ウィリアム・ギブスン、パッド・キャディガン『エイリアン3』の読書メモ(またの名をひとり読書会) 9−12章


9

①あらすじ
・Pasquale Vincenzo Rosettiパスカル・ビンセンツォ・ロゼッティ大佐。ウゾマ・ネンジェ伍長の報告を読む。会社からWellsウェルズとFoxフォックスがMilitary Sciences軍科学部のWeapon Division兵器部門からやってくる。ロゼッティの協力に感謝する。
・アンカーポイントはColonial Administration Authorityである。植民地政府の管轄下ということか。
・スラコに乗った民間人に緘口令がしかれる。問題はスラコ号がUPP領域を通過した時に乗り込んできた3人の存在。ロゼッティはその話をいまになって会社の人間から聞かされる。UPPに行ってアンドロイドを奪還できるだろうか? 無理だ。彼らは「なんちゃって」ボルシェビキだが、思想に生きてる連中は危険である。それにいまは平和時で、ドンパチするきはない。

②疑問点
・アンカーポイントの統治機構。
・会社の存在。会社のMilitary Sciences, Weapon Divisionといった区分。

③読めない英語
No doubt this was how he would die, Rosetti thought. Not in a blaze of combat glory nor quietly in his sleep, but in a meeting, where his heart would give out from bureaucratic tedium. He might not even fall off the chair, just face-plant on a conference table. Come Judgment Day, he’d need a nose-job.

【訳】俺は間違いなくこうやって死んでいくんだ、とロゼッティは思った。戦闘の栄光の輝きの中で死ぬのでもなく、静かに眠りにつくように死ぬのでもなく。会議の中で死ぬんだ。会議中に、心臓が官僚的退屈さに耐えかねて止まるんだ。イスから転げ落ちることさえない。会議机の上に突っ伏して死ぬ審判の日が来るなら、鼻を整形しておかないと。
最後の1文が怪しい。

10

①あらすじ
・ヒックスが会議室に呼ばれて軍と会社の人間から尋問される。軍人ビューチャンプとボルコフが連れていく。検査を受けてドアを通過。
・その場にいるのは5人。ロゼッティ大佐のみヒックスは認識できる。会社の人間は2人(ケビン・フォックスとスーザン・ウェルズが会社の人間)。異星生物学者Dr. Adele Trentアデーレ・トレント博士。外交担当官Diplomatic Corpsシューマン。
・会社の人間は「よく帰ってきた、任務は成功」とヒックスにいうが、ヒックスは当然、反発する。
・トレント博士はエイリアンの生態について詳細を知りたがる。ロゼッティは機密だといい、フォックスは話すように促す。博士は、まだヒックスが全てを話していない(意図的にではなく)のでは?と思う。
・ヒックスはビショップはどこだと聞き、ロジーナステーションに持っていかれたことがわかる。UPPがわずかに早くスラコ号からビショップ回収した。190分間UPPの領域を通過した。
・シューマンがUPPとの外交的危機についてキレる。地球とのタイムラグ2週間。会社の人間はビショップ取り返したいようだが、それをやると星間戦争になるぞ!とシューマンはブチ切れる。

②疑問点
・シューマンの立場がよくわからない。Corpsとあるが立場は軍人?・ところどころに『エイリアン2』のシーンがフラッシュバックするヒックス。

③読めない英語
“You were in UPP territory for one hundred nineteen minutes. Ordinarily, the UPP would have responded to this with threats, accusing us of a treaty violation, but for some reason they didn’t.”

【訳】君はUPP領域に190分いたんだ。通常、UPPは領域審判に脅迫で反応してくる。条約違反だと責めて。ところが、なんらかの理由で彼らはそうしなかった。

仮定法過去完了の文。

11

①あらすじ
・伍長ネンジェNengeに救出されスラコ号を脱出したTullyタリー。ステーションのモールでぼうっとして過ごす。失語状態。噴水の中のステンレスマーメイド。スラコ号での出来事から立ち直れない。周りの人がいつもどおりの日常を送ることが受け入れられない。
・Spenceスペンスがタリーにスラコ号で何が起こったのかを聞こうとするが、タリーは頑なに話してくれない。
・スペンスが1人で組織ラボでサンプルを調べている。セキュリティ・ブラックアウト。情報が全く入ってこない。そこにタリーが戻ってくる。厳重な取り扱いをする容器のサンプルは、どこから来たのか? スペンスは顕微鏡でビショップの下半身を調べる。黒い小塊blobがアンドロイドと融合bonded している。アンドロイドは不活性のはず。あり得ないことが起こっている。

②疑問点
・『1』とも『2』とも違うエイリアンの生態。いままでわかっていたものは一部で、全体像があるということか。それがこれから明らかになっていくのか?

③読めない英語
“Did they find the rest of the body?” She read more. “No, just the legs.” Spence put the printout on the workbench; a puff of air from the ventilation system sent it to the floor again. “Am I crazy, or is that black crap bonded to the artificial blood cells?” “At the molecular level,” he confirmed. “Whether you’re crazy or not.” “But that’s impossible,” Spence said. “Synth blood is inert.”

【訳】「彼らは体残りの部分を見つけたの?」彼女はさらに読んだ。「いいえ。足だけ」スペンスは印刷した紙を作業台の上に置いたが、換気システムから出る空気が紙を再び床に落とした。「私はおかしいのかな。この黒いクソが人工血液の細胞にひっついているんだけど」「分子レベルでそうなってるな」と彼は確認した。「君がくるっていようと、いまいと」「でも、そんなのあり得ない」スペンスはいった。「人工血液は不活性だから」

12

①あらすじ
・ニュートが宇宙船モナリザに乗って地球に向かう。オレゴンに祖父母がいるので引き取ってもらうことに。まだ意識が回復しないリプリーの病室で、彼女宛の手紙を書く。これしか方法はない。と自問しながらヒックスはニュートを送り出す。もしニュートと親戚がいなければ自分の妹ゼルダに世話を頼もうかと考えていた。

②疑問点
・これでニュートは安全な場所に辿り着ける…のか? リプリーいつ目覚めるのか。(sleeping beauty説)

③読めない英語
Hicks would never regret helping Newt lie about not remembering what had happened on LV-426. He’d coached her on how cold-sleep exacerbated traumatic memory loss to help her come across like the real deal. Maybe he should have felt bad—protecting her was one thing, but showing her how to lie wasn’t exactly ethical, even if it was the Company.

【訳】LV426で起こったことを思い出せないとニュートに嘘をつかせる手助けをしたことをヒックスはこれから後悔することはないだろう。冷凍睡眠が思い出せないトラウマ的な記憶をさらに思い出せなくさせると、ヒックスはニュートに話していた。本物のように彼女が思われるように。ひょっとしたら彼は罪悪感を感じるべきだったのかもしれない。彼女を守ることは大事だが、彼女に嘘のつき方を教えることは必ずしも倫理的なことではない。たとえ嘘をつく相手が会社であっても。

He’d coached her on … to helpのあたりが非常に怪しい。特にto help her come across like the real deal.がなんのことかさっぱりである。the real dealはネットで調べると「本物」「半端でない存在」と出て来るのだが…。



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