魔女さま、ざまあ好き

魔女さまは、どうして偉大なチカラをお持ちなのに、他人を不幸にしたがるの?
ちいさな人魚姫が質問しました。この子は、かつて、自らを人間にしてと頼みにきた人魚姫みたいな無謀なところがあって、そして自由気ままな性格だった。

望んで、みずから泳いでやってきて、魔女の家を散歩道に入れているほど。魔女さまも彼女の無礼にはいつしか笑ってしまい、この子を許すことにしました。

さて、質問の答えです。

「惨めにされてゆく、転落してく、哀れな姿を見るのが好きだからだよ」
「ふうん。それって、私がヒトデを岩の上に置いてきて、日干しにしてみたりするのと同じこと?」
「そうかもね。おやおや、お嬢ちゃん、そんなイタズラまでしてるのか?」
「退屈なんだもの」
「そうか。わかるよ、わかる」

魔女さまとちいさな人魚姫は、にこっと笑うのでした。無邪気に。魔女さまは少女のように。ちいさな人魚姫は、等身大に。

魔女さまは、ひとつ、黙っていました。答えずにいました。

『女の子みたいな、可愛い年頃に、たまに戻ってみたくなるからさ』

他人の不幸を喜ぶなんて、まるで、少女みたい。魔女さまはそう感ずるのです。


END.

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