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『足利義輝と三好一族』の読みどころ

皆さまこんにちは、戎光祥出版の丸山です。

11月の新刊、木下昌規著『足利義輝と三好一族』が刷り上がって参りました。まもなく刊行となりますが、刊行に先駆けて本書の読みどころを紹介いたします。

本書の目次は下記の通りです。

第Ⅰ部 足利義輝の誕生と畿内の動乱
 第一章 義輝の生まれた時代
 第二章 新将軍義藤と父義晴の死
 第三章 朽木への移座と帰洛
 第四章 三好長慶との対立
 第五章 義輝の離京と三好長慶の京都支配

第Ⅱ部 義輝の帰洛と永禄の変
 第一章 三好方との和睦、念願の帰洛
 第二章 帰洛後の幕府の様相
 第三章 義輝と大名との秩序関係
 第四章 朝廷・公家衆との関係
 第五章 三好氏と伊勢貞孝
 第六章 永禄の変での死は偶然か必然か

本書は室町幕府第13代将軍・足利義輝を主人公とし、義輝の生涯を追いかけながら、戦国時代の室町幕府の実態を論じるとともに、協調・対立を繰り返し、義輝とは切っても切れない関係にあった三好長慶をはじめとする三好一族との関係に踏み込んだ内容となっています。
このあたりは昨年の大河ドラマ「麒麟がくる」でも描かれており、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

副題に「崩壊間際の室町幕府」とあるように、義輝の時代にはそれまで在京して義輝を支えていた大名たちが軒並み自らの領国に戻ってしまい、幕府を構成する基盤が極端に弱体化してしまっていました。
その中で、義輝は新たに台頭してきた勢力と関係を築こうとします。これは室町幕府の新しいかたちを模索していたと考えることができるでしょう。しかしその結果、従来の秩序を自ら壊すことにもつながり、新たな軋轢も生まれていきます。
そのような状況の中、はたして義輝は何を想い、どのように動いたのか?このあたりのお話が本書の核になっています。

また、伊勢貞孝・上野信孝・一色藤長・三淵藤英・細川藤孝ら義輝を支えた幕臣たちの動向も詳しく解説しており、時に義輝と対立しながら幕府の屋台骨を支えた官僚たちの活躍・悲哀も読みどころの一つとなっています。
そして、足利義輝をはじめ、三淵藤英・細川藤孝・摂津晴門など、昨年の大河ドラマ「麒麟がくる」で登場した室町幕府関係者が勢揃いという感じですので、「麒麟がくる」ファンの皆さまにもオススメです!
ドラマで描かれた彼らとは何が異なり、何が同じなのか、そのあたりもお楽しみにいただけたら幸いです。

さらに、義輝といえば「剣豪将軍」のイメージがつきまといますが、本書では「義輝は剣豪ではなかった」と一刀両断しており、イメージの修正を図っております。

そして、義輝の話をする上で、もちろん「永禄の変」は外すことはできません。義輝が死去することになった「永禄の変」はいったい何が原因で起きたのか?これまで諸説唱えられてきましたが、それらの説を丁寧に整理した上で、木下先生は独自の解釈をされています。
結論については、ぜひ本書をお読みになってご確認ください。

なお、義輝の父足利義晴の激動の生涯を叙述した木下先生の前著『足利義晴と畿内動乱ー分裂した将軍家』も好評発売中です。
こちらをお読みになってから『足利義輝と三好一族ー崩壊間際の室町幕府』をお読みいただくと、より理解がしやすくなるかもしれません。
ぜひこちらもあわせてよろしくお願いいたします。

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