【fuka】樋口円香を読んで出力された存在しない幕間
夜半、浅倉透は自室の扉を開けた。決して健康に対しての意識が高いわけでもなく、真面目な性格とは言い難い彼女は夜更かしをする機会が少なくはない、しかし家族が寝静まった深夜に明るい自室から暗く、ひやりとした廊下に出る心地には慣れていなかった。彼女にとって平時は明るく家族の声が聞こえる空間も、今は自室から漏れた光に照らされた廊下が、暗闇へと繋がる橋のようにも見える。この橋の先に繋がるのは見慣れた階段なのか、それともーーー
「見えない、なんも」
暗闇に何を感じたのか、一人呟いた