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チガサキ⊿ライフ083 : うっかり屋

1. ベネロペ

 子供が“うっかり”と聞いて連想する一つは、“ペネロペ”だろう。フランスの絵本の主人公は、ちょっぴりうっかり屋さんの3歳の青いコアラで、娘のトレーナーにもプリントされている。そんなベネロペに負けず劣らず、目覚しくうっかりの実力を付けているのが、息子であった。

2. ジャンパー

 頭に掛けたメガネを「メガネ、メガネ」と言いながら探すのは往年の漫才であるが、息子は地でその上を行っていた。マクドナルドでハッピーセットを食べ終わり、席を立った息子はきょろきょろ周りを見回していた。何を探しているのか訪ねると、なんとジャンバーを着ながら「ジャンバー何処?」と探しまわっていた。

3. 卒園式

 娘の卒園式の終了後、会場から出て靴を履いていると、息子の姿が見えなくなった。慌てて妻と娘と三人で探すと、娘の同級生の父親の足に摑まっている息子が見えた。他の母親に「パパじゃないよ。」と話しかけられていたが、強張った顔で足に必死にしがみついていた。「何してんねや。」と私の声を聞いて、やっと異変に気付いたらしく、掴っている足から見上げた顔に驚いて、こちらに走ってきた。「だって、似てるんだもん…。」と言い訳をしながら、同じ黒系のスーツを着た本当の父親の足に纏わり付いていた。

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