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煮詰まる日々における読書感想文未満

色々と予定が入り、物事がスマートに進まない。
ありがたい事にお出かけのお誘いも頂いて、そちらの方もいつものクセというか性分で『盛り沢山のおもしろめいっぱい計画』を立ててしまうのでいけない。体は一つで一日は二十四時間しかないということをつい忘れそうになる。

諸々の期日も集中しており、今度こそはそれなり頑張って成果物を、と考えるのだが煮詰まってしまってウンでもなければスンでもない。
切羽詰まると気分転換も上手くいかなくなる。
趣味に時間を割いても、頭に始終成すべき事柄が引っかかって楽しめない。

生活リズムも崩れがちだ。
多少サボっても支障がない家事、例えば掃除洗濯などは真っ先になおざりになり部屋が荒れるが、コレくらいの汚れで人は死なん、と努めて無視する。
進捗が思わしくない時は寝ることにも罪悪感を抱くが、眠い目をこすって作業をしたとて、満足するものは出来ない。潔く寝たほうが良い、と最近ようやく学習した次第。
また、床で寝落ちすると体がバキバキになるし、今の季節は風邪を引きかねないのでこれは止めよう。

そんな感じで魔女の鍋のように煮詰まる中、何かヒントはないかと積読本などについ手を伸ばしてしまう。
チラチラと斜め読みしているのは、『作家の収支』(森博嗣著)だ。

作家、森博嗣が自分を材料に、作家業の収支を細かく明らかにしていく本。
最初は役立つ(?)ハウツー本のような感覚で手にとったが、読み進めていくと普通に読み物として面白い。やはり、森博嗣。

地の文では、読者に対してフレンドリーではない。直情的な自分からすると結構辛口、素っ気ないように思う。
小説では当然ながら作者自身は登場しないので、それで良い。しかしブログやエッセイ本、そして本書のような本では作者自身の色が強く出る。突き放しているような、そうでもないような。
好みの分かれる所かも知れない。

森博嗣は小説の他にブログ本なども多く出しているイメージがあるが、それらのどれを読んでも森博嗣、という印象が強い。
何を当たり前のことを…言われそうであるし、我ながら上手い表現ではないと思うが、兎に角「個性」が強い、ということだと思う。スタイルが確立されている、とも言えるかも知れない。
そしてその一貫性に、惹かれる。

そう言うと著者の成長がないような表現になってしまいそうだが、そういう意味ではない。というか、著者が成長具合などは、評論家でもないイチ読者には分からない。
ただ作品に「ぶれない一本の芯」を感じて、それが良いなぁ、羨ましいなぁ、と思うのである。

日々ブレブレで酔っ払い運転のように蛇行してしか進めない自分には眩しく映る。もはや「進んで」るかどうかも不明だが、それでも進む、という意思だけは捨てるわけにいかない。
巻末にはこう記されている。

とにかく「勤勉」を自分に課すこと。

森博嗣『作家の収支』より

はい、先生ェ!!

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