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音を出す前のルーティーンを作る。

こんにちは! ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生を楽しんでいきましょう♫

さて、ルーティーンといえばイチローが打席に立つ前に決まった動作をしたり、毎日カレーを食べたりとかが有名になり、この言葉が一般に使われるようになった気がしますが、この打席の前に同じ動作をしたりするのは演奏家も同じ。自分にとって音を出す前にどうしたら良いのかを考えていけば自分の演奏前のルーティーンができてきます。

音を出す前の準備


音を出す前、演奏をする前に決まった動作をするのは実は普通のこと。でもこれをおざなりにしていると演奏も不安定になります。

演奏をするときに大事なのは安定感です。ある日、とても良い演奏ができたとしても、次の日に全然レベルの低い演奏をしてしまうと困りますね。特にプロの場合、その日1日の名演よりも、安定して聴衆にプロのレベルの演奏ができなければいけません。名演を目指すのはいつものことですが、自分の演奏の底辺を上げることがとても大事です。

その底辺を上げる、いつも同じようなレベルの演奏を安定して供給するためにもルーティーンは必要なことです。

ではルーティーンとはどうやって作るのか。ここが問題です。自分がなんとなくやってきた動作が意味のあるルーティーンなのかというと実は違います。演奏前のルーティーンは自分が気をつけるべきこと、注意すべきことを確認する意味もあるのです。

自分が崩しやすい部分はどこか?

自分が苦手なところや気をつけるべき確認点からルーティンを作ることも一つの作り方です。

イチローは打席に立つ前の素振りではゴルフスイングのような素振りをします。なぜそれをするのかは胸を開かずに打つためのバットの軌道をイメージするためにやるのだとか。実際にそう振らないけれど自分のなくなりがちなイメージを保つために毎回それを確認するのではないでしょうか。

私はアンブシュアを作るために吹く前の準備はいつも決まってます。ある意味馬鹿みたいな顔ですが、演奏前には口周りをほぐすような動きをしてからリードの咥える位置と角度と口の当たる感覚を確かめてから吹き始めます。それは私は歯並びも良くないし、アンブシュアが崩れやすいと自分でわかっているから常に口の形を確認しているのです。

最近は骨盤の位置も気にしているので、立って演奏する時は特に腰の形を意識します。それをやり始めた頃にお客様にその仕草をなぜしているのか聞かれたこともあります。

人それぞれ違うところに目を向けているし、個性があります。師匠のアッツォリー二は舞台上で必ずゆっくりと歩いて演奏する場所まで移動します。彼は情熱的ですぐに熱くなってしまうので、自分が熱くなりすぎないように自分をコントロールするためにあえてゆっくり歩くのだそうです。

音出しにも個性が出ますが、これもなんとなくやっているのか、確認するところをピンポイントで確かめているのかは全然違います。ウィーンの師、ヴェルバはGのオクターブしか音出しをしなくてもそのときの自分の調子がわかるそうです。必ずGのオクターブを演奏するのですが、彼はそこのオクターブが苦手で、そこをコントロールできればあとは問題なく演奏できるそうです。

一流の演奏家に話を聞いたり共演する機会があるとそういう裏の話がたくさん聞けます。どんなに上手い人でもそのレベルに自分を保つためのメソッドを自分で作っているのですね。

最初の話に戻りますが、それは自分の底辺を下げないための動作でもあります。人に見えるところ、見えないところ、両方でルーティーンがありますが、演奏家が演奏する前にどんな仕草をしていて、それはなんのためにやっているのかを考えてみるとまた新たな発見があるかもしれません。

サロンなどで演奏者と話ができる機会があれば質問してみるのも楽しいかもしれません。

ということで今回は演奏する前のルーティーンについてでした。

それではまた。宣言もあけたので今週からまた元気に活動していきましょう。

蛯澤亮でした。

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