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個人経営飲食店の弱者の戦略 Part.1 ~予約とオーダー編~

昨日、外食の雄「サイゼリア」をテーマにさせて頂いた。
表題はこのNoteのテーマとは少し離れるが、書いてみようと思う。

今日はサイゼリアから学ぶべきところ以外の
弱者はどこで戦うか?のお話です。


結論を言うと、サイゼリヤの反対を行えばいいということ。

ズバリ、人だ。

人でお客様との繋がりを作る。これに尽きる。

以下より、いくつかの実体験を書きますが、あえて諸条件(客単価・客席数・スタッフ数)などは入れずに、書き進めます。
その意図は、もし参考にして頂く時に、自店舗を鑑みてアレンジして頂きたいがためです。

予約

サイゼリアは予約を受けない。
受けていると店舗が回らない、売り上げが落ちる。

開業当時の「俺のフレンチ」もほぼ予約は受けていなかった。
二階の席があったところだけ、何かしらの条件を満たしていれば予約を受けていたような気がする。

サイゼリヤは価格で回転が必須で、
「俺の」系は原価で回転が必須だった。

お客様は、予約を取れなかったとしても、
行く価値があると判断されたら、並んででも行く。

そこまでの動機が無い場合、
一般的にお客様は待つのがとても嫌だ。
だからこそ、予約が必須になる。

逆に店側の予約を受けるメリットは何か?
それは席を必ず埋めてくれる保証だが、
デメリットは、その予約時間の前と後ろに席を埋められるか?だ。

なので、予約時間を19時に取らないところが昔あったが、これは本末転倒だ。
逆に客を逃し、二度と来て頂けないことになる。

あとは店側が同時刻に集中させないことだけだ。
オペレーションが崩れない限界は、
人員配置や熟練度によって大きく変わる。

これまでの経験で、重なりすぎて対応が難しいため、
お客様の希望から予約時間を前後にずらしたとて、
希望の時間に来てしまうお客様は一定数いる。

これは悩ましい所だ。入店してもらうかどうかの対応は店の判断になる。
(席が埋まっていれば当然無理だが)
コンセプトをよく考えて決めて欲しいと思う。

弱者は臨機応変さが強み

先に19時のご予約があれども、その後に18:50までの席でご了承頂ける予約が入るなら、それを受けるべきだ。
そのために必要であれば、前倒しでオープンしてもいい。

スタッフは嫌がるだろうが、事前に予約が分かっていれば対応の仕方はいくらでもある。

ちなみに時間制限があって滞在時間が短くなれば、
客単価は下がるかというとそうでもない。

逆に短い時間で頂いたオーダーを出し切り、
きちんとお客様が食べる時間があるオペレーションが出来ているかの方が重要だ。

そして19時の後ろの予約は立地や業態にもよるが、ほぼ難しい。
少なくとも21時以降でないと予約は受けられないからだ。
これは当日の直前予約などの運次第になる。
そのために、僕は二つ考えていた。

一つ目は滞在時間を延ばすこと。
二つ目は食後酒と二件目のワイン需要を狙っていたことだ。
これはまた別の記事で書くことにする。

オーダーテイク

サイゼリヤのホールサービスは必要最低限。
例えばオーダー。
スタッフは紙に書いたオーダーを読み上げて、
その場で端末に入力しながら口頭でのダブルチェックをする。

仕組みとしては理に適っているのだが、
そもそもレストランのオーダーテイクとは180°違う。
まずはここを重要視する。

レストランではオーダーテイクではなく、

オーダーメイクする。

どういうことか?

お客様と会話をし、まずは一通り食べたいものを聞き、
その構成の中で食材や調理法の重複があれば、
それを回避するような魅力的な提案をする。

ここで大事なのは、お客様の軸をしっかりと察知して、
食べたいもの、外せないものを踏まえてから、
プロとしての意見を押し付けずに、
あくまで提案として簡潔に行う。

その提案が期待できて魅力的であれば、
お客様は言う事を聞いてみよう。となる。

もし、季節の食材などがあれば、
それはオーダーを考える前、必ず先に提案を行う。
もし後で言う事になった場合、構成が大きく変わる可能性があるので、決してやってはいけない。

気を付けなければならないのは、
お客様はお腹が減っていると不機嫌だ。
その状態をまず把握しておく。

魅力的なオーダー組みのためだけに、
時間をかけすぎてはいけない。長々と話すのはNGだ。

このオーダーメイクには、例えば年齢層だったり、特性・嗜好だったり、
そういったイレギュラーに対応することも当然含まれる。

前者は子供や年寄りをイメージしてもらえると分かりやすい。
塩加減や硬さ、熱さ、食べやすい大きさにするなどの配慮だ。

後者はベジタリアンやヴィーガン、宗教上の忌避食材、
アレルギー対応、苦手な食材などだ。

これはやっている所は多いだろう。
そして、そうしたイレギュラーに前向きに対応すれば、
概ね満足度が高くなる傾向にある。

期待を高めることは、メリットが多い

どれだけ希望に沿い、その期待を上回るか?
これこそが、オーダーメイクの要点であり、

かつ、このオーダーメイクが上手くいけば、
そこから始まる今日の流れに期待を持ってもらえる。

期待が大きいと、反面、何かあればマイナスの要素も大きいのでは?という疑問を持たれるかもしれない。
実際、教えていたスタッフから質問されたこともある。

が、それはほぼ杞憂だ。

なぜなら、そのオーダーメイク時点で、
サービスとお客様との信頼関係はほぼ築けている。

後はその答え合わせをするだけに過ぎない。
コミュニケーションをとってくれたスタッフを、
自分の味方だと思わないお客様はそういない。
それが出来ていない場合、それはオーダーメイクに失敗しているときだ。

五感+脳

僕がホールサービスを始めたころに、
こんな教えを受けた。

美味しいか美味しくないか判断してもらうのではなく、
美味しいを先に作り上げる

お客様は五感だけではなく、脳でも美味しいを感じている。
情報を先に脳で食べているのだ。

だからこそ、出てきた料理を流して食べることなく、
いつも以上にフォーカスしてもらえることになり、
先に抱いていた期待の答え合わせをする。

オーダーメイクに関してはまだまだ言い足りないくらい、
それぞれのお客様に合わせた幾つもの手法がある。
まさにライブだ。

その基本的な考えと、基本的な手法、
何よりも信頼関係を築き、期待感を持ってもらう。
が、この章の一旦のゴールになる。

弱者は、まずオーダーメイクで差をつける。


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