解体ラブスト2-33

硬い人差し指は、しーさんが仕事やら医療行為やらに、例えたとおりに。

そこを必要以上にもったいぶって触ることも。
別の意味、合意や、非合意、非合法、そんな思惑すら感じさせることもなく。

ヌチャリ、濡れた音はしたけど。

パンツの裾をめくって問題箇所を露出させる。硬い指先は、ただ、邪魔な布に指先を引っ掛けてどかしただけ。

「……」

「…………ッぅ…」

しーさんは、今は、眼を合わせてこない。わざとだ。
私は、だって睨んでる。思いきり。力の限りに。この悪党、自分のことしか考えてないで私にこんなことしてくるバカを!

(いやだからってそこを凝視するのも)

少し、下にさがっている視線が憎くて仕方がない。こいつ。コイツ!!

無言のまま、パンツを横に完全にズラし終えた人差し指と、中指を。しーさんが改めて自分のくちに入れてクチュクチュとよだれに絡めて濡らしている。

見る人によっては、それは女の人がそういうことが、合法で、例えばこの人の外見が好きだとか。そもそも好きですとか。そういうひとなら、嫌悪のほか、何かを覚えたかもしれない。

絵になる。

しーさんが手慣れていることは、明らかだ。本人が言っているとおりに。

「……っ最低……で…す」

言いようもなく腹が立つから。憎まれぐちでも言いたい。最悪すぎるから。最低だから。外道!!

「…ん、…知ってる、……沙耶ちゃん、息はしてて?」

「ふ、ぅっ!?」

指先が、2本、触ってきてる。

仕事。医療行為。その前提を崩さなかった。

私の緊張なんて。つまり関係なく。
しーさんは指先をそこに潜り込ませてズブズブと沈めてきた。

それから、指を右と左に開けて、くぱりと。本当にそんな擬音が耳に聞こえた。ぐちゃぐちゃに濡らされて汚されているせいで。

「…………」

「…………っっ!!??」

もはや、顔面が燃える。炎上する。ぎゃあーっ!!!! って内心で叫んでるのに声が出せなかった。喉が凍ってる!!

しーさん、は、そこを。

穴を空けさせたそこを、あちら側から、こっち側から、と頭を動かしながら見つめている。最低最悪の眼差しを更新するな。

でも、まだ最悪があった。なんて男だ。最悪の悪魔。

「……ゴメンやっぱ暗い……そうしゃないかなとは思ったけどさ……沙耶ちゃん、沙耶ちゃんの横にあるスマホ、貸してくれる? ライトにするから」

「……っっっっ!!!!!!」

(き、気絶、したいっっ…………!)

「ゴメン。でも照らさないと奥までちゃんと見えない」

しーさんが視線を上げて、今度はばっちり、私の眼とも交差する。

しーさんは冷や汗をしていてちょっとだけ申し訳なさそうに見えるような平然としているような複雑そうな。

私。
私は、なんかもう、さすがに泣いてもいい気がしてきた……。



END.

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