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専門性の特化をどのようにするか?僕が【選択と集中】でワインを学んだ方法

僕はWEBマーケティングの職業訓練学校に通っている。
50歳にして。だ。

今や、大学生くらいから始めるであろうことを、
僕はこの年で始めている。

「もう遅いでしょ」

と思われても仕方がないけれど、
本人は至って真面目に考えている。
その代わり、これから得れることは、
時間的にも「選択と集中」をしなければならない。

今日はそんな僕の、今からでも遅くない
と「選択と集中」を証明したお話をしたいと思う。



何かを始めるなら今しかない

思い立ったが、吉日。
先人は良い言葉を残してくれている。

僕は27歳で飲食業の世界に飛び込み、
(飲食に携わるには少し遅めだと思う)
幾つかの職場を経た積み重ねの結果で、
37歳の時にイタリアンレストランを開業した。

僕のキャリアは「管理職として」が主で、
ワインという専門性には特化してこれなかった。
もちろん職場で扱っていたアイテムは(高額なものを除き)一通り試したし、それなりにハマって勉強もした。

でもそれは、フランスはじめ、イタリア、
スペインやニューワールド・・・
ありとあらゆる国を網羅していたので、

例えばブドウ品種だったり、産地だったり、カテゴライズだったり・・・
携わる者なら普通に勉強し、誰でも知っているっちゃ
知ってるに違いない、そんなありきたりの知識しかなかった。


経験が足りない。ならどうするか?

ワインは「飲んでナンボ」だ。
とにかく飲みまくるしかない。

だが、前述のように世界を網羅するのは無理だ。
なので僕は

イタリアワインだけに絞った。

まずそこを決めてから、下記を行った。

僕は自己学習実体験を重ねることにフォーカスした。
インプットの部分だ。
ワインに触れる機会を増やすしかなかったので、
僕がとった行動は三つ。

  1. グラスで売るワインを徐々に増やした

  2. 試飲会に行った

  3. ワイン会を開いた

それぞれを説明してみたい。

1.グラスで売るワインを徐々に増やした

グラス販売のワインは、開業当時は、
泡と赤白一種づつの、計3種だったが、
だんだんと増えて、泡と赤白3種づつは必ず。
これを定期的に更新し、僕の知見をアウトプットしていた。

加えてロゼ、そして「突発的にプラス」されるもの。
多い時で合計9種もあった。

それぞれ味の変化がないと増やす意味がないので、
まずは4つのカテゴリーに分類し、
アイテムを増やした。

それは、緑・黄・赤・茶の4色だ。

これは、ワインの色をさす。
実はワインは白と赤ではない
前述の4色に分類される。
(ここにロゼと近年オレンジという色が認知された)

これを深く説明すると本筋から外れるので割愛するが、
この4色+2色はワインと食事のペアリングにも関わるので、
頭の片隅に置いておくと良いと思う。

そして、前述の突発的にプラスされるものとは、

ボトル販売のアイテムを、グラス売り

を指す。
僕はご要望があったり、特別に提供すると顧客満足を得れる(こちらの方が多かったが)という理由で、
二杯以上頼んでもらって、グラス販売していた。

二杯以上の理由は、原価の確保だ。
レストランでワインを販売する際、
色々な考え方があるが、
ボトルで概ね30%近辺で設定していることが多い。

グラスワインの量も店によって変わると思うが、
これも概ね120㏄くらいが多い。
ボトルが750㏄なので、一本のボトルで6.25杯
という計算になるが、バッファを前提として6杯が一般的だ。

2杯飲んでくれれば原価分は確保できるので、
その後、高すぎて売れないような金額でない限り、
僕はどんどん抜栓していた。

それはとりもなおさず、僕も試飲できるからだ。

以上はメリット。
デメリットはロスが発生した場合のリスクのみ。
実際、飲み頃を越えてしまうことは発生した。


2.試飲会に行った

だいたいどこのインポーター(輸入業者)も、
春と秋に大規模な試飲会を行う。

僕はイタリアワインだけに絞り、ほぼ全て行った。
日程が被ることがあっても、その距離が遠くても。
ランチの終わりかけから、ディナーの立ち上がり前までの時間を有効活用して回るのだけど、それはそれはキツかった。

試飲といっても、飲み込むわけではない。
ワインを口の中で転がして、
味わったら飲み込まずに吐き出す。
でも、舌からアルコールは入ってくるので、
微量でも積み重なるとボディーブローのように効いてくる。(笑)

