水の酸素の植物の楽園

チキュウと現地人に呼ばれている星は、水を閉じ込めた星である。もとは水とは毒であり、沼であり、同じく猛毒である酸素と非常に相性のいい存在だった。
また、この両者と共存でき、また発達できる唯一の存在が植物と呼ばれる生命体だった。植物は歩けず喋れないが、水を栄養とし、酸素を吐き出す。そう、植物もまた、有毒性の命であった。

星星の重鎮たちは、結局のところ、ある銀河の僻地に水と酸素と植物を追いやることに決めた。そこは、外から見れば、真っ青なとてもうつくしい星になった。しかし、うつくしい星は死の星として知られている。

近年になって、ホニュウルイ、特にホモサピエンスなる生命体の発達が著しいと銀河連盟に報告があげられた。
それぞれの星の重鎮は、ため息を吐くのだった。

あんな永住する毒たちの星に巣食う生命体なんて。
どうせ、ろくなもんじゃないだろ。
毒に慣れきって毒を毒とも思わぬ連中にちがいない。

しかしどうやら、ホモサピエンスたちは宇宙に進出する気らしい。排出したはずの毒が巡り巡って戻ってくる因果に、星星の重鎮たちはまたひとつ、おもいため息を吐き出すのだった。
宇宙生命体のその息には、酸素も、二酸化炭素も、含まれてはいなかった。


END.

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