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凡人主婦の「お・も・て・な・し」

数年前、旦那さまがお世話になっていた会社の上司が我が家に押しかけて来たことがありました。いまどき上司が押しかけてくるなんて珍しいですよね。
ずいぶん前の話なのですが、ふと思い出したので。

あれは、忘れもしない…結婚してまだ間もない頃。
なぜか上司が我が家に来ることに。

そうなった経緯は不明ですが、来るとなったからには滝川クリステルばりの「お・も・て・な・し」をしなければならない。
しかも、上司軍団は1人ではなく3人で攻めて来る。もはや戦。

さて、困りました…。

新婚だったので、とにかく物が少ない。
必要最低限の物しかない。
アパートだから狭い。
人数分の食器が無い。
グラスも無い。
テレビとラジオはなんとかある。
車はそこそこ走ってる。
オラ、こんな飲みイヤだぁ~と歌えば良かったのか。

しかし、当時の私はこの接待の良し悪しが旦那さまの今後を左右すると焦ったわけです。
真面目主婦、降臨。

まず、両家の実家から食器を拝借。接待のノウハウを教わる。メニューを考える。
そして大きいテーブルを買い足す。
新婚家庭、大出費。

旦那さまの祖父母も「孫の一大事だ!」とお高いグラスをくれました。
昨年、そして今年と2人続けて他界してしまいましたが…。
こんな私のことを、会うたびに褒めてくれた素敵な祖父母でした。頂いたグラスは形見として今も大切に使っています。

メニューをどの食器に盛り、どのタイミングで食卓に出すか、どこで次のお酒を勧めるか…普段、気が利かない人間なので神経とがりまくり。
笑顔を引きつらせ、なんとかやり遂げました。

幸い上司の皆さんは機嫌良く帰宅。ほっと一安心。

後日、この日の出来事を上司の皆さんが会社で嬉しそうにお話してくださったらしく。
社内のごくごく一部で「奥さんどんな人やねん!」と噂になったことを聞き、顔面蒼白。
あぁ…恥ずかしや。

すみません、ただの凡人主婦です。
上司の皆さんは営業トークがお上手なので、盛り気味にお話なさったのでしょう…。

もう既に退職した上司の方もいますが、今でも夫婦でこの日のことが話題になります。
旦那さまもその会社を退職したので、社員の皆さんとお会いする機会は少なくなりましたが、今も「元気ですか?」と我が家に連絡をくださる方がいるので、有難い話です。

あれから数年。
今では皆がテーブルを囲んで乾杯するのも難しい状況になりました。オンラインで顔を見ることは出来るけれど、ちと物足りないと感じるのであります。

いつの日かまた乾杯できる日が来ることを願って。

#また乾杯しよう

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