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リコリス・リコイル Ordinary days (電撃文庫) 著 アサウラ

【遊んで、戦って、酸いも甘いも噛み分け、私達の日常は続いて行く】


【あらすじ】
これは、喫茶リコリコの日常的な非日常を描いたささやかな物語!



「喫茶リコリコへ、ようこそ!」

あの破壊された旧電波塔をのぞむ東京の東側にあるオシャレでおいしいカフェ――それが、喫茶リコリコである。

本作はオリジナルテレビアニメーション『リコリス・リコイル』では描かれる事がなかった錦木千束や井ノ上たきななど、看板娘たちが織り成すありふれた非日常のちょっとした物語。

おいしい甘味に、ガンアクションに、ゲームに、人情ドラマ、ゾンビと怪獣にロードムービー……そしてほのかに愛!? もちろんコーヒーに人助けだって!!

「どんなご注文も……おまかせあれ♪」

そんな日々を積み重ねていくことで彼女たち絆が生まれていく――オマケ付きお菓子のバラエティパックのような何でもありの詰め合わせを原案者自らがスピンオフ小説化!

少女達の元に舞い込む依頼が愛と絆を育てる物語。


喫茶リコリコの千束とたきなの元に舞い込む多種多様な依頼の数々。

依頼に優劣や敷居を設けない彼女達は平等に対等に遂行していく。

美味しい甘味に、銃撃戦。

ゾンビに映画といった混沌を極める依頼の中で、育まれ行く強固な絆。

世界は残酷だからこそ、ちょっとした優しさに遭遇すると心が浄化されていく。

全てはこのささやかな平和と幸せを守る為。

事業を引退してふとリコリコに入ってきた客が巻き込まれる千束の勘違い。
ガンファイトで使う千束の赤いアレ。
たきなのまかないエピソード。
千束とたきなのゾンビパニック。
悩める常連客を救うエピソード。

天真爛漫な千束に振り回されながら、真面目なたきなが感化されて絆を深めてゆく関係は、まさに真の友情を体現していて、酸いも甘いも噛み分けて、清濁併せ呑む優しさと強さが垣間見える関係は尊いとしか表現出来ない。

生命力に溢れている。
周りの人間まで笑顔にさせてしまうような、そんな力が千束にはあった。
どんな難事件に対しても、「もう、大丈夫だよ。あとは私に全部任せて」と言ってしまえる胆力と懐の深さには、安心感が怒涛の様に押し寄せる。

ある時は千束が余計なおせっかい、またある時は変な世界で大暴れ。
まさにおもちゃ箱をひっくり返したかの様な、お菓子のアソートパックを味わうかの様な、賑やかで飽きる事の無い変幻自在の楽しさがそこにはあった。

「どんなご注文でもお任せあれ」
「閉じゆく人生にスイーツを」

辛くて苦しい現実の中でも、この言葉を思い出して、面白い事や楽しい事を積極的に探して見つける事で自分自身を楽しませて奮い立つ事が出来る。
彼女達が一つひとつ難事件を解決していき、依頼者との心のコミュニケーションを通わせるのを眺めるだけで、ささくれだって荒んだ心がどうしよも無く癒やされるのである。

彼女達の陰ながらの暗躍によって今日の街の秩序は明るく楽しく維持されていくのだ。


アニメを視聴して無い方にも是非とも本書を読んで心を軽快に弾ませて欲しい。




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