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映画感想文【リバー、流れないでよ】

2023年 製作
監督:山口淳太、出演:藤谷理子、鳥越裕貴

<あらすじ>
京都は貴船の老舗料理旅館「ふじや」で働く仲居のミコト。
いつも通り旅館の裏に流れる貴船川を眺めていたところ、呼ばれて仕事へと戻る。そのわずか二分後、何故かミコトは再び川のほとりに戻っていた。首を傾げながらまた旅館へと戻るのだが、気づけばミコトだけではなく、女将も番頭も、同僚に限らず宿泊客までもがタイムリープを繰り返していた!
何故こんなことが起こっているのか、どうすれば時は元に戻るのか、誰もが混乱しながら二分間のタイムリープから脱出するため動き出す。


なんか話題になってるらしいので、ちょっくら観てみっか!なノリで行ってみた。
86分、割と短くサクッと観れるSF映画は、なかなかシュールで斬新な面白さがあった。
タイムリープという題材は良くあるけれど、一日でも一時間でもなくたった二分、という短さが新鮮だったし、その短さ故に舞台はほとんど同じで徐々に飽きてくるのだが、そのギリギリ(ほんとギリギリな気がする)でストーリーに新展開が訪れるタイミングが上手い。
鬼才、というほど大げさではないがセンスあるなぁ、という印象。

ループに巻き込まれた人々は、やはり二分という短さになかなか冷静になる暇がない。一旦酷く荒れて攻撃的になったり刹那的になったりした後、諦めに似た境地に至る。
俳優陣の慌ただしい演技は、映画よりもどこか小劇場のお芝居でも観ているようだった。場面転換が激しすぎて実際は芝居では難しいだろうが。

リアルを求めるならパニックが足りないかもしれないが、まぁフィクションなので構わないだろう。
登場人物たちはとんでもないことに巻き込まれているのに、皆どこか呑気で憎めないキャラクターたちで、最後のオチも含めて疑問を呈さず楽しむのが吉、ってもんだ。上映中もところどころクスッと観客の笑いが聞こえる雰囲気が楽しい。
細けぇことはいーんだよ。

確かに最後のオチは「ちょっとちょっと、」と思わなくはないし、板前メガネ(名前を忘れてしまった)の有能さが過ぎない?という不自然さは看過できないかもしれない。
あと、なんで舞台が貴船なのに誰一人として京都弁を喋らないのか。雪景色と川と神社、情緒ある旅館があれば貴船じゃなくても良かったんじゃないの?と思わなくもない。

なんかちょっと変わった映画知らない?と聞かれた時にオススメする一品(どんなやねん)

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