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「はてしない物語」下巻読破。

映画しか知らない私が
原作である「はてしない物語」を読み始めたのは、この夏のこと。

実は映画の話は上巻のみ。
これが賛否両論のエライ騒ぎに。

特にラストの演出を巡って
原作者のエンデと映画製作会社が裁判沙汰になったのは有名な話。
しかもエンデが敗訴…。なんてこった。

下巻を読んで分かった。
エンディングが全く違う。

上巻は冴えない少年バスチアンが
古本屋から黙って持ってきてしまった「はてしない物語」を
学校をさぼって読み進めていく、という展開。

お話の中に出てくる国「ファンタージェン」は崩壊の危機。
そこで勇者アトレイユがファンタージェンを救う旅に出ます。
その旅を読み進めていくバスチアンの物語。

ファンタージェンを救えるのは想像力の豊かな人間の子どもなんだって。
バスチアンは本の世界に入り込み、ファンタージェンを救います。
本の中に入る…元祖ファンタジー!!

映画はファンタージェンが救われた!ありがとう、バスチアン!
みたいなノリで終わるんですが、エンデの原作はもっと深かった。

下巻でバスチアンは壊れてしまった国を再建。
バスチアンの願いは「アウリン」という宝物によって叶えられていきます。
アウリンは明と暗の二匹の蛇が互いに相手の尾を咬んで、楕円になった形状をしているペンダント。
裏側には「汝の欲することを成せ」という言葉が刻印されています。

創作が得意なバスチアン。
アウリンの力を使い、住人や場所に新しい「名前」と「物語」を与えていきます。
コンプレックスだった自身の容姿も願いによってすっかり変化。
ファンタージェンを満喫していました。

ところが、
アウリンの力を使うたび
現実世界の記憶をひとつずつ忘れてしまうという代償が。

いつしか
バスチアンはアウリンの力でファンタージェンの新しい帝王になろうと考えるようになりました。

権力を振りかざすバスチアン。
帝王になるのを阻止し、アウリンを取り上げようとするアトレイユたちを裏切りと見なし、国から追放してしまいます。

国全体を巻き込んだ戦争を起こす騒ぎに。
ボロボロになって辿り着いたのは
バスチアンと同じように力を使って願いを叶え続け、
全ての記憶を失った過去のファンタージェンの帝王たちが徘徊する場所。

全てを失ったから現実世界に帰れない。
望みも希望もない虚無の場所。

このバスチアンが徐々にダークサイドへ落ちていく描写がとにかく怖い。

本当に大切なことは何なのか、真実の願いは何なのか、
バスチアンは再び探し始めます。
彼は現実世界に帰れるのでしょうか、彼の真実の願いとは…って感じです。

エンデの作品は今までなぜか読んだことが無かったけれど、
これは素晴らしい。ラストで目がウルウルってなった。

これを映画化するには3部作ぐらいにしないと語れんよ。
そりゃエンデも激おこだわ。
でも映画は映画で好きなのよね。

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