人工の毛
体外でほぼ完全な人工の毛を作り出し、それを移植できる可能性があります。
この研究では科学者たちが人間の多能性幹細胞を使って、複雑な皮膚を作り出す新しい方法を発表しました。通常、皮膚は私たちの体温や体液の調整、外部のストレスからの保護、触覚や痛覚の仲介など、さまざまな役割を果たしています。しかし、これまでの技術ではこれらの機能を持つ皮膚を作り出すのが難しかったのです。
研究ではTGF-βとFGFと呼ばれるシグナル伝達経路を変化させるステップを踏んで、頭蓋骨上皮細胞と神経堤細胞を同時に促進する特殊な培養方法を使いました。
これにより、約4〜5か月の期間で、層状の表皮、脂肪が豊富な真皮、色素沈着した毛包と腺を備えた、球状の皮膚オルガノイドが生成されました。このオルガノイドは神経構造を持つなど、人間の皮膚に非常に似たものになりました。
また、このオルガノイドは実際にマウスに移植されると毛を持った皮膚を形成することも確認されました。
この研究結果は体外でほぼ完全な皮膚を作り出し、それを体内で再構築できる可能性があることを示唆しています。これにより、将来的には人間の皮膚の発達や病気のモデリング、再建手術の研究に役立つでしょう。
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