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「サテ みなさん」

ある一定以上の年齢の大阪人ならだいたい分かる、独特のイントネーションで読み上げられるこのフレーズ。たった一言なのに一瞬でわかるその力は凄い。
調べてみたら今年の4月で50周年を迎えるとのこと。半世紀もやっているとなればそりゃ当然、だろうか。

小さい頃からラジオが鳴りっぱなしの家庭だったので、日常のBGMとして良く親しんできた。
いつしかそれがTVになりネットになり随分遠のいたが、今もなおこのフレーズはあのイントネーションで脳内再生可能だ。


サテ なぜ今この話題かと言うと、映画の話からの連想である。
映画はまず第一に予告編やCMを見てアンテナに引っかかったものを観るが、やはり他者からの評判というものも気にする。予告編だけがやたらカッコよくて本編は酷くがっかり、というものも多いからだ。
昨今は映画料金の値上がりも著しく、百発百中とまでは言わずとも、できれば失敗は避けたい。

なので事前に映画情報サイトなどでチラッと評価を見たりもする。
贔屓の俳優が出演しているものや「これは絶対!」と思うほどでもない、ちょっと気になる程度のものは、星何点かで行くか行かないかを決めることも多い。
そうは言ってもネタバレは困るから解説やレビューなどは見ないようにしているのだが、これをぶった斬るのが件のラジオ番組なのである。

映画評論家でもあるパーソナリティ浜村淳氏は、番組の中で映画解説をしている。やはり独特の口調で、シーンの細かな描写まで丁寧に語るそれは本編を見るとはまた違った面白さが有り、子供心にラジオの魅力というものを教えられた気がする。
非常に楽しいそれだが、問題は丁寧すぎるということだ。丁寧すぎて物語の最初から最後まで、それこそエンドロールまで喋り尽くしてしまう。
ネタバレが前提で最後まで聞いたらもう十分、実物観る必要なし、というレベルまで喋る。
リスナーにとってはもはやそれは周知の事実であり、今さらそのスタイルは変えられないだろうし、また望まれてもいないだろう。これも50周年の人気のうちの一つと思えば許される。

noteに映画の感想を書くようになって、他の人のそれも良く読むようになった。
フォローしている人で、同じように映画が好きで、良くレビューを書いている人がいる。なるほどと思えるような視点をもち、なおかつそれを的確な表現で書かれるので面白く拝読するのだが、意図せずネタバレを食らうことも多い。あちゃーである。
自分が観る気のない作品の場合はありがたいのだが、それでかえって満足してしまうこともある。それだけ描写が上手ということでもあるだろうか。

今回もそれで一作、重大なネタバレを食らってしまい、そう言えば浜村淳だよな、とつられて思い出した次第だ。
自分はネタバレ無しには感想をかけない質なので、できるだけその旨のタグを入れるようにしているのだが、たまに忘れることもあるし、読書感想文ではそれが前提のようなところもあるから端からタグを付けていない。
そもそも一つもネタバレのない感想やレビューってありえるのだろうか。筆者の力量というやつだろうか。
評論家というものは人の作品を「あーでもないこーでもない」と蚊帳の外から呑気に口を挟む輩だと思っていたけれど、なかなかあれで神経を使う仕事なのだなァ。

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