ウィリアム・ギブスン、パッド・キャディガン『エイリアン3』の読書メモ(またの名をひとり読書会) 6-8章

ウィリアム・ギブスン脚本をパッド・キャディガンが小説に。紙のものは来年発売だが電子版は手に入るので、ちびちびと読むことにしました。せっかく読むので、読書メモをとっていきます。

①あらすじ②疑問点③読めない英語の3つをメモしていきます。当然、誤読の可能性もあるので、①あらすじも「自分がわかった範囲で」ということになります。ので、興味がある人は、なにより自分で読むことをお勧めします。なお③についてアドバイスをしていただけるgenerousな方がいたら、遠慮なくお願いします。

6

①あらすじ
・ヒックスが目覚めタバコを吸う。組織研究室からヒックスの検体を採取しに来たSpenceスペンスに注意される。血を取られる。ヒックスはニュートとリプリーの様子を聞く。ビショップはどこかと聞くが、ビショップを「司教」と勘違いされる。ニュートがやってくる。リプリーは? 医療装置が体に付けられて、意識不明の昏睡状態comaのリプリーに、ヒックスとニュートは再会する。

②疑問点
・意識を取り戻したヒックスの内省。宇宙海兵隊員としてのヒックスのいままで。
・ニュートは病室の廊下を走っている? 『エイリアン2』で最初にニュートと会ったシーンを連想させる。(ヒックス自身もそう感じている)

③読めない英語
The memory of the biolab on LV-426 came back to him. At the time, he’d thought it was awfully elaborate for a colony of first-wave shake-and-bakers, but circumstances hadn’t allowed further consideration. Otherwise, it might have occurred to him how strange it was for terraformers to be doing in-depth research on the alien specimens, instead of shipping them off to a Company facility specializing in xenobiology.

【訳】惑星LV426のい生物研究室の記憶がヒックスに蘇った。当時、ありあわせのものでやりくりする第一陣の植民者にとってこの生物研究室はたいそう手の込んだものだとヒックスは思ったが、それ以上突っ込んで考える余裕はなかった。もし状況が異なっていたら、異星生命体を、異星生物学を専門とする会社の施設に輸送せず、入植者が徹底的な調査をするのがいかに奇妙なことか、思い至ったかもしれない。

7

①あらすじ
・UPPのRodina Stationロジーナ・ステーション。人口はアンカーポイントより少ない。UPPの思想が少し明らかに。とにかくアンチ資本主義。研究室の機器は少し古いが十分に使える。ちょっとぐらい型が古くてもいいではないか。
・Colonel-Doctor (大佐-博士)Timur Suslovティマー・サスロフ。ビショップの上半身を分析、データを読み出す。資本主義者が人間に似せたロボットを作る情熱を理解できない。本当に人間そっくりなアンドロイド。彼がいままで見たことのあるロボットよりも人間に近い。人間にそっくりなロボットを見分けられない恐怖。人間と人間そっくりなロボットと戦争する恐怖(最終戦争?)。
・データからエイリアンの生態への疑問。変態transitionするのか? ラッキーにベトナム語で話しかけるサスロフ。

②疑問点
・ビショップがクイーンに身体を千切られた後、ロジーナがビショップを回収する前にthe alien growthがビショップに何をしたのか誰が知っているだろう?(誰も知らない) …ということは、ビショップの受けた損傷に順番がある、ということか?

③読めない英語
Any fools who felt enslavement to commercial interests was worth getting faster delivery on video screens with resolution 0.5% higher than last year’s model were free to leave and sell their souls.

【訳】商業的な利益のとりこにになってしまい、去年のモデルより0.5%だけ解像度の高いビデオスクリーンをすぐにでも運んでもらいたいと考える愚かものは、いつだってここを去って魂を売ればいい。

この文がマジで謎。Any fools … were free to leave and sell their souls.が文の骨格であろう。で関係詞節who feltが続くわけだが、enslavement … was worth getting faster delivery on video screen (with …)の構造がわからない。Faster delivery was worth getting. = It was worth getting faster delivery.と考えてみたが、となるとenslavement toをどう考えるのか? felt (that)とするならenslavementは主語になるのだが、となるをwas worthに続かない…?

8

①あらすじ
・アンカーポイント。Talisa Nkosiタリサ・ンコシは手先の器用な技術者。Millerミラー。共にスラコ号で見つかったビショップの下半身を調べる。2人がスラコ号にお到着したときには完全に封鎖されていた。アンドロイドの下半身にあったthe weird shit in questionを調べる。上司のタツミから指示が出される。
・ミラーが助手を務めてンコシがビショップを解剖。体のパーツをバラしていく。何が起こったのか全くわからない。噂レベルでも話が伝わってこない不気味さ。
・スクリーンには黒い粒globulesがアンドロイドの血液に付着rootしている様子が映る。アンドロイドと人間は成分が混ざらないように設計されている。調べるとありえないことが起こっていると分かる。もしこのweird shitが有機体ならばアンドロイドの血液に根付くことはありえない。では、無機物なのか? もしこのエイリアンの検体が、アンドロイドの血液のような無機物に根付くのであれば、すでにあらゆるものと混じり合っている可能性があることに気づきンコシは恐怖を覚える。自律的に動いているようにも見えた。
・「いつからアンドロイドは感染症にかかるようになったのか?」

②疑問点
・上司タツミはギブスンの朋友・巽孝之であろう。
・そもそもスラコ号に侵入していたエイリアンはビショップ=アンドロイド(無機物)に寄生していた? ビショップの足にエッグがあり、スラコ号に乗り込んだUPPの1人の顔面にフェイスハガーがとりついたはず。どうやらエイリアンはアンドロイドにすら影響(生物的な)を与えている。

③読めない英語
Increasing the magnification another five levels gave the surfaces an uneven, bumpy texture. It wasn’t enough to let her see any molecular bonding but she could almost visualize it now. All she had to do was go to maximum magnification and she’d be the first person ever to see something previously thought to be impossible. If she could bring herself to do it, that was—she wasn’t sure this was something she wanted to look at.

【訳】さらに5段階倍率を上げると、その表面が不均衡のでこぼこした質感であることがわかった。分子レベルでの結合を見れるほど十分な倍率ではなかったが、いまや彼女はほぼ頭の中で思い描くことができていた。彼女がすべきことはただ最大の倍率にあげることで、そうすれば以前には不可能だと思われいてたものを見る最初の人間になれるのだ。もし彼女がそれさえすれば、それが見える。ただこれが彼女が見たいと思っていたものなのか確信できなかった。

that was —が微妙。見たいけど見たくない、その心理をねちっこく描いているシーンだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?