親にやさしい自分から、自分にやさしい自分に切り替える

「したいこと」を達成するためには、「しなければいけないこと」をする必要があります。たとえば、「痩せたい」と思ったら、「食事制限をしなければいけない」「運動しなければいけない」と、「しなければいけないこと」が出てきます。「痩せたら、どんなに素晴らしいだろう」とワクワクしている間は、食事制限や運動といった、つらいことに耐えることができます。

しかし、「痩せたい」という気持ちが弱まってくると、食事制限や運動が面倒くさくなっていきます。食べたいだけ食べれなかったり、食べたいものを食べれないというのは、本来つらいことです。身体に負荷をかけて疲れるというのは、本来苦しいことです。私達はつらいことや苦しいことは、「できればやりたくない」と思います。しかし、そのような「できればやりたくないこと」ができるのは、「痩せたら、どんなに素晴らしいだろう」という期待があるからです。なので、ワクワク感が失われていくにつれて、だんだんとやる気も失われていきます。

「しなければいけないこと」をするのが苦痛になる

子どもは、「親の笑顔が見たい」と思います。子どもは、「親の喜ぶ顔が見たい」という思いを実現するために、「しなければいけないこと」をするようになります。「宿題をしなければいけない」「ピアノの練習をしなければいけない」「好き嫌いをせずに食べなければいけない」と、親を笑顔にするためのリストが増えていきます。「言うことを聞けば、親が喜んでくれる」とワクワクしているうちは、あまりしたいとは思わない「しなければいけないこと」をすることができます。

しかし、子どもは成長するにつれてだんだんと、「親の笑顔を見ることだけが自分の人生のすべてじゃない」となっていきます。「親の笑顔も見たいけど、自分の好きなこともやってみたい」と思うようになります。「自分を満たしてあげたい」という思いが強くなるほど、「親が喜ぶことをしたい」という思いは弱くなっていきます。親を喜ばせるだけでは満足できなくなった子どもは、「親を笑顔にするためにしなければいけないこと」をするのが、だんだんと苦痛になっていきます。「親を喜ばせたい」という、モチベーションが下がれば下がるほど、「親の言うことを聞くだけ」という状態に耐えられなくなっていきます。

感情を無視することで、自分の価値観をつくることができなくなる

「しなければいけないと思っていたことを、したくなくなっている」という気持ちを受け入れることができないと、自分の感情を抑圧するようになります。「自分は水泳をやりたくなっている」「だから、ピアノはやめたい」と思っても、「でも、そんなことを言ったら、親の笑顔が見れなくなる」「だから、水泳をやりたいなんて思ってはいけない」と抑え込むようになります。

このように、自分の中に好き嫌いという感覚が芽生えてきたのに、その感覚を無視することで、自分の価値観をつくっていくことができなくなります。「親を喜ばせるためにしなければいけないことリスト」をこなすことを優先することで、自分がやりたいかやりたくないかを感じるのは、後回しになります。自分の好き嫌いを感じ取ろうとせず、「しなければいけなことだから、やっています」という状態が続くことで、自分は何をやりたくて、何をやりたくないのかが、分からなくなっていきます。

自分の感覚に従って決める、という体験を積み重ねる

「親の笑顔を見るために、しなければいけないことをする」というのは、子どもが生き延びるために身につけた対人関係スキルです。それは、「親の笑顔を見て満足する」という目的を達成するためには、優れた技術です。しかし、私達は成長するにつれて、親を喜ばせるだけでは、満足できなくなります。「自分の好きなことをやりたい」「自分の嫌いなことをやりたくない」と思うようになります。

私達は自分を幸せにするために、親を喜ばせるためにしなければいけないことをやめて、自分のしたいことをする必要があります。あなたは自分の人生の責任を自分で負わなければいけません。あなたを幸せにするのは、あなたの責任です。自分の好きなことが、「親を笑顔にするためにしなければいけないこと」と違ったとき、罪悪感を感じるかもしれません。「親を喜ばせるためにしなければいけなかったこと」をやめようとしたとき、親を裏切っているような気分になるかもしれません。しかし、それでも、あなたは自分を幸せにするために、自分のしたいことをして、したくないことをやめる必要があります。

少しずつでも、自分が好きと感じたことを行動に移す練習をしていきましょう。「これをしなければいけない」と強い縛りを感じている自分に気づいたときは、「私はそれをしたいのか、したくないのか」と、自分に問いかけてみましょう。自分の感覚に従って自分のすることを決める、という体験をコツコツと積み重ねることで、「したいことをしてもいいんだ」「したくないことをやめても大丈夫なんだ」という自信を育てていってほしいと思います。

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