さてさて

村上春樹といえば「いけすかない」「苦手」「小説がちょっと…」とネガティブなイメージが付きがちだ。Googleで村上春樹を検索すれば '嫌い' が出てくるぐらいなのだから。ファンの多い人はアンチも多い。「あの作家の世界観が好きで~」という言葉で自己の特別性を主張する割には他人の世界観は受け入れようとしないのだな、と思う。

しかし小説はさておき、村上のエッセイは非常に面白く、おそらく万人受けするだろう。

たとえば22で大学を出て、「さあ、一生かけてこれをやろう!」と思えるようなことって、そんなにないでしょう?ですから、僕は前々から「30歳成人説」を提唱しています。30まではいろんなことをやってみて、30になってから人生の進路をはっきり決めればいいじゃないかと。

この人自体の作家デビューが29歳だから、いわゆる生存バイアスがかかっている上での発言だとは理解しつつ、それでも真実味が込められた発言だ。特に医者のデビューは最短で24歳であることを踏まえれば、なおさら30歳成人説を個人的には推したい。

有名な話ではあるが村上自身20代はジャズ喫茶の経営をしていて、かなりの苦労していたようだ(おそらく本人は楽しかったと言うだろうが)。その20代の経験は、以下の発言に反映されている。

職種によって少し数字は違ってくるかもしれませんが、10人の新しいお客が店に来て、そのうちの1人が気に入って何度も通ってくれるようになれば、その商売は成功します。逆の言い方をすれば、あとの9人は別に戻ってこなくてもいいんです。ほんとですよ。

少し誇張しすぎているかもしれないが、人間関係も似たようなものではないか。自分のことを好きだと言ってくれる人もいれば、嫌いな人もいる。この人は自分を分かってくれていると信じていた人に裏切られることもあるし、思わぬ信頼を得ていることもある。人間関係の基本は付かず離れずの適度な距離で、その中でたった数人でも理解し合える友人がいればその人の人生は幸せなものではないだろうか。まあ、その適度な距離を測るのに何年も何十年もかかるから難しいのだろうけれど。

と、まだまだ人間関係が広がる23歳男性が主張しても説得力はないのだが、それでも人間関係に悩む人、みんなにいい顔をしなければと強迫観念のある人には救いになると思う。少なくとも自分はそうであったように。

まだまだあるけれど今回はこの辺で終わりにしよう。

病院実習が始まり、実習班以外の人とは関わる機会が格段に減った。毎日連絡を取り合っていた、あるいはコロナ前には毎日会っていたような友人ともすっかりご無沙汰だ。こんな感じで疎遠になっていくのだろうとセンチメンタルになりつつも、まあそんなものかと割り切っている自分もいる。

3月なのにまだ寒い。早く暖かくなってほしいものだ。

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