ある程度分かるようになってからは、
業者を絞って回るようになったが、
人気の高いアイテムをより多く揃えるインポーターの試飲会は、日程が被っても必ず行っていた。

この経験が最も大きかったと思っている。

最初は(?)が頭につきながら試す。
このアイテムはどうなのか?を、
言葉にするのがなかなか難しい。

でも数をこなしていくと色々分かってくる。
同時進行で事前に学んでいた概要も腑に落ちていく。
新しい発見もあれば、見落としていた再発見もあった。

新しい発見をどう使うか

試飲会で見つけたマイナーなワインがあった。
それは微発泡のデザートワインだったのだけど、
ある時、航空会社CAさんの女子会が店であった際に、
このワインを提供したところ、知らなかったと凄く喜ばれた。

ご存知だと思うがCA,FAさんは
「ソムリエ試験」をほぼ受ける。
機内のサーブでソムリエ資格必須なポジションがあるからだ。

特に国際線に従事されている方は経験・知識も豊富で、
海外フライト先の、地元でしか味わえないようなワインを飲まれていることもある。
前述の喜ばれた方は、かなり経歴の長い方だったので、僕の喜びもひとしおだった。

僕はこの試飲会巡りこそが、経験の最短ルートだったと思っていて、
仕組みを最大活用したと自負している。
くどいが、試飲会後のディナー営業は相当きつかった。(笑)


3.ワイン会を開いた

前述の試飲会でも出ないアイテムがある。
それは、希少なものや、高額なものだ。

僕はそれらを試飲する方法として、表題のようにワイン会を行った。

僕がやっていたお店の客単価平均は5~7千円くらいだった。
それを、ワイン会専用特別フルコースで、
全ての料理にワインをペアリングさせて、
内容によって金額は変わったが、
一人アンダー2万円で提供していた。

この時のワインは全て原価で提供していた。
要は、食事だけの利益でワインの利益はなし。
その代わり食事は一人10,000円くらいのフルコースとなっていたので、
ロスが出ない限り、利益はしっかり確保した。

前述の試飲会でインポーターの営業さんと関係を築き、
レアなアイテムは、抱き合わせで余分に買わされるアイテムもあったけど、
取引を繰り返すと信頼関係が生まれる。
そうやって店のワインセラーに
「珍しいもの」と「高額なもの」を増やしていった。

それを、ワイン会で放出する。
希少価値を知らずに飲んでいたお客様もいたが、
知っている人は、またこれ飲めますか?
と期待されたこともある。

いやいや、また違うレアなものが待ってますよ!
と、はぐらかしたのは言うまでもない。(笑)

そうして僕は営業マンとの関係構築と、
希少・高額なワインを試飲する両方を得た。
そしてお客様も希少・高額なワインを原価で飲めて、
三方良しの企画だったと自画自賛している。

恩恵にあずかれるファンも

希少・高額ワインでも前述のように1本6杯計算で提供していたので、
その時のワイン会で客数が6の倍数にならなければ、
何杯分か余ることになる。

それがまるまるロスになるのが嫌なので、
集客には細心の注意を払うが、それでも直前キャンセルは起こる。

残った希少・高額ワインは、翌日来店されたお客様に、
原価率50~70%でお得に提供していた。

それを喜んでくれた方は、ワイン会には来ず、
以降、翌日に必ず姿を現してくれた常連様もいる。

残っていれば、恩恵にあずかれる。
こちらもロスにはならない。
お互い良い形のWin-Winの例だ。



さいごに

長くなったがまとめると、
僕は知識も経験もない時に、

  • イタリアワインだけを深掘りする
    という選択と集中を行い、

  • 知識と経験値を高める
    ためのアイデアを実行し、

  • イタリアワインといえば・・・
    で、顧客から信頼されるようになった。

これが僕の、
今からでも遅くない
。と、
選択と集中」を証明したお話でした。


ちなみに僕が一番最初にワインに感動したのは、
フランス・ボルドーのシャトーマルゴーの白だった。赤ではない。
実はフランスワインが入口だった。

あるソムリエが言っていたが、

ワインにハマる人は、だいたい入口はフランスのボルドー。
そこからニューワールドへ行って、カリフォルニアやオセアニア。
そこでフランスの主要品種がテロワールによって変わる違いに目覚め、
次に品種の複雑性の宝庫イタリアに行く。
そこでマニアックな部分を会得出来たら、ようやく深淵のブルゴーニュ。
ここまできたら、相当お金費やしていますよ。

激しく同意した。僕も同じ様な経緯は経緯だ。
けど、ブルゴーニュの深淵は覗けそうにもない。

そんなにお金もってませーん。

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