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コロナ総括⓮GOTOキャンペーンの無理筋と、ボルソナ脳の失敗

昨今、ちょっとしたことでも「感染が広がる」と神経質に考える人をコロナ脳と揶揄する風潮が広まっている。対して、「大丈夫、経済再開すべき」という人はさしずめ、(ブラジル大統領からもじって)ボルソナ脳とでもいえばいいか。どちらも極端に走りすぎているのだ。冷静に数字を並べて現在の再流行を考えてみることにしよう。

早晩、国内新規感染者は1000名を超える

前稿で、「国家権力を総動員して夜の街クラスター対策を」という話を書いたところ、土日に早速、警察を通して社交飲食・風俗関係店舗の風営法取締りの強化を行う、という発表があった。
税務査察や労基署の臨検など、まだまだ取締りの強化はできる。こうした「ムチ」の施策に加えて、休業協力金(都はすでに実施)、家賃支援給付金や持続化給付金の申請サポートなど「アメ」とセットで、夜の街対策をさらに強化していくべきと、私は1ヵ月以上前から主張してきた。
今となっては、時すでに遅しというしかない。理由は簡単だ。今回の感染源たる東京では、夜の街関連の新規感染者は、全体の1割程度にまで減っているからだ。その他市中感染と経路不明者が圧倒的多数を占めるため、もう夜の街対策では著効を示すことはないだろう。

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すでに、東京都の新規陽性判明者が300名に近づく日が多くなり、全国でのそれは600名を超える。ここまで効果的な施策がほぼなかっただけに、仮に急づくろいで対策を繰り出したところで、これから2~3週間は感染者が増え続けることは明白だ。新規陽性判明者は早晩、東京だけで500名、全国では1000名を超えるレベルにまでは必ず達する

「重症は少ないから安心」とは言えない理由

こうした急増・蔓延状況に対して「4月の時とは状況が異なる」という話をする人が多々見られる。その趣旨は概略、以下の通りとなる。
PCR検査数を5~10倍に増やしたから、感染判明も増えた。同じ検査数だったら4月ほどの数になっていない。
重症化率が極めて低い。東京都では現在重症者が13名で、全国でも40名弱であり、ピーク時の1割程度でしかない。
死亡者の数も激減している。東京都では過去2週間で1名の死亡者しかでていない。
たしかに私も、4月とは様相を異にしていることは認める。が、ことはそれほど楽観できるものではないことを示しておく。
① PCR検査の陽性率が着実に上昇している。検査数が増えれば、感染者が変わらないなら空振りが増えて、陽性判明率はどんどん下がる。実際、5月には1%を割る日が多かった(東京)。それが直近は7%近くにまで上昇し、ボトム時の10倍近くになっている。つまり、陽性判明者の増加は、PCRを増やしたからというよりは、市中で蔓延しているから、という側面の方が大きい。
② 6月から7月上旬は二つの要因で重症患者が増えなかった。一つは、既に入院していた重症者の回復による減少。もう一つは、新規感染者のうちの高齢者比率が極めて低かったこと。7月になり、回復者が底打ちし、一方、高齢者比率がじわじわ上がり出した。そのため、ここ1週間では5名→13名と重症者はそこそこの勢いで増加している。
③ 新規感染者に占める高齢者の割合が4月は非常に高かったが、6月以降は極端に低下した。

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割合だけでなく実数で見ても、60歳以上の陽性判明者は、4月が1070名に対して、6月は110名と10分の一まで低下している。だから重症者が少ないだけだったのだ。ところが、7月に入って、徐々に40・50代、および60代以上の感染数が増えている。下記図表で見れば、60歳以上の新規陽性判明者の増加ぶりがよくわかるだろう。ちなみに、7月第三週の91という数字は、19日までのもので5日間のデータだ。7日間換算だと127名となる。直近は高齢者が比率でも増え出している。

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