば日本児童青年精神医学会認定医を、小児科医ならば、日本小児精神神経学会認定医、日本小児心身医学会認定医の取得を目指すことが多いように思います。ここまで所得するのに、初期が終わり、すでに5−6年は必要となります。


精神科系

精神科専門医

日本児童青年精神医学会認定医


小児科系

小児科専門医

日本小児精神神経学会認定医

日本小児心身医学会認定医

子どものこころ専門医

子どものこころ専門医とは一般社団法人子どものこころ専門医機構が認定する専門医であり、新制度の専門医制度になっていく予定とされています。

以下にその説明を抜粋しておきます。

「子どものこころ専門医」は、小児精神医学、小児心身医学を基礎として、子どもの精神疾患、神経発達症(発達障害)、心身症、不登校、虐待など、子どもの心の諸問題に対応する専門医です。日本の子どもの心の診療は、以前から、心の問題をサブスペシャリティとする小児科医と、児童思春期をサブスペシャリティとする精神科医によって担われてきました。そのような歴史的背景に鑑み、子どものこころ専門医は、小児科専門医と精神科専門医の双方を基盤領域とするサブスペシャリティ専門医として位置づけられています。
子どものこころ専門医を取得するための研修は、小児科専門医あるいは精神科専門医取得後、小児科と精神科を横断する形で行われます。本格的な研修は2021年度から開始される予定ですが、それまでの間は、暫定制度として実際に子どもの心の診療に携わっている医師を対象に研修と試験を行い、専門医として認定しています。具体的には、小児科専門医あるいは精神科専門医を取得し、かつ、日本小児心身医学会認定医、日本小児精神神経学会認定医、日本児童青年精神医学会認定医を所持しているか、日本思春期青年期精神医学会から推薦された医師に対して受験資格を与えています。

この新制度を新たに取得することは未だ始まっておらず、上記のこれまでの認定医からの移行措置だけがスタートしている現状です。

ここまでの長い道のりに、学生たちはちょっとたじろいでしまいます。専門医などを早々に取得して、早くに開業したり、起業したりしている人たちもいます。また、大学院に進学して学位の取得を目指している人たちもいるでしょう。

初期研修医から児童精神科を回ることができて、後期研修医から子どものこころ専門医まで研修できる施設がほとんどありません。そのため、自分たちの進路を確実にしておきたいという若者たちの不安も相まって、2−3年ごとに就活することの負担もあるのかもしれません。

なんとか、わかりやすい制度にしてもらって、一人でも多くの児童精神科医が増えればと願うばかりです。