揺れ

2月1日

夜中の2時頃。頭のうえで鳴るけたたましい音に驚き、起きる。

地震の警報音だった。

女性の声が携帯から流れてくる。

「大きな揺れに気をつけてください」という声。

まだ半分以上夢のなかだった私は、声が言っていることを理解するのに

数秒かかった。揺れは小さくてすぐに収まった。

携帯から発せられていた女性の声が頭のなかを4、5回駆け巡り、

この後も油断はできない、と私の体のなかで叫んでいる。

揺れが止まった。

東京は何事もなかったようだ。

他の場所はどうなのだろう……。

宮城に住んでいる妹のことを考えながらSNSを開いてみる。

私は、「家族だって物理的にも距離があったほうがお互いにいい」と考えて

いる人間だが、こんなときは例外に、近くにいる方が絶対にいいと思ってい

る自分に矛盾を感じながら、検索ワードに「地震」と打ち込んでいた。

幸い各地にも被害はなかった。

まだ、どくどくと動悸は静まらない。

最近、仕事で通訳の仕事にしている人が、「日本は本当に治安がいい」と

言っているのを聞いたばかり。

しかし、日本は地震大国。

天秤にかけるのはおかしな話だが、治安があまり良くないのと地震とどちらを取る? 

なんて質問されても、私は言葉に詰まるし、どちらも嫌だ。

治安と地震。この2つに共通しているものは「命」である。

私は、心臓がある部分に手を置きながら、自分がもっと生きていたいと思っ

ていることを感じずにはいられなかった。


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