やれやれ。

煮詰まった時には、散歩をする。

noteに何かを書きたいという思いはあるのだが、何も思い浮かばない。誰も読んでいないと言われるとそれまでだが、読むのが自由なら書くのも自由だという主張の下、そこは許して欲しい。

試験期間が終わればパッと話題が思い浮かぶだろうと期待を抱いていたのだが、残念ながら疲弊した自分の脳はそのまま冬眠期間に突入したようだ。世間はこれからが夏本番だというのに。いや、それならいっそのことオーストラリアに行けば面白い事が起こるかもしれない。向こうは真冬だから。

そんな非現実的な事を考えつつ、ふらふらと散歩を始める。

昔、と言っても1年も経たない前に京都を散歩したのを思い出した。あれは確か行きたい銭湯があったから、のはず。名前は…「梅とサウナ」。調べたら「サウナの梅湯」だった。脆い記憶力だ。そうだ、あの日は確か銭湯に入る前にお洒落なブックカフェに勇気を持って入店したはず。名前は…思い出せない。今調べたら「カフェ ビブリオティック ハロー」だった。こんな横文字、いちいち覚えていられない。

やれやれ。よくよく写真フォルダの日付を見てみたら銭湯に行った日とカフェに行った日が異なっている。こりゃダメだ。

ふと頭上を見上げると、今日はやけに月が綺麗だ。

昔、英語教師だった夏目漱石が I love you .を「私はあなたが好きです」と訳した学生に「日本人はそんなことは言わない。‘’月が綺麗ですね‘’と訳しておきなさい」と諭した、というエピソードがある。稀代の文豪が一般人に牙をむいた瞬間である。まあ千円札の夏目漱石の優しそうな顔を思い出すに、ふんわりと言ったのだろう。いや、待て。逆に「吾輩は猫である」の一文はどう英訳するのだろう。「I am a cat .」? いやぁ、まさか。東京帝国大学出身の夏目漱石先生がそんな英文書くわけない。2020年現在では色々と英訳されているけれど、僕は夏目漱石先生の英訳が見たい。執筆者しか、文意は分かりませんから!

やれやれ。千円札の夏目漱石の顔が、脳内で少し歪んだ気がした。

散歩も終盤に差し掛かった頃に、どこからか蚊取り線香の匂いが漂ってくる。世界に蚊取り線香という文化はあるのだろうか。蚊で苦しんでいる土地があれば、あの不思議な円形物体一つでヒーローになれるのではないだろうか。でも、僕が思いつくぐらいだからきっと誰かがどこかで蚊取り線香を振り回しているのだろう。

やれやれ。ホッと一息ついて公園のベンチに座っていたら脚が痒い。どうやら蚊に噛まれたらしい。あいつらは本当に油断も隙も無い。明日は朝から蚊取り線香を焚くことを決めた。

30分の散歩を終え、帰宅。いつもはもう少し長いけれど、蒸し暑いから早めの帰宅。クーラーガンガンの部屋でパソコンを開くも相変わらず何も案が浮かばないので、仕方なく傍らにある読みかけの本を開く。僕はこの作者のファンだ。

やれやれ。この人は一体1作品で何回比喩表現を使うつもりなのだろう。

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