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大事な元素

セレンは、ギリシャ神話の月の女神セレネから命名された元素です。ヒトでは、必須微量元素の1つであり生体内における抗酸化作用や甲状腺ホルモン代謝調節とともに髪の健康を維持するのに重要です。

魚に多い

 セレンは体内で合成することができませんが、必要量と中毒域の幅が比較的狭く、食事などからの摂取量が不足すればセレン欠乏症に至り、過剰摂取ではセレン中毒症を引き起こす場合があります。

 セレン欠乏症の軽度な症状としては脱毛、髪の白色化、爪の白色化や変形など、重度な症状としては、不整脈や心筋障害などです。
 食物中では魚介類、肉類、穀類に多く含まれており、特に魚には高濃度のセレンが存在しています。国内では、静脈栄養や経腸栄養などの栄養療法を受けている患者でしばしばセレン欠乏症が報告されています。
 一方、栄養剤や治療剤に含まれるセレンには、亜セレン酸ナトリウムやセレン酸ナトリウムなどの無機セレン化合物が用いられています。

 生体は常に酸化ストレスに対する様々な制御機構を働かせることで適応し、恒常性を維持していますが、酸化ストレスに対する制御機構の1つにセレンは関わっています。つまり、セレンが欠乏することが直接体に影響するわけではなく、セレンが関係する抗酸化作用に異常が起こるために様々な症状が現れるのではないかとも考えられます。

参考文献

児玉浩子, 他. "セレン欠乏症の診療指針 2015." 日臨栄会誌 37 (2015): 182-217.

https://www.fujimoto-pharm.co.jp/jp/iyakuhin/aselend/pdf/as-for_medical_staff.pdf


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