見出し画像

旅に感情はジェットコースター ~inバンコク~

およそ10ヶ月ぶりに、海外に旅に出ている。今いるのはタイの首都、バンコク。暑くて熱いギラギラな街だ。

きっかけは、インドネシアのバリ島にいる人から来ないか、とお誘いを頂いたことである。
大体今年の初め頃だろうか。その時はなんとなくぼちぼちどっか行きたいわーと思い気軽に行きますと返事をしたのだが、準備段階になると面倒くさいな、やっぱ止めよかな、とも思っていた。
しかし公言したことを止めるほどの熱意も理由もなく、複数人巻き込んでの流れに流され、なんだかんだとそのまま日本を飛び立つに至った。直前に友人と鹿児島へ遊びに行っていたこともあって、荷造りなどはすべて前日慌ただしく駆け込みである。
まぁ、いつものパターンか。
冷蔵庫に残してしまった料理のことだけが心配だ。
帰国したらクリーチャーに成長しているのではないだろうか。

AirAsiaで出国
結構空席もあった。かなり揺れた。

出発、自宅を出たときからビビリの虫は酷かった。
もちろんワクワク感もあるがしかし、飛行機というものが怖くて仕方ないのである。
あの鉄の塊がどうして空を…、今回に限って墜落するのでは…、などという前時代的な恐怖と、決済はちゃんと出来ているのか?Webチェックインとはなんぞや?ロストバゲッジしないだろうか?この時間に出発して搭乗手続きに間に合うだろうか?という事務的な恐怖と。
これは生来の臆病さに由来するものなので、おそらく何度経験したとしても逃れることの出来ない類いの恐怖なのだろう。
なんとか前向きに捉えれば、この臆病さが慎重さにつながると言えなくもない。実際はどれだけ頑張って準備をしながらも、どうしても足らずが出るという粗忽屋なのだが。

思うに飛行機は、自分のペースと並べてとても速度が早い。
いや時速900km以上でてっから!当たり前やろがィ!
とツッコミを入れる前にまず聞いていただきたい。
例えば今回で言えば日本からタイまで、直行便でおよそ6時間程度で到着してしまう。その速さに自分の中の切り替えが間に合わないのだ。

ああ、本当に自分は日本を出て、言葉も通じず習慣も異なる土地へたった一人で行くのだ。
………マジで??
行っちゃうの?大丈夫?
あれもこれも、準備全然できてなくない?
前回なんとかなったからって調子にのってなくない?

不安に苛まれるが、既に飛行に乗ってしまった身で大したことは出来ない。あれもやっておけばよかった、これも忘れた、と悶々としながらエコノミー症候群の不快さに思考はまとまらず、心細さに一人時間を無為に過ごすうち、異国の地に着いてしまうのだ。
圧倒的旅人向きでない精神構造である。

ドンムアン空港からの列車
建設には日本の協力があったらしい

更にはタイと日本の温度差もきつい。
今の日本はようよう分厚い防寒着を脱ぎ、春の暖かさを享受し始めようという微妙な時期で、その中でふと寒の戻りがあったりもする。
そうした日々を過ごしていた中、突如日中35℃超えの日差しに放り出されて、萎び始めている肉体がバグらないはずがない。
バンコクは日本よりも遥かに赤道に近く、湿気も結構あってムシムシしている。蒸し暑さを数値的に表した不快指数は日本よりも高いのだ。
数時間前まで春の麗らかさよ…とフワフワ呆けていたのに、変化が急激すぎる。実のところ空港から外に出た途端、異国の地を踏んだ高揚感は一気に萎み、心中半分くらい帰りたくなった。

ただしかし現代の海外旅行は飛行機なしには成り立たない。
ヨーロッパのように陸続きなら鉄道の旅も有りだろうが、島国である日本から脱出しようとするならばどうしたって飛行機は必須である。
目的地が決まっている場合は仕方がない。悠長に船に乗っているほどには余裕がないし、飛行機の数時間も怖い己が何日も海の上にいるのは多分耐えられない。あと酔うし。

そんな感じながらもなんとか異国の地にたどり着き、バンコクでは二日目である。

公園に行くと猫がたくさんいる
皆シュッとして美形であり、おとなしく触らせてくれる

幸いお腹を壊したりはしていないが、気温差にやられて食欲がない。オススメされた朝市に行ってみたが、休みなのか開いていないお店が多い。リサーチ不足で食べたかったものが食べられない。折角だし、と有名な寺院をいくつか観光しに外に出ても、第一目的地でもうヘタれた。暑さに負けて、予定の半分未満で早々に切り上げる始末。

スイカのスムージーで命をつなぐ
どこでも大体50バーツ(200円弱)でメチャウマ
唯一行けたワット・ポーの巨大な涅槃像
大きさと煌びやかさに圧倒される
入り口で爆睡のお猫様

なんだコレ、全然異国の地を満喫出来てないじゃん…。
自分内で旅が上手くいっていない度合いがひどく、何をしに金と時間をかけてはるばるこんな土地まで来たのか、と激しく落ち込む。
意気消沈して宿に戻り昼寝をした。

すると復活した。

歩き回る元気が出て、宿の周りを少しばかり歩いてみると、屋台がたくさんあって楽しそうである。

串焼き一本12バーツ

食欲も少し出てきて、昼寝前まで南国テイストの匂いにうんざりしていたのに、夜はここで食べようかなという気にすらなってくる。昨日もここにいたのに全然気づかなかったな、という残念な思いはあれど、まぁいっか、と切り替えることが出来る。

まさしく感情がジェットコースター、激しい乱高下である。
ようやく旅の免疫が出来てきたということだろうか。
うん、なんとかやっていけそうだ。明日もじっくり、旅を楽しもう。

迷い込んだ賑々しい路地
食べ物も売っていた
お菓子のようだがちょっとしょっぱい不思議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?