なりたい日。
女の子になりたい日がある。
ふりふりがついたスカートとか、ばっちり上がったまつ毛とか。そんなかわいい女の子。
学校にはそんな女の子らしい女の子がたくさんいた。かわいいなぁっていつも見ていた。
それと同時に私はそうなれないなと思った。
男の子になりたい日がある。
身長が高くて、がっしりと逞しい背中。そんな強い男の子。
街を歩くとそんな人ばかり目に映る。こうなれたら良いのになぁと思っていた。
私はその両方に属さない。属せていない気がするのだ。
女でいるには硬すぎるし、男でいるには柔らかすぎる。
誰が好きとかそういう話もついていけない。憧れならわかるけれど、それ以上の感情がわからない。
何か一歩踏み出せそうな瞬間があったけれど、やっぱり理解できなかった。そんな自分が気持ち悪かった。
女じゃなかったらもっと仲良くなれたのかなとか、女だったからこんなに親しくしてもらってるのかなとか、考えてしまう。
大学の同級生はほぼ女の子だった。自分がよく交流していた子たちは色恋沙汰の話をすることもなく、すごく心地よかった。そういう話が苦手というか、居ても立っても居られない感覚になるのだ。
でもそういう世間一般にならなくてもいいのかも、と思うとだいぶ楽だった。自分がしたいことやってる方が楽しいし、気分がいい。
今の私はちょっと女の子になりたいみたいだ。
卒業式で袴を着るから、少しでもその服がきれいに写るようにちゃんとした人間になりたい。
髪も染めてみたいな。一年のとき染めたけどほぼ色が入らなかったから、初ブリーチをしてみるか悩み中だ。かわいいお洋服も着てみたい。
ちょっとしたら違う考えになってるかもしれないけれど、その感情たちに正直に向き合えるようがんばりたい。
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