見出し画像

髪色の舞台裏

メラノサイトが白髪に与える影響が研究されています。

 ヒトの髪の色はメラノサイトと呼ばれる細胞が生成するメラニン色素によって決まります。ヒトの毛包には主に黒褐色のユーメラニンと赤褐色のフェオメラニンの2つのメラニンが存在し、これらの量と比率によって髪の色が多様性を持っています。

 メラノソームのpHやシステインレベルが髪の表現型に影響を与えると考えられています。メラノソームはメラノサイトに存在する小さな器官です。また、メラニンの生成は髪の成長サイクルの段階と密接に関連しており、髪は伸長する時期に活発に色付き、休止期では色素が存在しません。

 髪が白髪になるとメラノサイトが減少し、メラニンが不足してきます。この変化は髪の成長サイクル(毛周期)の中でのメラノサイトの減少によるもので、髪の毛の中にはもはやメラノサイトが存在しなくなります。白髪の成熟が早く、成長率や髪の直径が白髪出ない髪よりも高いです。

 髪の色素には遺伝子や環境の要因が影響し、髪の毛周期の変化が加齢に伴って起こります。このプロセスにはテロメアの短縮、細胞数の減少などが関与しています。

 髪の色に影響を与えるさまざまな遺伝子やシグナル伝達経路が研究されており、骨形成タンパク質やアクチビンの受容体などが髪の色素に影響を与えることが知られています。アクチビンは成長因子であり、細胞の増殖などに関与します。

 遺伝的要因、早期老化障害、酸化ストレス、ビタミン欠乏、喫煙、ある種の薬剤などが原因となります。白斑などはDNAの損傷や酸化ストレスに対するメラノサイトの感受性亢進と関連しています。
 甲状腺ホルモンのアンバランス、喫煙は早発白髪の原因となります。またビタミンB12、鉄、カルシウム、亜鉛の不足はメラニン生成と毛髪色素沈着に影響を与える可能性があります。

Kumar AB, Shamim H, Nagaraju U. Premature Graying of Hair: Review with Updates. Int J Trichology. 2018 Sep-Oct;10(5):198-203. doi: 10.4103/ijt.ijt_47_18. PMID: 30607038; PMCID: PMC6290285.

この記事が参加している募集

美容ルーティーン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?