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『戦国上野国衆事典』の読みどころ

皆さまこんにちは、戎光祥出版の丸山です。

12月の新刊、久保田順一著『戦国上野国衆事典』が刷り上がって参りました。まもなく刊行となりますが、刊行に先駆けて本書の読みどころを紹介いたします。

本書の目次は下記の通りです。

序論 上野の戦国領と戦国領主
第一部 北毛の国衆と領
 滋野三氏と羽尾領・鎌原・草津谷
 吾妻斎藤氏と岩下領・嶽山領
 大戸浦野氏と大戸
 尻高氏と尻高領 中山氏と中山
 沼田氏と沼田領
第二部 東毛の国衆と領
 赤井氏と館林領
 富岡氏と小泉領
 足利長尾氏と足利領
 桐生佐野氏と桐生領
 岩松氏・横瀬氏と新田領
第三部 中毛の国衆と領
 白井長尾氏と白井領
 厩橋長野氏と厩橋領・大胡領
 惣社長尾氏と惣社領
 箕輪長野氏と箕輪領・室田
 那波氏・那波郡
 宇津木氏と玉村郷
第四部 西毛の国衆と領
 安中氏と安中領
 依田氏・後閑氏と板鼻・後閑郷
 諏訪氏と諏訪
 高田氏と高田領・西牧
 小幡一族と小幡谷
 一宮氏と一宮
 和田氏と和田郷
 倉賀野氏と倉賀野
 寺尾氏と寺尾郷
 多比良氏と多比良領
 高山氏と高山領
 長井氏と浄法寺郷

近年、戦国時代に一定規模以上の領域を排他的に支配した領主「国衆」に注目が集まっています。
中でも上野国には強力な戦国大名が出現しなかったこともあり、数多くの国衆が成立、活躍していました。ある意味、戦国上野の主役は戦国大名ではなく国衆だったと言っても過言ではありません。
一方で戦国期の上野は、上杉・北条・武田といった近隣の強大な戦国大名が支配領域を増やそうと乗り込んできた地域でもあり、国衆たちの生存は大大名の去就に左右されました。そういう意味では彼ら国衆は常にサバイバル状態に置かれていたとも言えるでしょう。

そこで本書では、30以上の国衆を取り上げ、一族ごとにその成立や歴史を史料に基づきながら解説することを主たる目的としました。また、国衆の支配領域である「領」に着目し、戦国期に現れた新たな地域概念と国衆の成立との関係を論じています。
これまで各一族の歴史が個別に述べられることはあっても、本書のように総覧できるかたちでまとめられたのは初めてではないでしょうか。その意味でも、各国衆の歴史や特徴、地域的な特質を比較・検討することができるので、大変便利な内容となっています。

また、享徳の乱から秀吉による小田原攻めのあたりまでを対象時期としているため、戦国時代の上野国の通史としてもお使いいただけるかと思います。
さらには、菩提寺・墓・神社・城跡をはじめとする関連史跡など約400枚の写真を掲載しており、史跡探訪にも有用と言えるでしょう。

大大名に翻弄されながらも強かに戦国の世を生き抜いた国衆たちの歴史をまとめた本書、どうぞお楽しみに。

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