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2017年7月の記事一覧

予知夢

男は毎晩同じ夢を見ていた。その夢というのは、真っ暗闇の中で自分が身動き一つできずにいて、そこを「ゴオオオオー」という轟音が迫ってくるというものだった。決して後味のいいものではないし、何度も何度も同じ夢を見るので、男は同僚に話してみることにした。
「きっと、お前疲れているんだよ。何か逃げたいことでもあるんじゃないか。そうだ、何か他に悩んでいることがあれば相談聞くよ。今晩飲みに行こう」
男はあまり酒に

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蝉時雨

ある晴れた昼下がり、父親が息子を連れて殺風景な公園を散歩していた。
「ねぇ、お父さんこの穴なぁに」
少年が指差したのは小さな穴だった。
「ああ、そうか。お前はまだセミを知らないんだね」
「セミ? セミってなぁに?」
「セミという虫は何年もかけて土の中で過ごすんだ。なかには7年もの間、土の中で過ごす種類もいるんだよ。この穴は、そんなセミたちが掘った地下トンネルさ」
「へぇー。そうなんだ! お父さんあ

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ミミズ

俺はミミズだ。俺の身体を空気が通る。俺の身体を栄養分が通る。俺の身体を血潮が通る。そうやって俺は毎日を生きてきた。
しかし、いつの頃からか汚れた空気と汚れた食物が俺の身体を通り抜けるようになった。必然的に血も濁ってきたようだ。もしかしたら人間どもは、俺たちをジワジワと殺そうとしているのかもしれない。なかには気にかける人間もいるようだが、聞く耳を持たない人間のほうが多いのが現状だ。
さすがにもう疲れ

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生存者の証言

初めまして。自己紹介をしたいのですが…私にはあまり記憶がなくて、こうやって考えている今もどんどん忘れてしまうのです。
かろうじて覚えていることは、数えきれないほどの人々が私と同じように脱出を試みたということです。残念ながら、どうしてあれほどの人々が急き立てられるように走っていたのかは覚えていません。その最中に多くの人が命を落としました。最後まで私の隣にいた方もシェルターの手間で力尽きてしまいました

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とある心配

「目撃者の証言によると、窃盗犯は塀を乗り越えて逃走したとみられます。このことから背の低い容疑者Aの可能性は低く、背の高い容疑者Bの犯行と見てまず間違いないでしょう」
「何言ってるんですか? 店頭に並んでいた土産の饅頭を盗んだのは猿ですよ?」
「えっ?そうだったんですか?」
「そうだったんですかじゃないよ、この税金泥棒」
「代わりの者が参りますのでしばらくお待ちください。わたしはこれで失礼します」

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二度目の月曜日

これは、とある優秀警察官による取り調べの記録である。

月曜日。取り調べを開始。容疑者は否認。顔にライトを当て続けたが自白せず。
火曜日。引き続き容疑者は否認を続ける。「家族や仕事場の人間に迷惑がかかる、これ以上の否認は得策ではない」と自供を促したが黙秘。平手で3回頬を叩いたが黙秘を続けた。
水曜日。取り調べ直後に容疑者が泣き出した。自供するかと思い、調書を読み上げるも「そんなことやっていない

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